ループSF小説の傑作として知られ、後にハリウッドで実写映画化もされた『All You Need Is Kill』(集英社刊)が、STUDIO4℃によってアニメーション映画化された。同社らしいアーティスティックなビジュアル表現を観客にアピールしつつ、全編を3DCGで制作したことによる立体的で爽快感のあるバトルアクションが見どころの本作。今回はキャラクターモデリングを中心にセットアップからカット解説まで、全3回に渡り紹介していく。
※本記事は月刊「CGWORLD + digital video」vol. 330(2026年2月号)に一部、加筆修正を加えた転載となります。
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公開:2026年1月9日(金)
原作:桜坂 洋(『All You Need Is Kill』/集英社刊)/監督:秋本賢一郎/制作:STUDIO4℃/配給:クロックワークス
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©桜坂洋/集英社・ALL YOU NEED IS KILL製作委員会
CGスタッフ出身監督がつくり出すSTUDIO4℃らしいキャラクターたち
独自の“色”を出す世界観設定とアニメならではのキャラクター
2004年に刊行された桜坂 洋によるSF小説を原作とし、2014年にはトム・クルーズ主演でハリウッド映画化され、現在も多くのSFファンから愛され続けている『All You Need Is Kill』。この企画がSTUDIO4℃に届いたのは2021年のこと。同社で映画『海獣の子供』(2019)のCGI監督や『漁港の肉子ちゃん』(2021)で演出を手がけた秋本賢一郎氏は「SF作品を手がけてみたいと、田中(栄子)プロデューサーと検討していた矢先のことでした」とふり返る。
写真掲載なし、キャラクターモデリングチーフ・田中莉緒氏(STUDIO4℃)
そこで白羽の矢が立った秋本監督は、先行する映像作品に対するアニメ作品ならではの独自性を模索するなかで、“色” に注目したという。原作小説やハリウッド映画版などが渋いアーミーカラーであるのに対し、本作ではキャラクターやフィールドなど、画面全体をビビッドなカラーリングでまとめているのが印象的だ。
主人公のリタが戦う作業場を「鮮やかな地獄」と、監督は表現する。インパクトのあるキャラクターデザインは気鋭のアニメーター、村上 泉氏によるもので、秋本監督は以前より絵のシルエットに魅力を感じ、世界観設定にインスピレーションを与えてくれると感じていたという。村上氏は世界観が固まるまで様々なイメージボードやアイデアスケッチを描き、これらを基に秋本監督はシナリオライターの木戸雄一郎氏と共にストーリーを固めていった。
秋本監督はこれまでSTUDIO4℃の作品で要職で携わってきたタイトルを挙げ、それらでの試行錯誤の結果や新機軸を全て本作に投入したと語ってくれた。その意味で、本作は秋本監督にとってのキャリアの結晶である初監督作品といえそうだ。
STUDIO4℃の伝統に則りつつも、フラットなルックのCGキャラクターでアクションを描く真新しいCGアニメーション。「とても良い環境で制作ができ、ものづくりの楽しさを感じられた結果、オリジナルで面白いものができたと思います」(秋本監督)と手応えを滲ませた。
本作の世界観のスタート地点である“ダロル”
アニメとしてオリジナリティある世界観を構築する上では何か象徴となるものが必要だった。それが異星人が地球に送りこんだ“ダロル”と呼ばれる巨大な花。この色鮮やかな様を絵として定着させることができたことで秋本監督の中で世界観のイメージが固まっていったという。作中ではここから「ギタイ」と呼ばれるクリーチャーが射出され、人々を襲う。
キャラクターデザイナー・村上 泉氏によるイメージボード
作画アニメの世界においてもイメージボードを描くことができるキャラクターデザイナーは一握り。本作では村上氏がキャラクターのデザインだけでなく、性格の方向性までイメージボード上で表現し、ストーリーづくりに大きく寄与している。さらに世界観や美術デザインのインスピレーションの元になるなど、土台づくりに大きな役割を果たした。
No.2に続く。
CGWORLD 2026年2月号 vol.330
特集:映像制作ニュースタンダード
判型:A4ワイド
総ページ数:112
発売日:2026年1月9日
価格:1,540 円(税込)
TEXT&EDIT_日詰明嘉/Akiyoshi Hizume
PHOTO_弘田 充/Mitsuru Hirota
EDIT_海老原朱里/Akari Ebihara(CGWORLD)、山田桃子/Momoko Yamada