フレイムは遊技機向けの3DCGをはじめとして、ゲームやCMの3DCG、MV、展示会のコンテンツ制作など、幅広いジャンルで映像制作を手がけるCGプロダクションだ。東京と佐賀にスタジオをもち、現在は総勢約50名のスタッフが働いている。そんなフレイムが、今回、新たにスタッフを募集するという。
本記事では、同社執行役員の澤石貴紀氏と、マネージャー/チーフデザイナーの小林胡都氏に、現場での作業内容から遊技機映像特有の制作のコツ、職場環境や社風、そして求める人材像にいたるまで、幅広くお話を伺った。
遊技機の知識がなくても大丈夫。未経験から全工程を担当できる理由
――本日はよろしくお願いします。まずは、お二方の経歴について簡単に教えてください。
澤石貴紀(以下、澤石):私は学生時代はCGデザイナーを目指していて、日本電子専門学校でモデリングやアニメーションを学んでいました。卒業後は新卒でフレイムに入社して、制作進行からスタート。マネージャー等を経て今年の1月に執行役員となり、経営にも携わるようになりました。
小林胡都(以下、小林):私は高校生の頃まではPCにほとんど触れてこなかったのですが、ゲームやアニメ、映像系に興味があり、CGに挑戦するべく専門学校に入学しました。卒業後は澤石と同じく新卒でフレイムに入社して、今年で11年目になります。
現在、役職としてはマネージャーなのですが、同時にデザイナーチーフとして映像制作のほか、遊技機案件をメインにチェックやディレクションも行なっています。
――フレイムさん全体での遊技機案件は何割くらいですか?
澤石:およそ1/2が遊技機案件で、他はゲーム、ライブ事業ですね。
――現在、社員数は何名ですか?
澤石:東京本社に約40名、佐賀スタジオに約10名、合わせて50名ほどが在籍しており、そのうちおよそ40名がCG関連の職種となっています。
――遊技機の仕事をするにあたって、遊技機そのものへの知識は必要でしょうか?
澤石:遊技機の経験がまったくないと、そもそも映像がどこで表示されるのかとか、どういうルールの遊びなのかということがわからないので、そういう意味では最低限の知識があった方がつくりやすいですね。ただ、採用にあたって「遊技機映像の制作経験」や「遊技機に関する知識・経験」を必須とはしていません。
もちろん、プライベートでハマっている必要もありませんし、どういうシステムなのかを知っていれば大丈夫です。
小林:当社の遊技機チームに関しても、遊技機映像の制作経験者は1~2人で、大半が未経験での入社です。
私自身、遊技機の経験がないまま入社して最初に手がけた案件が遊技機のものでした。映像中に登場する静止画のスチル制作を、アニマティクスからライティングやフェイシャルコンポジットまで、全ての工程を担当させていただきました。
――ちなみにフレイムでの映像制作は、1人が一連の工程を全て担当するという形式が多いのでしょうか?
澤石:そうですね、遊技機チームが立ち上がったときから、1人で完成までもっていくというスタイルが根付いています。分業するケースもあるんですが、基本的には映像づくりまで1人で担当するケースが多いです。
充実の社内マニュアルが実践的なノウハウをサポート
――小林さんは入社後に初めて遊技機映像制作に触れたとのことでしたが、どのように制作技術を覚えていったのでしょうか?
小林:上司に教えてもらうのはもちろん、社内に遊技機映像に特化したマニュアルがあるので、それを参考にしながら徐々に技術を覚えていきました。
澤石:当社の遊技機チームが独自に制作したマニュアルで、作業フローの紹介やクライアントとのやりとりでチェックしていただく項目、基礎的なアニメーションの直し方などが記載された約30ページの内容です。
そのほか、実際のアニマティクスのながれについても、仕様として重要な部分や、アニメ・ゲームなどの他ジャンルとは異なる遊技機ならではの注意点が記載されています。
――それだけしっかりとしたマニュアルがあるなら、未経験で入社しても安心ですね。
ユーザーの感情を揺さぶる「気持ちいい映像」のつくり方
――ここからは、遊技機ならではの映像制作についてお伺いできればと思います。
澤石:遊技機の映像制作の特徴のひとつは、動きを完全に止めない、動き出しを入れない、という点ですね。遊技機映像は「止めることが悪」とされているんです。
アニメと遊技機で比較すると、画角の取り方が大きく違います。たとえば、アニメではパースを強くして画角を取るのですが、遊技機の映像ではキャラクターの顔が歪まない程度に抑えるようにしています。
▲画角のNG例(左)とOK例(右)。パースが強く顔が歪んでしまうNG例に対し、OK例では水平画角を30度(焦点距離 約67ミリ)ベースに抑えている。特に顔のアップでは30度より大きな値を使用しないのが、キャラクターを魅力的に見せる鉄則だという
小林:ほかにも、カメラの緩急の付け方なども違いますね。先ほど澤石も少し触れましたが、遊技機では映像を止めないということが基本なので、「ビタ止まり感」がないように注意して制作していきます。
小林:さらに、遊技機はカメラフィックスで見せないという点も特徴ですね。静的な場面でも、少し動いているというのが遊技機の画面づくりの特徴です。
――なるほど。遊技機と言えば「気持ちいい映像」というイメージもありますが、気持ちいい映像をつくるためにはどうすればいいのでしょうか?
澤石:まず、遊技機はパチンコとパチスロに分けられますが、それぞれ気持ちよさのポイントが違うんです。
パチスロの場合は、ボタンを押した瞬間にキャラクターが動いてくれるというところが一番の気持ちよさなので、カット頭にアクションや表情を見せるテンポ感の良さを楽しんでもらいます。
一方、パチンコの演出は「当落分岐」と言って、当たりかハズレかに行き着くまでのストーリーを見せていきます。なので、その分岐に向かってどんどん映像の熱量を上げていき、最高に嬉しい・悔しいというところに感情のピークをもっていくようにしています。
小林:現在開発中のタイトルでは、原作IPが大軍勢を蹴散らしていくのが気持ちよいバトルアクションなので、原作のもつ、大群を薙ぎ払ったときの爽快感を遊技機でも表現できると、映像としての気持ちよさにつながるんじゃないかと思っています。
澤石:敵を一気に吹っ飛ばすという映像をコンパクトにつくれると、そこでもうカット頭ができますからね。それを何カットも量産していくというのが大変な作業ではあるんですが(笑)。
――遊技機は画面の縦横比や表示物のレイアウトなども独特ですが、遊技機独自の画面づくりのノウハウはありますか?
小林:実は、遊技機の映像の約7、8割はアオリで表現されています。アオリのレイアウトにすることで、先ほどのカメラの緩急と合わさり遊技機の映像ならではの迫力を与えてくれます。
▲レイアウトのNG例(左)とOK例(右) OK例のポイント ・地面の位置(地平線の高さ)が画面に対して高くなりすぎないようにする ・建物などがカメラから見て平衡にならないように調整する。少し斜めに見えるくらいがよい ・詰まった画に見せないため、空が少し抜けているとよい ・キャラと背景が近くなりすぎないように配置する
――使用ツールについてもお聞かせください。
澤石:基本的にはMayaかAfter Effectsです。モデルだけであれば、Blenderで作成したものをMayaにもってきて使うことはありますが、遊技機の場合、過去作の素材を使うこともあるので、なるべく変化が少ないツールを選んでいます。
オフィスで木刀! フレックスタイム制と自由な働き方
――勤務時間などの働き方についても教えてください。
小林:勤務はフレックスタイム制です。コアタイムは12時から17時で、そこから前後8時間働くことになっています。なので、例えば朝が弱い人であれば、お昼の12時に出社して、そこから夜遅くまで働くというような勤務スタイルが可能です。
――実際に働かれている方は、何時に出勤して、何時くらいまで働いているケースが多いんでしょうか?
小林:実は私が12時スタートのことが多いんです(笑)。早い人は9時には出勤していて、それぞれの事情に合った働き方ができていると思います。
――オフィス環境でアピールポイントがあればご紹介ください。
小林:オフィス内コンビニや自販機・コーヒーメーカーなどが充実していて、ちょっと小腹が空いたときにとっても便利です!
そして、一番推したいポイントとしては、オフィス内に剣や木刀が置いてあることです。
アクション系の映像をつくることが多いので、スタッフ自身でポージングして、どういう姿勢がカッコいいのか、どういう斬り方が自然なのか、と検証することができるんです。
知識の引き出しが活きる場所。「遊技機が好き」「映像をつくりたい」クリエイターへ
――では最後に、応募を検討している方へ向けてメッセージをお願いします。
小林:私自身、未経験の状態からのスタートでしたが、仕事を通じていろいろなことを学んで、たくさんの経験を経て成長する機会をもらえました。分業制の方が効率は良いと思いますが、自分自身でひとつの映像を最初から最後までつくり上げていくというスタイルが、やはりフレイムの強みだと思います。
応募者の方々には、ジャンルや3D、2Dを問わず様々な作品を観て、知識の引き出しをたくさん用意しておいてもらいたいですね。その経験が、映像を制作する上できっと役立つときがくると思います。
澤石:遊技機映像を制作しているCG会社を見つけるのはなかなか難しいと思います。ですが、今回の記事が、遊技機好きで映像制作に携わりたいという方に届けば嬉しいです。
フレイムは1年目からチャンスのある会社でもありますし、わからないことは教わりながら成長していける職場でもあるので、未経験の方でもぜひ応募していただければと思っています。
――今回はありがとうございました。
求人情報
■プロデューサー(バーチャルライブ/CG/音楽コンテンツ制作)
自社およびクライアントワークにおける映像制作プロジェクトのプロデュース
■映像ディレクター
バーチャルライブ、ミュージックビデオ、プロモーション映像など、クリエイティブな映像コンテンツの企画・演出
■CGデザイナー
映像制作におけるレイアウト作成、アニメーション作成、画づくり
■テクニカルアーティスト
3DCGソフトウェアの技術検証や分析、3DCGソフトウェアのプラグイン/スクリプトの開発、社内ツールの開発
■プロジェクトマネージャー
映像制作における制作進行、クライアントとの折衝、予算管理
TEXT_オムライス駆
PHOTO_弘田 充
EDIT_遠藤佳乃(CGWORLD)