Ondřej Sakalasakalond)氏は10月26日(日)、今年5月にリリースしたオープンソース(GPL-3.0)のBlenderアドオン「StableGen」を使ったキャラクターの自動テクスチャリングデモを公開した。SDXL(Stable Diffusion XL)とControlNetを用いて、Blender内で直接3Dモデルに対してテクスチャを生成し適用できる。対応するBlenderのバージョンは4.2以降、OSはWindows 10/11またはLinux。

StableGenは、バックエンドのComfyUIサーバを介してSDXLをはじめとする画像生成AIモデルを利用し、Blender内で3Dモデル単体およびシーン全体に対して、複雑で一貫性のある制御可能なテクスチャを生成できるアドオン。シーン全体のマルチメッシュテクスチャリングに対応し、定義されたカメラ視点からシーン内の全メッシュオブジェクト、または選択したオブジェクトのみに同時にテクスチャを適用できる。

マルチビューの一貫性を保つためのモードも提供されている。「Sequential Mode」は視点ごとに各メッシュのテクスチャを生成し、インペインティングと可視性マスクを用いて複雑な表面でも高い一貫性を維持する。一方、「Grid Mode」は全メッシュの複数視点を同時に処理し、より高速なプレビューを可能にする。

ControlNetによるジオメトリ制御にも対応し、Depth(深度)、Canny(輪郭)、Normal(法線)といった複数のControlNetユニットを同時に活用して、生成されるテクスチャがモデルの形状を正確に反映するよう制御できる。さらに、IPAdapterによるスタイルガイダンス機能も備え、外部の参照画像を使用してテクスチャのスタイル、ムード、コンテンツをガイドすることが可能だ。

その他、「Refine Mode(Img2Img)」では既存のテクスチャに対してスタイルの変更、ディテールの追加、強調などを行えるほか、「UV Inpaint Mode」では、モデルのUVマップ上でテクスチャが適用されていない領域を、周囲のテクスチャコンテキストに基づいて賢くインペイントする。組み込みプリセットが用意されているほか、ユーザーが独自にカスタマイズしたパラメータ設定を保存・管理できるプリセットシステムも利用できる。

Sakala氏はStableGenの開発進捗の報告として、10/30にはFLUX.1-dev、11/2にはQwen-Image-Editのテストの様子もXで公開している。

Getting FLUX.1-dev to work properly is tricky. It would probably be more consistent with IPAdapter, but my VRAM is too limited. SDXL is much more reliable, but it won't let you generate legible text.


FLUX.1-devを適切に動作させるのは、なかなか一筋縄ではいきません。IPAdapterと併用すれば、生成結果の一貫性はおそらくもっと高まると思いますが、開発環境のVRAMでは限界があります。 SDXLの方がはるかに信頼性は高いのですが、テクスチャ内に判読可能な文字を生成することができないという欠点があります。


The State-of-the-Art Qwen-Image-Edit model is coming to StableGen soon, enabling much more powerful texture generating.


最先端のQwen-Image-Editモデルが、まもなくStableGenに実装されます。これにより、はるかに強力なテクスチャ生成が可能になるでしょう。


▲Qwen-Image-Editを用いた別のサンプル

■StableGen: AI-Powered 3D Texturing in Blender(GitHub)
https://github.com/sakalond/StableGen

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