
「世界中に感動体験を」をミッションに掲げ、ゲームやデジタルコミック、AI事業など幅広く手がけるKMS。そのKMSが運営する『ワールドダイスター 夢のステラリウム』は累計ダウンロード数が100万を突破し、好評を博している「"演劇"ガールズ×リズムゲーム」だ。
今回はそのゲーム内で様々な場面を彩るエフェクトについて、KMSのエフェクトデザイナー・田中翔唯氏にこだわりのポイントなどを尋ねた。
※KMSでは未経験者でもポテンシャルを重視し、2Dエフェクトデザイナー積極採用中!
とにかくイラストを見て、その輝きが少しでも増すように
――エフェクトデザイナーの仕事について伺っていきたいと思うのですが、まず、自己紹介をお願いできますか?
田中翔唯(以下、田中):運営中のスマートフォン向けゲームアプリ『ワールドダイスター 夢のステラリウム』のエフェクトを担当してます。

――では、早速なのですがエフェクトデザイナーの立場から見た『ワールドダイスター 夢のステラリウム』の強みや特徴を教えてください。
田中:ジャンルがリズムゲームなのもあり、バトルなどのエフェクトと違って、楽曲に合わせたエフェクトを作るというのが大きな特徴です。あとは、イラストをより良く見せたり、ユーザーに綺麗と思ってもらえるようなエフェクトを基本としている点も特徴と言えますね。
『ワールドダイスター 夢のステラリウム』のエフェクトには、ガチャで獲得したキャライラストにかかるアクターカードエフェクト、リズムゲーム中のレーンに流れるスプリットエフェクト、ユーザーのプロフィール欄を装飾するネームプレートエフェクトという、3種のエフェクトがあり、それをつくっていくのがエフェクトデザイナーの仕事になります。
――まずは、アクターカードから、伺わせてください。
田中:基本的に、アクターカードは「すでに綺麗に描かれたイラストにエフェクトを乗せることでより華を添える」という仕事になります。これは一昨年のクリスマスに実装されたアクターカードなんですが、この後ろの雪を降らせているところとか、背景の光、目のキラキラとした輝きや、白い吐息なんかがエフェクト側で演出している箇所です。
田中:アクターカードで工夫や意識をしていることとしては、ゲーム内のキャラクター達、この作品ではアクターと呼びますが、彼女たちが生きているように見せるのをこだわっています。『ワールドダイスター 夢のステラリウム』は推しアクターがいるというプレイヤーが多い作品なので、アクターたちの息遣いが感じられたり、彼女たちの輝きが少しでも増すように工夫していますね。
――ゲームには多種多様なアクターカードが実装されていると思うのですが、それに合わせたエフェクト演出はどのように考えられているのでしょうか?
田中:まず、イラストをとにかく見ることですね。制作工程においてイラストチームからデータが共有されるのは、イラストが完成した時点からなのですが、初めはともかく観察する。もちろん、イラストチームから演出についての指示はあるのですが、それとは別に自分の中で絵を解釈するようにしています。
イラストによってまるで違う色彩や表情を見せるアクターに、エフェクトをどう合わせるか頭を悩ませつつも、毎回必ず何か1つは新しいものを入れようと心がけていますね。
――では、スプリットエフェクトのこだわりについても訊かせてください。
田中:スプリットエフェクトは、リズムゲームのプレイ中にノーツ(楽曲に合わせてタッチするリズムアイコン)と一緒に流れてくるものです。より楽しくリズムゲームを演出することに加えて、エフェクトがノーツの視認性の妨げにならないことには気をつかいますね。
他には、カバー楽曲ならその楽曲のMVやタイアップ作品の演出を再現して、カバー元を知っているファンの方たちに喜んでもらえるようにしています。
自分の中でも特にこだわったものとしては、オリジナル楽曲の「惑う星達のダンスホール」という楽曲が実装されているのですが、これは舎人仁花子のオリジナルソングで、もともとジャケットが先に出来上がっており、そのイメージに合わせたエフェクトにしています。
ジャケットの惑星のリングや周りのキラキラなどを踏襲して作成しており、視認性を下げないためにエフェクトが発生するまでの速度や透明度を調整してます。また、エフェクトを綺麗に見せるために加算のパーティクルの下にfogのパーティクルを入れ、宇宙空間を再現しています。

――ネームプレートエフェクトについても教えてください。
田中:ネームプレートというのはゲーム内で称号が載ったり、自分の推しキャラをアピールしたりする、ユーザーが自由に設定できるプロフィール台紙のような部分なんですけど、そこに演出として表示されるエフェクトを制作しています。

田中:スマートフォンやタブレットなど、実際のゲーム画面で見ると少し小さいのですが、マルチプレイをするときなどに表示されるものなので、他プレイヤーに対して推しを自慢できるようなエフェクトになるように意識しています。視認性を確保した上で、個性が出るように制作しています。例えば、他人の能力を奪う能力を持ったアクターのエフェクトでは稲妻がぴたりと止まる演出を入れたりしていますね。
踏ん張りではなく効率化とノウハウの共有で、短納期でも高クオリティを維持
――制作ツールは何を使用されているのでしょうか?
田中:インゲームではUnityのパーティクルシステム、アウトゲームではcanvasに描画する必要があったのでUI Particleを使用しています。
――エフェクトの制作で楽しいと思えるのはどのような瞬間ですか?
田中:1つずつ制作していたパーツを組み合わせて再生する瞬間ですね。頭の中でイメージしていた通り綺麗に動いてくれると、達成感があります。あと、リリースした後のエゴサです。評判がいいとすごく楽しいです。
――KMSでエフェクトを制作されてきて感じる企業文化や特色はありますか?
田中:僕自身は新卒入社なので、あまり他社と比較して語れないところはあるのですが、スマートフォン用ゲームで短納期が当たり前の中でも、制作するもののクオリティを高く維持する意識が強い、とは感じています。
気合で踏ん張るよりも、効率を良くして手順を短く詰めていくことの積み重ねで、クオリティを維持したまま短い納期に対応していく。そして、そのノウハウもどんどん共有して全体を通じて効率化していく。そういう文化は感じますね。
あと、やる気があればなんでもやらせてもらえる。いまKMSで運営しているタイトルが全部で5つあるんですが、僕はそのうちの4作品でエフェクトをやらせてもらいましたし、『ワールドダイスター 夢のステラリウム』のスプリットエフェクトだけでも僕1人で280種類くらいはつくらせてもらっています。自分自身のやる気があれば、なんでも経験させてもらえる会社だな、と思っています。
――ちなみに、いまKMSでエフェクトを手掛ける方というのは何人くらいいらっしゃるのでしょうか? また、主にどのような人がエフェクトを担当されているのでしょう?
田中:肩書やセクション的には、アニメーションセクションのエフェクト担当、という呼び方になるんですが、アニメーションセクション全体で24人いて、そのうち、エフェクト担当は7人ですね。基本的には新卒でKMSに入社している若いメンバーが多いです。
中途採用のメンバーもいますが、ゲーム業界で長い経験を積んだ人というよりは、他業界からの転職者など幅広いバックグラウンドを持ったメンバーが集まっています。性格的には、職人気質でこだわりが強い人が多いですね。ずっと1枚のイラストや1つのエフェクトを観察して考えてつくりこむという仕事の性質上、自然とそういう人たちが集まってくるんだとは思うんですが。
――エフェクトデザイナーの応募者に求めていることがあれば教えてください。
田中:一緒にはたらく仲間としては、スキルも重要ですが、それ以上にユーザーのことを第一に考え、チームのメンバーと協力し合って面白いことをやってみたい!と思える方が向いていると思います。
特に、KMSはリリース前のゲーム開発から、リリース後の運用まで一貫して手掛けるタイトルが多いので、開発期・運用期を問わず、ゲーム開発全体に大きく携わりたい!自分の作ったものを世界中のユーザーに届けたい!という方はぜひ応募していただきたいです!

ワールドダイスター 夢のステラリウム 全国大会 -Vertex Stage- 2025 本戦リポート。超絶プレイ連発も新曲発表も盛り上がったステージをお届け
KMSの運営する"演劇"ガールズ×リズムゲーム『ワールドダイスター 夢のステラリウム』初の公式大会「ワールドダイスター 夢のステラリウム 全国大会 -Vertex Stage- 2025」の本戦が2025年3月22日に開催。総額100万円の賞金を巡り、同ゲームのトッププレイヤーたちが戦いを繰り広げた。

本大会は2月にオンライン予選が実施されており、生配信ありのオフライン開催となる本イベントでSTELLA部門6名、OLIVIER部門8名の本選出場者の中からそれぞれの優勝者が決まる。
会場となったヨシモト∞ドームは開場直後から超満員。紹介映像と共に本選出場者が登壇する度に観客席からは歓声が上がり、渾然一体となった会場のボルテージが高まる中での幕開けとなった。
MC・実況はナレーション声優としても知られる森一丁氏が担当。アシスタントMCには連尺野初魅役の葵井歌菜氏、解説には譜面チームリーダーのRing.K氏とプロデューサーの加藤寛之氏が並ぶ。課題曲を加藤Pが抽選するのを皮切りに、準々決勝一試合目が開始。
課題曲はいずれも高レベルのものばかりであるにも関わらず、トッププレイヤーたちは初戦から「FULL COMBO」「ALL PERFECT」を連発。小数点以下の紙一重の達成率差で勝敗が決する試合が続く。STELLA部門の優勝を賭けた決勝戦では、このイベントで初発表の新曲が課題曲となる展開にも関わらず、両者が初見で「ALL PERFECT」を記録。観客席が大いに沸き、運営陣のRing.K氏と加藤Pが顔を見合わせる一幕もあった。
イベントは計6時間にも及ぶ長期戦となったが、各部門の決勝戦で初公開となった新曲、新衣装や段位追加、ゲーム外のイベントやグッズ展開など様々な新情報の発表、トッププレイヤーたちの巧みなプレイの連発、と沸き続けた会場は熱を湛えたまま完走。
会場の一体感とプレイヤーたちの反応に思わずうるっと来たという加藤Pの謝辞、この日が誕生日だったというRing.K氏へのハッピーバースデートゥーユーの合唱を経て拍手と歓声の中『ワールドダイスター 夢のステラリウム』初の公式大会は幕を閉じた。
TEXT_稲庭 淳
INTERVIEW_池田 大樹(CGWORLD)
PHOTO_弘田 充