CASE 01
Adobe Premiere Proリアルタイム再生テスト
●検証条件
Adobe Premiere Proでフッテージのフレームレートを30fpsに設定し、4Kモニタでフル画面表示の状態行った上で、300フレームの動画素材をリアルタイム再生。その際に「コマ落ちインジケーター」を使用して、コマ落ち回数を記録した。
●検証結果
NUKEやAfter Effectsではコンポジット時に内部処理が発生するのに対して、Premiere Proではほとんど内部処理が発生せず、純粋なスループットのみが比較できる。こうした理由からPremiere Proを使用してストレージ間の比較を行なったところ、予想通り性能差が如実に現れる結果になった。HDDではフルHDですでにコマ落ちしており、4Kでは使用に耐えない。SSDでもフルHDでは大丈夫だったが、4Kで大量のコマ落ちが発生している。これに対してOptane SSDではフルHD、4Kの双方でコマ落ちが見られなかった。ストレージごとの読み書き速度と、データ転送速度の違いが原因だ。もっともSSDを6枚刺してスループットを上げたコロッサスPCでは、CrystalDiskMark 5を用いたベンチマークではOptane SSDよりも高いスコアを出している。しかし、実際には4Kでかなりのコマ落ちが発生。ベンチマークは良くても実際の使用には耐えないという結果になった。
結果まとめ>>>>
Optane SSDなら4Kリアルタイム再生も可能
CASE 02
Mayaを利用したレンダリングテスト
●検証条件
本誌224号レンダリング特集で検証されたものと同じデータが使用された。テスト1【画像下左】では268万ポリゴンでエリアライト1灯を用いたシンプルなシーン。テスト2【画像下右】では148万ポリゴンながら87灯のエリアライトと53枚の4Kテクスチャを使用。
●検証結果
レンダリングにCPUレンダラでマルチコア対応のArnoldを使用し、CPUパワーの違いを計測するために行われた本検証。本誌224号当時と併せて、Arnoldも1.4.2.2と最新の2.0.2.4(Arnold 5)の2種類で行われた。それによるとi7-7700が搭載された検証マシン①ではマルチコアで最短3分38秒、Core i9-7900Xが搭載された検証マシン②ではマルチコアで最短1分20秒でテスト1のレンダリングが終了した。
より複雑なシーンデータのテスト2でも、検証マシン①は最短40分28秒、検証マシン②では15分30秒でレンダリングが終了している。この検証結果を当時のものと比較すると、GPUレンダラであるRedshiftやOctaneのレンダリング速度を上回る結果となった(当時の検証ではGPUにNVIDIA Quadro P5000を使用)。業界内ではGPUレンダラの普及も進んでいるが、本格的に活用するにはハードウェア面で相応の投資も必要になる。また、CPUのメニーコア化は今後も進行していく。こうした中、最新CPUとCPUレンダラの組み合わせに、改めて注目したい。
結果まとめ>>>>
最新CPUとCPUレンダラの組み合わせに再注目
CASE 03
Maya Bifrost使用シミュレーションデータテスト
●検証条件
Maya Bifrostを使用し、1フレーム261.9MBのキャッシュデータ(230MB+16.6MB+15.3MB)を300フレーム(合計データ135GB)用意して、データを読み込みながらレンダリング。ストレージごとにかかった時間を比較してみた。
●検証結果
Optane SSDに対してSSDは1.28倍、HDDでは1.8倍の時間がかかり、ストレージのスペックで明確な差がついた。特に1フレームの容量が大きなファイルほど、この傾向が顕著に出ると考えられる。単純計算で60分で終わる作業が80~100分かかることになるため、この差は大きいと言えるだろう。具体的にタスクマネージャーでストレージのアクティブ状況を確認すると、HDDでは平均して70%程度となっており、SSDでは30%程度、Optane SSDでは5%程度に抑えられている。そのためデータ容量が大きくなるにつれて、性能に余裕がないHDDでは単純に処理時間が増加。SSDでも遠からず処理が頭打ちとなることが予想される。これに対してOptane SSDは余裕があり、大容量ファイルの扱いにより適しているといえる。実際、Optane SSDは書き込み速度だけでなく、読み込み速度も速い。そのためデータの読み込みが必要な状況でも、このように大きな差が発生することがわかった。
結果まとめ>>>>
大容量ファイルほどOptane SSDが真価を発揮
Maya Bifrostを使用したシミュレーションデータテスト考察
①かなりの差がついた、HDDの1.8倍 SSDの1.28倍
②CPU、GPU処理よりもリードに時間が掛かっている
③リード速度に明らかな差が出ている
まとめ
今回の検証から、改めて高速ストレージと高速CPUの組み合わせが有効であることがわかった。まずストレージの高速化では、従来のSSDの転送速度を遙かに凌駕するOptaneSSDが登場したことで、4Kリアルタイム再生が可能になり、巨大ファイルの転送速度も高速化された。またCPUにおいては、マルチコアに対応しているCPUレンダラを使用すると、明らかに高速化されることがわかった。特に10コア以上になると、GPUレンダラよりも高速になる場合がみられた。
インテルではCore i9シリーズで、すでに10コア/20スレッドから18コア/36スレッドを搭載するモデルを発売しており、マルチコア対応CPUレンダラの価値はさらに上昇しそうだ。もっとも、こうした性能をフルに活かすためには、対応マザーボードや高速メモリをはじめ、マシンのトータルバランスが必要になる。また、現在のレンダラはPC1台に対してライセンスフィーがかかるため、コア数が増加すればそれだけメリットがある。そのため2018年は「ストレージの高速化」、「CPUへの投資」の2点をキーワードに、総合的な見知からのマシン選びが求められそうだ。
編集後記
本文中では省略されているが、今回の検証では「経営者目線と現場目線」や、「レンダリングソフトのライセンス価格」が隠れた主役になった。現在多くの国内CGスタジオでは、Windows7+Maya2015+mental ray or V-Rayで制作環境が構築されている。ここで問題となるのが、Maya2015がWindows 10でサポートされていないこと。OSを更新することでツールやプラグインなどに不具合が生じるリスクがある。Windows10とMaya2017への乗り換えが必要だと理解していても、二の足を踏まざるを得ないというわけだ。また、Maya2017でArnoldが標準搭載されたとはいえ、ここで課題となるのがレンダーライセンスだ。特にスリム型PCを数十台規模で並べて内製レンダーファームを構築している中小スタジオなどでは、すべてのノードでライセンスが必要になるため、コスト増がのしかかる。たしかに、ArnoldのレンダーライセンスはPC台数に比例するため、最新PCやメニーコアの恩恵が受けやすいのは事実。CPUにおけるメニーコア化の進展は近年における大きなトピックであり、レンダリング時間がコア数の増加で改善されるのも検証通りだ。その一方で実際の導入には、こうした隠れたコストも発生する。やはり、答えはスタジオごとにあるといえそうだ。
インテル® Optane™ SSD 900Pを搭載した
マウスコンピューター DAIV-DQX750U1-PS5
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● OS:Windows 10 Pro
● マザーボード:インテル X299 チップセット (ATX / SATA6Gbps 対応ポート×8 / M.2スロット×2)
● CPU:インテル Core i9-7900X プロセッサー(10コア / 20スレッド / 3.30GHz /TB時最大4.50GHz / 13.75MBキャッシュ)水冷CPUクーラー
● GPU:NVIDIA Quadro P5000 / 16GB
● メモリ:64GB [ 8GB×8 ( PC4-19200 /DDR4-2400 ) / クアッドチャネル
● ストレージ1:480GB SSD ( 6Gbps 対応 )
● ストレージ2:480GB インテル Optane SSD 900P
● 電源:850W( 80PLUS PLATINUM )
● 価格:¥705,600(税抜)
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TEXT_小野憲史
PHOTO_蟹 由香