ハリウッド映画のVFXスタジオでも採用
細見:Azure Batch Renderingの料金は、従量課金ですし、低優先度仮想マシンを利用すれば通常価格よりもかなり安く利用できるのは良いですね。ただ、コンテンツ制作現場の方からは「最終的にどれくらいの金額になるのか、事前にわからないと不安」という声も聞かれます。
岩本:クラウドレンダリングの浸透には、そこも課題のひとつだと思いますね。現在、リアルタイムは無理でもセミリアルタイムで料金がわかるカスタムツールを当社サービス契約者向けに提供予定です。
田中:ネクストスケープさんには積極的に取り組んでいただいていますが、Microsoft Azureではバッチ制御アプリケーション開発用SDKも提供しています。今夏に「BatchLabs」をGitHub上で公開したのですが、Python上で動作するバッチジョブの作成・デバッグ・監視を行うクライアントツールを対応するアプリケーション向けに開発できるようになっています。
ーーCG・映像業界ではセキュリティ面などから、クラウドサーバを使用することに抵抗感がある方もいます。海外での採用事例を教えてください。
田中:SIGGRAPH 2017にて、ハリウッド映画のVFXなどを手がけるロンドンのJellyfish Picturesが導入事例の講演を行いました。その際に、主立ったクラウドレンダリングサービスで、国際安全標準規格認定団体であるCDSAのCPS(ContentProtection and Security)認定と、MPAA(Motion Picture Association of America =アメリカ映画協会)監査の両方をクリアしているのがMicrosoft Azureだけだったことが採用する決め手のひとつだったと挙げていました。
岩本:補足するとMicrosoft Azureは日本国内にも東日本と西日本で2つのデータセンターを構えているんです。そのためバックアップ用にリージョンを分けたいが、海外のクラウドサーバを使用したくないという要望にもかなうと思います。また、データセンターが近くにあれば、その分だけ速度も速くなりますからね。マイクロソフトでは営業スタッフだけでなく、サポートエンジニアも国内にいますし、当社独自のサポートプランも準備中です。
田中:実際、ロンドンでは地価が高いため、スタジオコストを抑えるためにテレワークが進んでいるそうです。この点でもAzure Batch Renderingのようなクラウドサービスは適しています。今後は日本のCG・映像業界でも、こうした働き方が増えていくのではないでしょうか。レンダリングだけでなく、クラウドサービスを活用して業務全般を見直せば、さらなる管理コスト削減につながり、よりクリエイティブな部分に注力できるようになると思います。
細見:CG制作の現場でいえば、Maya 2017で標準搭載のレンダラがmental rayからArnoldになったことで、レンダラの乗り換えを検討しているユーザーが増えています。Azure Batch Renderingの導入を含めて、ワークフローの見直しを検討する良い機会かもしれませんね。
ーーCG・映像業界でクラウドサービスの需要が増えることによって、IT業界のエンジニアがデジタルコンテンツ制作現場のテクニカルディレクターとして活躍するといったことも期待できます。Microsoft Azureの展開が楽しみです。
information
Azure Batch Rendering(英語)
rendering.azure.com
Azure を使用したレンダリング
azure.microsoft.com/ja-jp/solutions/big-compute/rendering
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Microsoft Azureに関する深い解説ではなく、エンドユーザーにとってわかりやすい説明を意識した内容で、前提知識の有無に関わらず参加できる。
※参加者は自由にテストできるMaya環境を用意が必要。
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日程:(1)2017年12月14日(木)、(2)2018年1月11日(木)
会場:(1)、(2)ともに渋谷ヒカリエ8F
申込:(1)は こちら、(2)はこちら
問: 日本マイクロソフト株式会社
TEL:0120-952-593