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3D世紀

3D世紀驚異!立体映画の100年と映像新世紀

著者:大口 孝之、谷島 正之、灰原 光晴
価格:4,104円(税込)
ISBN:978-4-86246-150-6
サイズ:A5版

人類がこれまでに作った700本以上の3D映画を 画像資料882点とともに総まくり! 3Dまみれの632ページ
2009年に衝撃をもって迎えられた『アバター』以降、もはや当たり前となった感のある「3D映画」。
しかし、3D映画は『アバター』によって突如生まれたものではありません。
そこには「立体的に見える映像」を追求しつづけた、100年にわたる先人達の挑戦と挫折があったのです。
映画という技術の誕生直後から始まった「3D世紀」。その足取りを黎明期から現代に至るまで追い続けた、3D映画史の集大成です。

本書は3つの章から構成されており、3D映画(映像)史、国産3D映画を製作したプロデューサーによる製作記、3D映像の技術解説という切り口で、3D映画という広大な世界を明らかにします。

第1章の3D映画(映像)史は、さまざまな3Dの技術方式が妍を競った草創期から始まります。

第1次立体映画ブームに快作・怪作が入り乱れた1950年代。セクスプロイテーション映画やピンク映画に活路を見出し、文化大革命前夜の中国にも飛び火した60年代。ポルノやホラー、カンフー映画までも3D化した、混沌の70年代。ビデオやケーブルテレビ等のニューメディアにも進出を果たし、映画の「パート3」を作るとなぜだか3D映画になってしまう80年代。3D映画にとっては冬の時代となったものの、テーマパーク映像として生き延びた90年代。

そして3D映画の歴史的転換点となった2009年の『アバター』を経て、現代につながる3Dの大ブームまで、筆者所蔵の豊富な資料を元に、3D映画(映像)史を読み解きます。

また、本書では映画(映像)史を過去から現在へ直線的に捉えるだけでなく、それぞれの時代に世界各地でどのような取り組みが行われていたのかについても解説し、3D映画(映像)史に面としての広がりを持たせた内容となっています。

 ・どうして立体に見える?
 ・戦前の日本に、飛び出して見える「舞台」があった?
 ・ナチス・ドイツ時代の立体映画とは?
 ・旧ソ連で開発された独創的な裸眼立体映画とは?
 ・『ダイヤルMを廻せ!』の3D版はどうしてオクラ入りになったのか?
 ・国産3D映画第1弾『飛び出した日曜日』!
 ・女王陛下の立体映画、英国祭のテレキネマ
 ・アチョー! ジャッキー・チェンだって3D!
 ・どうして70年代に「3Dポルノ」が量産されたのか?
 ・シリーズ映画のパート3を作ると、なぜだか3D映画になってしまう
 ・『アバター』がもたらした3D革命

第2章の「国産3D映画」製作記では、『アバター』以後初の国産3D映画となった『戦慄迷宮3D』が製作されるまでの過程を、プロデューサーが自らの筆で明らかにします。

富士山麓に聳え立つ巨大な廃病院。ギネスブック級の巨大お化け屋敷を訪れた映画プロデューサーが思いついたアイディアとは?

第3章、3D映像の技術解説では、ポストプダクションで現在も3D映像技術者として活躍する筆者が、3D映像の奥深い世界に引き込まれていくに至った、自らの3D体験を交えながら、3Dの原理と技術を分かりやすく解説。読者を3Dの「脳内リゾート」へといざないます。

【著者について】
■大口 孝之(おおぐち たかゆき)
映像ジャーナリスト。1959年岐阜市生まれ。日本初のCGプロダクションJCGLのディレクター。花の万博・富士通パビリオンのフルカラーIMAXドーム3D映像『ユニバース2~太陽の響~』のヘッドデザイナーなどを経てフリー。NHKスペシャル『生命・40億年はるかな旅』のCGでエミー賞受賞。雑誌『映画テレビ技術』『AVレビュー』などで連載。代表的著作『コンピュータ・グラフィックスの歴史』(フィルムアート社)、『裸眼3Dグラフィクス』(朝倉書店)。女子美術大学短期大学部、東京芸術大学大学院映像研究科アニメーション専攻などで非常勤講師。

■谷島 正之(たにしま まさゆき)
プロデューサー、宣伝プロデューサー。1967年東京生まれ。90年に現アスミック・エース入社。プロデューサーとして、星新一原作による携帯配信映画『きまぐれロボット』(07)、『西の魔女が死んだ』(08)、デジタル3D実写長編映画『戦慄迷宮3D』(09)、ヴェネチア国際映画祭・コンペティション部門正式出品作品『鉄男 THE BULLET MAN』(09)を製作。アソシエイト・プロデューサー兼宣伝プロデューサーとして『大停電の夜に』(05)、『さくらん』(07)、『ヘルタースケルター』(12)を担当。その他、宣伝プロデューサーとして『海の上のピアニスト』(99)、『カルネ』(91)、『ザ・リング』(02)、『ソウ』(04)、『のぼうの城』(12)等、洋邦問わず30本以上を担当。最近作は、清水崇によるデジタル3D実写長編映画・第二弾『ラビット・ホラー3D』(11)。

■灰原 光晴(はいばら みつはる)
株式会社IMAGICA 技術企画室 3Dスーパーバイザー。佐賀県出身。84年に株式会社IMAGICA 入社。『ガンヘッド』(89)、『平成ガメラシリーズ』(95〜99)、『ビリケン』(96)、『うなぎ』(97)、『リング』(98)、『御法度』(99)、『日本の黒い夏 冤罪』(00)、『EUREKA ユリイカ』(01)、『美しい夏 キリシマ』(02)、『ハウルの動く城』(04)などでオプチカル、モーションコントロール撮影、大型映像撮影、デジタル合成、デジタルシネママスタリングを担当。3D作品は、ハウステンボス『エッシャー・永遠の滝伝説』(92)やJRA 府中競馬博物館の360°3D『夢かける勇者たち』(07)、『未来への絆』(08)、『チャッピーとエミの大冒険』(09)などの展示映像や、『戦慄迷宮3D』(09)、『ラビット・ホラー3D』(11)、『一命』(11)、『ALWAYS 三丁目の夕日'64』(12)、『劇場版テンペスト3D』(12)、『おかえり、はやぶさ』(12)、『ウルトラマンサーガ』(12)などの劇映画を担当。

【対象読者】
映画ファン、映画研究者、映像技術者