>   >  アニメCGに特化したカンファレンスが初開催「あにつく2015」
アニメCGに特化したカンファレンスが初開催「あにつく2015」

アニメCGに特化したカンファレンスが初開催「あにつく2015」

<2>『神撃のバハムート GENESIS』メイキング(サブリメイション)

タイトルのとおり、TVアニメ『神撃のバハムート GENESIS』メイキングを中心に、3DCGを手がけたサブリメイションの制作スタイルが披露された本講演。
この作品では、馬やバハムート、天使や悪魔等のキャラクターの表現に3DCGが使われており、それ以外にもエフェクトを含め1話あたりCGが介在するカットを100ほど制作したという。メインツールはLightWave(以下LW)とAfter Effects(以下AE)が使用された。

【神撃のバハムート GENESIS】プロモーションムービー第2弾

バハムートのモデリングに関しては、1枚の設定画を下にZBrushでモデリングし、MODOでリトポロジーを済ませたモデルをLWへインポートし、セットアップを行なったとのこと。
アニメーション作業は全て手づけで行なっており、通常の原画から動画を仕上げていく工程を踏んでいるが、嘘パースのような極端な見た目にも対応できるように、セットアップ段階で関節以外の部分でも曲げ伸ばしが出来るようにボーンの設定を施しており、アニメ作品にマッチする表現に対応できるよう、フローが最適化されていたそうだ。

そのほかには、馬の足元から煙を出す場合は「LWtoAE」機能を使い、LW側からカメラ、レンズ、ヌル情報を出力してAEの3Dレイヤーに読み込み、Trapcode Particularでボリューム感のある煙を追加したとのこと。3DCG側でボリュームレンダリングを行うよりも、AE上で加工した方が手間と時間が省けトライアンドエラーがしやすいのが利点とのこと。3DCG側でカメラワークを付ける場合も同様のかたちで作業を進めているそうだ。

あにつく2015

「『神撃のバハムート GENESIS』メイキング」講演の様子

背景CGとしては、海の制作事例を紹介。まずLWでライティングした素材と波のシルエットの素材をAEで合成し、シルエットに関しては入射角にグラデーションを割り当てて表現しており、グラデーションの素材を色指定に合わせてAEで色を置き換えている。
アニメ作品ならではと言えば、平面のセル情報もヌルとして指定し、後工程での素材の差し替えを可能にするなど、3DCGで全部完結するのではなくできるだけワークフローをシンプルにすることを心がけているとのこと。そうしたワークフローを構築することで試行錯誤が行いやすくなったと、須貝氏は語っていた。

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