TOPIC 03:アニメーション編集の柔軟性
全てのパラメータはアニメーションさせることが可能です。このアニメーションをコントロールするのがスプラインビューです。筆者がFUSIONを選んだ理由のひとつがこれでした。未だにAEのアニメーションコントロールのUIは理解に苦しみます。普段3DCGソフトをお使いの方なら圧倒的にFUSIONの方が使いやすいのではないでしょうか。大きな特徴があるわけではないのですが、視覚的、感覚的に使いやすいものになっていて、プロジェクト全体のアニメーションを一括してコントロールすることが可能です。
TOPIC 04:ASCII
<A>:FUSIONは作業の全てをASCII情報として管理しています。プロジェクトファイルをテキストエディタで開いて編集することはまずありませんが(スクリプトも用意されていて、素材のパスを一括変換するのが便利)、一番の利点はクリップボードの中身もASCIIであるということです。
- <B>:例えば共同作業しているユーザー間でコミュニケーションをとる場合、いちいちファイルにする必要がありません。必要な部分をコピーしてメールやチャットウインドウにペーストすれば、受け取った別のユーザーはそれを自分のフローにペーストするだけです。
TOPIC 05:ノードのインスタンス化
複数のカットを処理する場合、似通ったカット(合成作業)も多く存在します。プロジェクトをコピーして異なる部分だけを変更しても良いのですが、後日修正が入った場合それぞれに修正を加えなければいけません。また修正点が多いとミスも生まれます。そんなときは、ひとつのプロジェクトに複数のカットをまとめてしまいます。共通する部分はノードをインスタンス化してひとつ修正すれば全てのカットに反映されるようにします。インスタンス化されたノードでも個々のパラメータごとにインスタンスを解除できるので、カットのちがいに対応できます。
TOPIC 06:入力の柔軟性
FUSIONの各パラメータの入力はとても柔軟です。素材ファイルのパスは直接テキストとして入力できます。数値入力は直接四則演算が可能です。各パラメータはエクスプレッション、コネクト、モディファイヤといった形式で他のパラメータと関係付けることができます。ノード群は入力から出力へ処理が進んでいきますが、実際にはさらに複雑に個々のノードが関連付けられています。
TOPIC 07:出力の柔軟性
CMなどの仕事では最終的に編集室でFlameなどによって仕上げられることも少なくないので、CGや各種のレイヤーをバラさなければならないことがあります。この作業がとても面倒なのですが、FUSIONではひとつのプロジェクトに好きなだけ出力ノードをもたせることができるので、一度のレンダリングで最終結果とバラ素材を、プロジェクトを大幅に再構築することなく出力することができます。
TOPIC 08:RoIとDoD
<A>:「RoI(Region of Interest)」は、作業スピードを上げるために計算させるエリアを一時的に限定させる機能です。3DCGソフトのレンダリングでよく使われる機能なので、ここでは「DoD(Domain of Definition)」について紹介します。3DCGでレンダリングされた素材は、たとえ4Kであっても実際にはその一部分であることが多く、また最近では複数のパスを同じファイルに格納する場面もあるでしょう。それにもかかわらず4Kとして保存すれば、ストレージを圧迫し、合成作業の読み込みや計算にも大きく負担がかかります。またグリーンバックで撮影された素材も実際に使う部分は限定的であり、無駄な部分も多く存在します。
<B>:そこでFUSIONでは、DoDのエリアを設定することで(3DCGソフト側ではOpenEXRで「Save Region」を選択)、使用するメモリの負担を軽減し、コンポジット作業速度の向上を図ることができます。ただし、最終的にはどこかの段階で最終フレームサイズで計算されるため、必要最小限にまとめるにはそれなりに頭を使います。
TOPIC 09:最新規格への対応
FUSIONはもともと特定のプロジェクトに応じて、そこで求められる機能をその都度実装させることで進化してきたツールです。そのためオープンソースの最新規格にはいち早く対応してきました。最新版では、OCIOや最新カメラのネイティブ入力、各社のLogの規格に対応しています。また処理に時間ががかるRAWの現像も、例えばREDのRAWは OpenCLによってGPUで高速に処理することが可能です。