>   >  "第3のコンポジットツール"、Blackmagic Desigin「FUSION」。無償版、OS X版の登場で 改めて注目を集める本ツールの実力をさぐる
"第3のコンポジットツール"、Blackmagic Desigin「FUSION」。無償版、OS X版の登場で 改めて注目を集める本ツールの実力をさぐる

"第3のコンポジットツール"、Blackmagic Desigin「FUSION」。無償版、OS X版の登場で 改めて注目を集める本ツールの実力をさぐる

TOPIC 10:FUSIONの拡張性

10−1:2D素材をポリゴンとして扱える

合成という作業は基本的に撮影された、もしくはレンダリングされた2Dの素材を重ね合わせるということですが、さらに複雑な視覚効果を可能にするために2.5D、3Dプロジェクションといった手法が生み出されてきました。FUSIONの3D機能は一般的な3Dソフトウェアに感覚が近く、例えば2Dの素材を1枚のポリゴンとして扱います。奥行き情報でディスプレイスメントすれば、立体的な素材として扱うことが可能です。さらに3DモデルをFBXやAlembicとして直接取り込むことができます。高度なレンダリングが必要でなければ、GPUでリアルタイムに最終結果を見ながらコンポジットワークが行えるFUSIONの方が作業のスピードアップにつながるかもしれません。

第3のコンポジットツール、Blackmagic Desigin「FUSION」レビュー

<A>:3Dプロジェクションマッピングの例

第3のコンポジットツール、Blackmagic Desigin「FUSION」レビュー

<B>:FBXオブジェクトを読み込んだ例

10−2:FUSIONのレンダラ

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  • FUSIONの3D機能は、3DCGソフトウェアと同様にレンダリングが必要です。現在FUSIONには3種類のレンダラが搭載されていますが、バージョン7で実装された「uvレンダラ」は、3D情報をカメラ側からUV展開するためのレンダラです。マット画の作成やバレ消しなど、アイデア次第で強力なツールとなるでしょう。なお、この部分はSDK化されているので外部レンダラを組み込むことも可能です。ユーザーレベルではKrakatoaや3Delightをインテグレートするプロジェクトも存在しました。残念ながら、ブラックマジックデザインに買収されて以降はSDKが公開されていないので、早期の復活を願います。

第3のコンポジットツール、Blackmagic Desigin「FUSION」レビュー

10−3:3Dトラッキングへの対応

第3のコンポジットツール、Blackmagic Desigin「FUSION」レビュー

他のコンポジットソフトは近年3Dトラッキングを搭載、もしくはプラグインとして利用できるようになってきました。残念ながら現在のFUSIONには搭載されておらず、サードパーティ製もありません。とは言え、専用の外部ツールとは柔軟に連携できます。現在開発が凍結されているVICONのboujou(図)は、FUSIONのCompファイルを直接出力できますし、Andersson TechnologiesのSyntheyesも最新版ではFUSIONへのエクスポートを実現しているようです。Imagineer SystemsのMochaは純粋な3Dトラッカーではありませんが、次のバージョンで親和性を高めてくるようです。さらに、同じブラックマジックデザインの製品であるDaVinci Resolveのフェイストラッカーにパースペクティブ解析が加わったので、いずれ何かしらのフィードバックも期待したいところです。

10−4:スクリプトによるカスタマイズ

第3のコンポジットツール、Blackmagic Desigin「FUSION」レビュー

スクリプトによって独自に拡張することが可能です。言語はluaですが、昨今のトレンドを取り入れPythonにも対応しました。多くのスクリプトが内蔵されているのですが、ネット上には有志による多種多様なスクリプト、マクロ、Fuse、プラグインが存在します。マクロは複数のノード群の一部をひとつのノードとして扱う機能です。グループ化と異なるのは、独自のインターフェイスを構築してToolとして使うことができる点です。Fuseはスクリプト言語で書かれたToolです。SDKを使ったプラグインよりも手軽なスクリプト言語でToolを開発できます。またスクリ プト言語で書かれているので、FUSION上から編集可能です。

<総括>
FUSION本来の自由度と拡張性にぜひ一度ふれてもらいたい

いかがでしたか? NUKEは合成の基本に忠実に沿った厳格なソフトで、コンポジット作業を主とするフリーランスやプロダクションにとっては価格に見合う十分な性能、成果を発揮するでしょう。AEは理論的な概念なしに様々なデジタル・アーティストが気軽に使えるソフトであり、そのコストパフォーマンスの高さは今さら述べる必要はありません。では、FUSIONは? 前述したように他社ツールも相応に機能強化を遂げたことで、単純な機能の比較だけでは目立った取柄を見つけられないかもしれません。

ですが、一連の紹介を通してその自由度と拡張性こそがFUSIONの最大の強みであるということもご理解いただけたのではないでしょうか?そして、バージョン7から無料版が登場したことで誰もが気軽に試せるものにもなりました。ぜひ、一度試してみてください。最新のFUSION8は、"ブラックマジックデザインのFUSION"としての再ブランディング、マルチプラットフォームに対応できるフレームワークの刷新が主目的だったため、UIのデザイン以外はバージョン7とのちがいはありません。ですが、まだベータ版なわけなので、今後の改良に期待したいところです。

TEXT_井上英樹
企画協力_ブラックマジックデザイン



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  • Blackmagic Desigin FUSION
    FUSION 7(無償版)
    FUSION 7 STUDIO(価格:13万1,544円)
    OS:Windows 7/8(64bit)
    ※OS X(10.10以降)にも対応のFUSION 8 BETA版を無償配布中(FUSION 8 STUDIO BETA版も近日配布予定)
    問:ブラックマジックデザイン
    TEL:03-5295-5661(月~金、9~18時)
    www.blackmagicdesign.com

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