>   >  「デジタルコンテンツ博覧会NAGOYA 2015」開催 ILMのチャールズ・アレネック氏が講演、話題の『東京コスモ』が準グランプリなど
「デジタルコンテンツ博覧会NAGOYA 2015」開催 ILMのチャールズ・アレネック氏が講演、話題の『東京コスモ』が準グランプリなど

「デジタルコンテンツ博覧会NAGOYA 2015」開催 ILMのチャールズ・アレネック氏が講演、話題の『東京コスモ』が準グランプリなど

<2>最終ノミネート作品上映会/審査発表・表彰式

次の最終ノミネート作品上映会審査発表・表彰式では、最近ネットでも話題となった『東京コスモ』など15作品が各賞を競った。地元のコンテストとしては、冒頭で記したJDAF内に設けられていたもの以外に、愛知県が2007年から昨年まで実施していた愛知デジタルコンテンツコンテストが知られていた。

「デジタルコンテンツ博覧会NAGOYA 2015」

アレネック氏も審査員として参加

久々に海外作品も対象としたコンテストの第2回目。各賞の発表の後「今回は22の国と地域から86作品の応募がありました」と、審査委員長を務めたポリゴン・ピクチュアズ代表取締役の塩田周三氏。「作品の技術力がここまで到達すると、我々審査員がどういう点に注目するか。それは基本的には物語性であり作品としての個性に注目します。とはいえ、審査員のひとりひとりがそれぞれちがう背景を持っているので、見る所は少しづつちがいます。それを語り合って議論するということで、作品の審査にそれなりの時間を費やしました」と選考のポイントについて触れた。

『東京コスモ』。公開から1カ月で100万再生を突破

準グランプリと観客賞に選ばれたのは『東京コスモ』。制作した宮内貴広氏岡田拓也氏は、地元・トライデントコンピュータ専門学校の卒業生でもある(同校に関しては第20回学生CGコンテストの記事内参照)。しかも審査員には、2人が所属する白組代表取締役副社長の小川洋一氏の姿も。

この点でも塩田氏は「通常は審査員に会社の人がいると有利に働くと思われるかもしれませんが、むしろ不利に働きます。というのも審査員がどちらかというと遠慮するんで1票減るんですね。1票減った中でも準グランプリになりました」と選考の過程を明かした。

「デジタルコンテンツ博覧会NAGOYA 2015」

受賞コメントにて宮内貴広氏(左)と岡田拓也氏(右)

ちなみに塩田氏は国内外の映画祭やコンテストで審査員の経験が多く、この『東京コスモ』も第17回DigiCon6SIGGRAPH Asia 2015などで観ており、既に馴染みのある作品となっている。それもあって「現代の日本で働く女性の心情をこのモサい2人が本当に的確に生活の細かい空間を描いている所が作品の魅力でした。たぶんタイトルが『名古屋コスモ』だったらグランプリになっていたと思うんですが、『東京コスモ』ということで準グランプリになりました」と笑いを誘った。

そして注目のグランプリは『アタラクシア』が獲得(作者欠席)。ここでも改めて「一定のレベルのものが並んだ時に何が差別化の対象になるかというと、やはりその作品の個性や強度です。この大画面で見た時に圧倒的な強さで引力のある作品でした」と塩田氏。「『アタラクシア』というのは心の平穏・平静を意味する言葉なんですけども、この作品は全く逆でした。主人公の心情の不安さが痛々しいほど溢れ出ていたのを3DCGで描くというのは非常に難しいことで、難易度の高いものを見事に3DCGで描いたと高く評価されました」と決め手となった理由を述べた。

『ATARAXYA / TRAILER』

このほか審査員特別賞は『WATER LILY』、エクシング賞は『ゆめみるシロ』、名古屋市長賞は『DAIDARABOTCHI』となった。

「デジタルコンテンツ博覧会NAGOYA 2015」

講評する塩田周三氏

TEXT & PHOTO_真狩祐志



  • 「デジタルコンテンツ博覧会NAGOYA 2015」
  • デジタルコンテンツ博覧会NAGOYA 2015
    日程:2015年12月12日(土)・13日(日)
    場所:ナディアパーク(名古屋市中区栄3-18-1)
    主催:デジタルコンテンツ博覧会NAGOYA実行委員会(名古屋市、中日新聞社、中部ゲーム産学協議会)

    www.digihakunagoya.com

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