<3>VRコンテンツにおけるビジュアルデベロップメントはどうなる?
伊藤氏はVRコンテンツ『Henry』の制作にビジュアルデベロップメントアートとして参加した経験を下に、通常のCG映画との制作手法のちがいについても解説した。本作は元ピクサーのスタッフが制作したVR映像制作専門のスタジオ「Oculas Story Studio」が手がけた8分間の短編VR映画だ。主人公は友達のいないハリネズミのヘンリーで、誕生日におきる部屋の中での出来事が描かれている。
Henry's Premiere from Story Studio on Vimeo.
伊藤氏は「制作手段はほぼ同じでしたが、ライティングがグローバルライティングのみで、映画のようにシーンがコンポーズできませんでした。というのも、Oculus Riftを装着した視聴者が、シーンのどこを見るか事前に想定できないからです。そのため音やキャラクターの動きで視線を誘導し、決められたストーリーを視聴できるように演出することが大事でした」と説明した。
VRコンテンツにおける演出や映像制作はどうあるべきか。ハリウッドでも試行錯誤がはじまったばかりだ
グローバル化の進展と共に、仕事が様々な国に分散し、ハリウッドでもワーキングスタイルが大きく変化しているという伊藤氏。その一方、インターネットの普及で世界中どこでもコンテンツが視聴でき、GoogleやAmazonなどが制作機能を持ち始めている現状についても触れた。VRやMRの普及に伴い、より自由で多様性のある作品作りが進むともいう。こうした中、世界中どの国、人種でも楽しめる作品づくりが重要だとして、講演は終了した。
常に変化し続ける環境に適合できる者だけが生き延びられる。グローバリゼーションの波はハリウッドのCG・VFX制作現場にも大きな影響を与えている
info.
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GREE Creators' Meetup 第4回 HOLLYWOODの制作現場から学ぶ「ビジュアルデベロップメント」
開催日:2016年5月17日(火)
場所:グリー本社 〒106-6112 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー9階
主催:グリー株式会社
後援:CG-ARTS協会
connpass.com/event/30725/