>   >  撮影現場を再現するHDRIを用いたライティング技法(白組×映画『寄生獣』&『寄生獣 完結編』)
撮影現場を再現するHDRIを用いたライティング技法(白組×映画『寄生獣』&『寄生獣 完結編』)

撮影現場を再現するHDRIを用いたライティング技法(白組×映画『寄生獣』&『寄生獣 完結編』)

中華店主


中華店の中のHDRI。スタッフがはけずに照明機材を持っている様子がわかる


HDRI画像を使った中華店主のライティング作業画面。このカットではEmit LightをONにしてライトとして使っている。中華店主の右前方にはポイントライトを、後ろにはレフ用のプレーンを置いて、ライティングを調整している。IBLライトの設定はQuality UとVが24と、デフォルトの256に対して低い値となっている


  • 中華店主のCG素材


  • 完成画

警官A


新一と警官Aが戦う魚市場のHDRI


Mayaの作業画面。IBLライトのEmit LightをOFFにして環境ライトとして使っている。Emit LightのON・OFFも臨機応変に選択可能。キーとしてポイントライトも足している


  • 警官AのCG素材


  • 完成画

次なる挑戦

HDRIの黎明期から果敢に挑んできた白組は、さらなる進歩を目論んでいる。「今はシーンリニアワークフロー化が浸透してきて、そのながれでACESのフローも部分的に導入しています。ACESのカラースペースマネジメントが加わることでHDRIをより活かせるでしょう」と早川氏はACESの導入に期待を寄せる。太陽などの照射情報は厳密に記録され、カラースペースがコントロールされていればCGの再現も容易になり、実写との整合性も高まる。今までは機材によってカラースペースが異なり、素材にも異なるカーブがかかっていた。これから業界的にACESのカラースペースに統一されれば、ライティングもHDRIを置けば終わりというフローになるかもしれない。また海外に比べて潤沢とは言えない制作条件の下で、自分たちで考え、工夫を凝らし、ハイクオリティな画づくりを続ける根底には、高い目標があるという。「以前から山崎監督がやりたい画があり、ハリウッドのような画をなぜ日本でできないか話し合ってきました。自分たちに何ができるか考え続けてきたことが実を結んでいると思います」(高橋氏)。ただ新しいCG技術を導入するのではなく、現状を顧みて、最大のパフォーマンスを出すため常に考察、分析、実践を行う。HDRIの活用のような、CGに対する前向きな姿勢こそが真のクリエイティビティなのではないだろうか。

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    kaizoku-movie.jp
    ©2016「海賊とよばれた男」製作委員会 ©百田尚樹/講談社


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