<4>リアルタイム破壊
ゲーム中でプレイヤーのアクションなどに応じてリアルタイムに破壊されるものについては、前述の通りHAVOKが使用されている。Maya上でのHAVOKツールの使いやすさや、ゲームエンジン実装後の機能面の充実度などから選定されたという。Maya上で分割やPull down itで破片モデルを設定する点では同じだが、破片数を数十個程度に抑えることで、一度に大量に破壊されても処理負荷が増大しないように工夫しているとのこと。
できるだけ小さい分割数で、できるだけ見た目に派手な印象を与えるようにする点がポイント
HAVOKのビジュアルデバッガで破片の飛び散り方を確認。ビジュアルデバッガを使えば、HAVOKで設定している物体(ここでは黃色のパーツ)を強調して表示させられる
最後に滝氏は、改めてアニメーション再生とリアルタイムのちがいについて考察した。アニメーション再生は壊れ方を完全に制御でき、大量に動かしても処理が早いが、何度再生しても壊れ方が一定で、プレイヤーがインタラクションすることもできない。これに対してリアルタイムの物理シミュレーションでは、インタラクションができる反面、壊れ方を制御しづらく、ドラマチックな演出にも向かない。
また、本作ならではの特殊事情として、PlayStation VRに対応させるため、フレームレートを常時1.2ms以下に保つ必要があった。滝氏は「我々は圧倒的な破片数やドラマチックな壊れ方などを通して、印象に残る破壊シーンの生成を目指している」とコメント。様々なデメリットを考慮したとしても、まずはアニメーション再生を用いた破壊表現に力を入れていきたいと語った。