<3>UnityとSPARK GEARを連動させた作業環境
Aimingの板井諒輔氏
セッション後半で語られた『CARAVAN STORIES』は、Aimingが開発中のPC&スマホ向けMMORPGだ。『SINoALICE』が2.5Dの横スクロールRPGだったのに対して、本作はフル3DCGを採用しており、トップビューで冒険が繰り広げられる。ゲームエンジンはUnityで、講演を担当した板井氏は前作『幻塔戦記グリフォン』に引き続いてエフェクトを担当。『CARAVAN STORIES』では、前作以上のエフェクト表現に挑戦したいと考えていたという。
具体的にはディストーション表現やポストエフェクト、ソフトパーティクルなどだ。ゲーム本編も「手描き感」をキーワードとした画づくりを志向することになり、どのようなエフェクトが似合うのか、またそれが可能なのか、技術検証が続けられた。その結果、キャラクターやヒットエフェクトなどはアニメ的、炎や滝などの背景系はリアルテイストよりの表現が選択された。「これらを行う上で、SPARK GEARは非常に効果的でした」(板井氏)。
全体の画づくりの中でエフェクトのテイストをどのようにするか、さまざまな試行錯誤が行われた。板井氏自身、かなり悩んだところだという
板井氏は中でも、「テクスチャのテイストをリアルタイムに変化させられる機能」をあげた。1枚のテクスチャでも、淡くて清らかな色調から、単色で固いエッジの絵まで、見た目をリアルタイムに変化させられるというものだ。これにより爆発エフェクトでも、爆心地の炎は白飛びさせつつ、シルエットをくっきりと表現し、先にいくほど色を暗くして、シルエットをボケ気味にするといった表現ができる。同じ爆発エフェクトでも、リアル調からアニメ調へと、リアルタイムに変化させられるのだ。
アルファ値の加算などで単色エフェクトの見え方をリアルタイムに変化させられる
続いて板井氏は内製エディタとSPARK GEARとの連携による作業環境についても解説した。本作ではUnity上で「スキル(魔法・特殊攻撃など)開発エディタ」、「カットシーン編集ツール」、「デバッグ環境」などの開発環境が準備され、その上で実際のゲームが開発されている。各々のツールはSPARK GEARと連携がとられており、SPARK GEAR上での修正が即座にツール側に反映され、結果を確認できる。これによりエフェクトアーティストは開発画面を見ながら、直接編集作業が可能だ。
戦士による近接攻撃のヒットエフェクトを修正
アルファ値の加算などで単色エフェクトの見え方をリアルタイムに変化させられるドラッグ&ドロップでエフェクトを差し替えたのちに、Unity上で細部を修正。ブルームなどのUnity上でしか再現できない効果を確認しながらリアルタイムに制作できる
魔法使いによる魔法攻撃の爆発エフェクトを修正
爆発エフェクトのタイプをドラッグ&ドロップで瞬時に修正。Unity上でエフェクトの範囲も瞬時に調整できる
講演では板井氏から実際にUnityとSPARK GEARの連動デモが披露された。連動設定をすませるだけで、特別な操作を必要とすることなく、両者のデータが同期。SPARK GEARのエディタ上でエフェクトを変更すると、即座にUnity側でデータが差し替わり、ゲームの操作に合わせて再生される様が示された。近接攻撃時のヒットエフェクトに加えて、魔法攻撃による爆発エフェクトの修正も披露された。
「エフェクト専従プログラマーをアサインするのが困難」、「アーティストだけで勉強するのも困難」、「TAが業界的に不足」という状況では、これだけの機能を短期間で開発するのは困難だということがわかる
このほか、板井氏はSPARK GEARのアップデートの早さについても触れた。開発チームが導入を決めたのが2016年4月のことで、当時は基本的な機能に留まっていた。そこから1年数ヶ月で「アセット管理機能」「セルアニメ表現」「ブルーム表現」「VR対応」「テクスチャ圧縮・展開・ぼかし機能」など、さまざまな追加機能が加わった。板井氏は内製でエフェクトツールをつくり、これだけの機能拡張を行うのは、非常に困難だっただろうとコメント。SPARK GEARの導入は正解だったと締めくくった。
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