>   >  Adobe Senseiが指し示す「Adobe Photoshopの未来」とは〜Adobe XD/Adobe Sensei/Adobe Premiere Proをマルっと紹介セミナーレポート〜
Adobe Senseiが指し示す「Adobe Photoshopの未来」とは〜Adobe XD/Adobe Sensei/Adobe Premiere Proをマルっと紹介セミナーレポート〜

Adobe Senseiが指し示す「Adobe Photoshopの未来」とは〜Adobe XD/Adobe Sensei/Adobe Premiere Proをマルっと紹介セミナーレポート〜

プロジェクトを共同編集できる「チームプロジェクト」

続いてはAdobe Community エバンジェリストの山下大輔氏が登壇。進化したチームプロジェクトの機能紹介、および映像制作者向けのアップデートについての説明が行われた。

  • 山下 大輔
    Adobe Community エバンジェリスト

    Premiere Proをはじめとする映像制作ツールを使い、TV制作の編集サポートに従事。編集機材の講習会講師も担当。個人活動として、Facebook上ではAfter Effectsユーザーグループの管理人もしており、アドビ製品の勉強会を開催中。


チームプロジェクトはシーケンスやコンポジションを複数人で共有する機能で、Creative Cloudグループ版およびCreative Cloudエンタープライズ版のユーザーであれば、簡単な操作で使用できる。


チームプロジェクトを作成すると、Adobe ID(メールアドレス)を使ってメンバーの招待が可能で、Wi-Fi環境であれば国や地域を問わず複数人でひとつのプロジェクトを共同編集できる。Premiere Pro CC上で行われた実演デモでは、エディターがカットした映像を「編集結果を共有」をクリックすることで別マシンにも反映させるといった操作が行われた。


会場内の同一Wi-Fi上で行われた実演デモでは、簡易な編集であれば4∼5秒程度で共有できており、エラーもなくスムーズに動いていた印象だ。万が一お互いが同じ部分を作業していたとしても、両方の結果を保存した上でどちらを取るか選択可能なため、競合問題も起きない仕組みとなっている。山下氏は「今はそれほど知られていない機能ではありますが、カラリストやエディターが遠隔地にいるプロジェクトでは効果を発揮すると思います」と述べた。

続いては、異なるカットにおいてカラーのルックを合わせる機能である「カラーマッチ」の実演が行われた。「カラーマッチ」はカットの異なる箇所を指定し、リファレンスを見ながら色味の調整が行える機能だ。Adobe Sensei技術を利用して自動的にルックを合わせることも可能だが、自動でうまく合わない場合はカラーホイールで微調整を行うこともできる。


また、エッセンシャルサウンドも強化されており、本バージョンからダッキング機能が追加された。ダッキングは、ナレーションなどの音声が再生されたタイミングでBGMなど特定の音のボリュームを自動的に下げる機能で、読み込んだファイルのオーディオタイプにあらかじめ「ミュージック」や「会話」などのタグを付けておき、ターゲットを指定してキーフレームを生成することで反映される。もともとはAdobe Audition CCに搭載されていた機能だが、Premiere Pro CCに移植されたことで映像制作の1台完結により近づいた形となる。


タイムコードについても進化しており、表示 / 非表示をフレキシブルに選択できたり、各素材のタイムコードも表示できるようになったほか、プリセット保存も可能となった。


文字のアニメーションもエッセンシャルグラフィックス内で完結するように変更された。従来の文字入力はレガシータイトルから行なっていたが、本バージョンから直接テキストを書き込めるようになった(もちろんレガシータイトル自体も使用可能)。拡大 / 縮小はベクターデータで扱えるようになり、文字のアニメーションは「整列と変形」内の「アニメーションの位置を切り替え」をクリックすることで、指定した起点と終点の間を自動的に動かせるようになっている。


文字入力やアニメーションに関しては、モーショングラフィックステンプレートがAfter Effects CCで直接編集可能となった点も大きく、Premiere Pro CCと組み合わせることで、より自由にテキストを変更できるようになったこともポイントといえる。なお、ここまでの実演は全てチームプロジェクト内で行なっており、「カラーマッチが楽になる」「自動的にダッキングする」「テロップの挿入が楽になる」などの機能を駆使すれば、チームでスピーディに映像制作ができるようになると山下氏は説明する。


講演終盤ではボーンデジタルToolfarm Japan責任者である竹村英樹氏が登壇。「After Effects CCで効率よくレンダリングしたい」という顧客の要望を実現する「RenderGarden」の紹介が行われた。RenderGardenはレンダリング時のCPU効率を高めるスクリプトで、次にレンダリング予定のデータをメモリに常駐させることで効率化している(メモリ使用率は高くなるため、ほかのアプリケーションは終了させておくことが推奨となる)。端的にいえばCPU負荷を高め、リソースをレンダリングに割いて高速化を図っているため、「コア数の多いマシンの方がより効果が出やすい」とも説明された。


山下氏によると、通常のCPU使用率は7割程度だが、RenderGardenを使うことで9割∼10割近い使用率になるという。今回のデモプロジェクトは元ファイルが軽量だったため極端な変化は見られなかったものの、より大きなプロジェクトでは効力を発揮する。なお、RenderGardenは現在After Effect CCにのみ対応しているが、Premiere Pro CCでも使いたいという要望は開発側にもフィードバックされているそうなので、今度の展開に期待したい。

XD CCやPremiere Pro CCなど、現在のアドビ製品の最新情報だけでなく、Adobe Senseiを用いたPhotoshopのコンセプトまで実演された本イベント。バックグラウンドにある高度な技術を感じさせないカジュアルな使い勝手は、まさに魔法そのもの。今後のアップデート情報も積極的にチェックしていきたい。

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