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背景を描けるようになるテクニックと考え方<br />背景コンセプトやイラストを描くときに使えるTIPS集

背景を描けるようになるテクニックと考え方
背景コンセプトやイラストを描くときに使えるTIPS集

TIPS 02
空間表現のコツ

1:箱をたくさん描く

箱をたくさん描くと空間をつかみやすいです。初心者の人は全体のパースを厳密に考えがちですが、パースよりも単に箱を置くだけと考えた方が簡単です。手順としては、まずひとつ箱を描きます。次にふたつ目の箱を描きます。最初に大きい箱を描いた方が空間をつかみやすいですが、いずれにしてもふたつのモノを同じ空間に違和感なく描けるなら、あとはいくつモノを増やしても、同じ空間に違和感なく描くことができます。大きな箱が置けたらそれを下地に上からいくらでも小さな箱を置いたり、情報を足したりすればいいわけです。空間が描けない人は、箱をふたつ描けるようにするのもいいかもしれません。ちなみに僕は上手く描けません。箱ふたつをきちんと同じ空間にあるように見えるよう、いろいろな角度から描けるなら、その人はとても絵が上手い人です。「箱を正確に描くなんて無理だよ」と思った人は、なんとなく同じ空間にあるように見えれば正確でなくても大丈夫。パースはズレても傾いて見えるだけです。「パースがおかしい」と言われたら「そこは傾いているんです(ドヤ)」と言えば問題ないです

2:空間の中を分割して密度をつくる

箱の中を奥に向かって分割すると奥行きが出ます。空間の中の側面を分割すると、奥行きの情報が圧縮されるので、同じシルエットでも空間が広く見えます。パースのラインが出ない空間や、均一な空間で奥行きを出すには、空間内の密度を描く必要があります。写真の場合は情報が細かいので、奥行きにどれくらいの密度があるかわかりやすいのですが、一方で絵はシルエットなどの情報が少ないので、奥行きが出にくいです。そのため、写真をなぞってパースやシルエットを合わせても、空間の密度を示す情報を意図的に描かないと同じ広さの空間には見えません。それもあって、絵を描くときに奥行きを出すにはパースを合わせるだけでなく、柱や窓、床の目地など奥行きの密度や空間の分割を示す情報を意図的に描く必要があります。柱や窓がない場合は、奥行きの分割具合に合わせてモノを奥に向かって意図的に配置し、どれくらい奥行きがあるのかを説明するのがオススメです

3:ジグザグに線を引いて、モノを置く

奥に向かってジグザグにモノを並べたり、線を引くだけです。川、道、地面のヒビなど、奥へ向かう自由な線を描くときはジグザグに描くと良いです。ジグザグの奥の密度を変えると奥行きを調節できます。直接ジグザグの線が見えなくても、ジグザグを意識してその上にモノを乗せると奥行きが出やすいです

基本的なジグザグ



  • 応用したもの



  • さらに複雑な例

TIPS 03
ダイナミックな木の描き方

1:メリハリのあるシルエットをつくる

動きのある木の描き方のコツは、 S字カーブよりもはてなカーブや直線を意識して繋げていくことです。絵を描いたり造形をしたりするときに大事なのはシルエットです。シルエットのながれやリズムを意識して、シルエットを綺麗につくることが重要になります。木や植物などは特に、何となく描くと直線の部分が少なくなりやすいのですが、S字カーブだけではぬるぬるとした眠いシルエットになってしまいがちです。そのため S字ではなく、はてなマークのように途中に節がある形状やシルエット、途中に角があったり、カーブの曲線の割合や向きが変わるような動きを入れるのがオススメです。そうやってシルエットのながれをつくっていくと、メリハリのある形が描けるようになると思います。ちなみに、これは人物を描くときも同じですね。S字曲がりだけを意識していると、眠いぬるぬるとした柔らかいものに見えてしまうので、カーブ部分と直線的な部分をしっかりつくり、境目となる関節をリズムよく入れていくことが大事です。なお、リズムよくというのは左右対称や均等にならないように、そのカーブと直線の境目をもたせるということです。よく言われるのは「3対1」などですが、とにかくに左右対称にならない位置にカーブの切り替え点や、節目などの中間地点をもってくると良いと言われています。カーブの長さを3だとしたら直線の長さを1、もしくは直線の長さが1だったらカーブの長さは3にするなど、そんな感じでリズムをつくりながら、行ったり来たりするのが、メリハリのある形状を描くのに有効です。

このほかダイナミックな形や動きをつくるという意味では、不安定な状態にするということも挙げられます。今回描いた木の絵も崖のような場所に立っていたり、左右対称でなかったりと、少し不安定なシルエットをしていると思います。このような感じで、人物や植物、動物を描くときにも、動きを付けたかったら不安定な状態にしてみる。さらにその不安定な状態に抗うような動きや、重力に対しての対応などを描いてあげると、動きを表現しやすいはずです。今回は重力に従って木の幹が一度下がってから、しかし太陽の方を向かないといけないので、重力と反対側の太陽の側に向こうとしている、というようなながれをつくることで動きを表現してみました。

2:シルエットのながれを意識して描く



  • 動きを意識して下描き



  • シルエットをシャープにベタぬり。選択範囲を使って塗りつぶした方が、動きが出せます



  • 濃淡の少ないブラシで色と影をザックリ塗ります。シルエットを不透明保護にして"シャッ"と勢いよく影を付けていきます



  • オーバーレイやノーマルで光を描きます。さらに、選択範囲を使ってシャープにグラデーションをつくります



  • ここで葉のシルエットを崩します。さらに葉を追加



  • 奥の枝や葉を暗くし、木漏れ日を追加

あとは適当にオーバーレイやノーマルでディテールを足します。描きすぎて全体のながれをつぶさないように。これで完成。かかった時間は1.5時間ほどです

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TIPS 04 知っていれば描ける絵

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