03:UE4でプロシージャル田植え 〜MegascansとHoudiniEngineを添えて
休憩を挟んで3コマ目。Epic Games JapanのDeveloper Relation Technical Artist 斎藤 修(ずし)氏による「UE4でプロシージャル田植え 〜MegascansとHoudini Engineを添えて」は、一見シェフの気まぐれフレンチ風ながら、小気味良い関西弁トークが笑いを誘う楽しい一コマとなった。
斎藤 修氏(Epic Games Japan)
www.epicgames.com/site/ja/home
MegascansアセットをHoudini上で分解・仕分けして再構成し「稲ではない植物で田植えをする」(あえて言い方を選ばなければ、"稲を捏造する")アプローチ、また実際の完成画像は実に田んぼらしく見えるあたりも含めて非常に興味深い。稲だけでなく浮草も別の植物の転用とのことだが、何を元にしたかはぜひトークが軽妙な動画の方でご確認いただきたい。
UE4とHoudiniEngineで棚田#UE4 pic.twitter.com/bSPh7xuBQ4
— ずし (@shiba_zushi) November 22, 2019
主軸となっているのはタイトルの通り「Megascans」、「Houdini Engine」によるプロシージャルなアセット生成、素材生成(Houdiniでのフローマップ生成やHoudini版Pivot Painterの紹介など。ちなみにメダカはNiagara製魚群の応用)だが、後半UE4がメインになってくると、自身のアドベントカレンダーのダイレクトマーケティングを小出しに挟みつつ様々なTipsが披露された。便利なHue Shiftの座標変換による内部処理に言及した「色ズレ問題」 などは、考えればその通りだが多くの人が膝を打ったのではないだろうか。
マシンパワーの関係で実現しなかったというプロシージャル棚田へのプロシージャル田植えだが、いつかその状態での完成版も拝見したいところである。
04:UE4をレンダラとした 趣味的スピード背景ルックデブ
最終4コマ目は 車高短ゲームス 西下誠哲氏による「UE4をレンダラとした 趣味的スピード背景ルックデブ」。毎週日曜の午後に自主制作を重ねる中で培ったという、UE4のレンダリング周りの知見が大小惜しげもなく開陳された。ここ数年の成果物が対象となるため、使用バージョンは4.8〜4.23と幅広い。
西下誠哲氏(車高短ゲームス)
「UE4をレンダラとした」というタイトルの通りライティング・レンダリング以降により比重が割かれており、実際にコーネルボックスを作成するところから始まり基準となるライティング環境の追求、Sunny16Ruleに基づいた露出の決定などの研究成果が次から次へと共有された。
半透明風不透明のテスト動画
OpaqueTranslucenceのテスト(UE4) pic.twitter.com/OfsoC6yEUJ
— メタリカ (@lovemetallica) September 23, 2019
趣味の制作では特に「屈折」、「反射」、「コースティクス」、「GI」にこだわっているという西下氏。不透明ながら向こうが透けているように見えるフェイク表現の検証について、抜粋版がTwitterに投稿されており仕上がりを確認できる。フェイクなので実際のゲームに使うには破綻が懸念されるが、処理的には実際に投下しているわけではないので軽量となっており、角度が限定されるなどの条件次第では実用の見込みもあるかもしれないとのこと。
さらに登壇後に投稿されたテスト動画
OpaqueTranslucentテストその2。カメラの回転対応版。
— メタリカ (@lovemetallica) December 20, 2019
不透明だからdepthも書き込んでくれてるし、まぁ結果として半透明に見えるしプレイイン時もイケそうだしこれでいいかな...(ArtDive紹介事例の改良) pic.twitter.com/7GdrjZM2Nd
このほか時間も迫ってきた終盤は、様々なTipsが駆け足で紹介されるかたちとなった。多岐にわたる内容が高密度に記載されているため、スライドをじっくり読んでみていただきたい。
今回は背景アートを題材に開催された「Art Dive」だが、2020年は他の切り口での開催も企画中だという。公式からの発表に目を光らせつつ、興味のある題材の際にはぜひ席が埋まる前に参加登録していただければと思う。