VDBにノイズを組み合わせ巨大な炎の柱を表現
レシアル国が崩壊していくシーンで、その全土に発生する死の炎の制作手順を解説する。死の炎の基本形状は柱状(地面から上空に向かって吹き上がる)とドーム状(徐々に大きくなっていく)の2種類で、作中では、柱状、ドーム状、柱とドームが合わさった形状の3パターンが登場。複数の場所で同時発生したものが、最終的にはひとつに融合し、柱は高さ数千m、ドームはレシアル国を覆い尽くすほどの大きさになる。
本作の中でも特にスケールの大きなエフェクトで、各カットのカメラワークに応じて、遠景・中景・近景と様々な条件で映されるため、それに対応できる構造にしておく必要があった。試行錯誤の末、ジオメトリとポイントをVDBに変換し、ノイズを組み合わせて表現する方法を採用した。カメラからの距離のちがいに対応できるよう、ディテールちがいのデータも作成している。
▲柱状の死の炎の設定。高さは約2,000mある
▲ドーム状の死の炎の設定
▲カット制作時の配置の設定。アニメーションのタイミングは、Time Shiftを使ってOffsetしている
▲死の炎の最終形態。下部がレシアル国の全景で、右上の赤色の直方体は上空に浮かぶノアの方舟のスケールを表している
▲完成映像。柱とドームが合わさった形状。画面右上をノアの方舟が飛行している
▲大量の死の炎。完成映像は予告の0:33あたりから視聴できる
▲近景に配置されたドーム状の死の炎
▲近景に配置された柱状の死の炎。なお、死の炎をつくった時点では街のアセットが未完成だったため、NukeのDeepCompを用いてレンダリングしておき、後日、街の完成アセットだけを差し替えることで、再レンダリングのコストを削減している
No.1は以上です。20日(水)公開のNo.2では、本作におけるダイナモピクチャーズのエフェクト制作にフォーカスします。ぜひお付き合いください。
©XFLAG
info.
-
『アニメCGの現場 2021』
編者:CGWORLD編集部
定価:本体3,600円 + 税
発行・発売:株式会社 ボーンデジタル
ISBN:978-4-86246-491-0
総ページ数:328 ページ
サイズ:A4変形判、フルカラー
発売日:2020年12月22日
borndigital.co.jp/book/20331.html
-
月刊CGWORLD + digital video vol.268(2020年12月号)
第1特集:百花繚乱! 最新ゲームグラフィックス
第2特集:『モンスターストライク THE MOVIE ルシファー 絶望の夜明け』
定価:1,540円(税込)
判型:A4ワイド
総ページ数:128
発売日:2020年11月10日
cgworld.jp/magazine/cgw268.html