>   >  初開催で盛り上がった「XR総合展」と成熟するB2Bソリューションの現状〜「コンテンツ東京 2021」レポート(1)
初開催で盛り上がった「XR総合展」と成熟するB2Bソリューションの現状〜「コンテンツ東京 2021」レポート(1)

初開催で盛り上がった「XR総合展」と成熟するB2Bソリューションの現状〜「コンテンツ東京 2021」レポート(1)

WIZAPPLY

アミューズメント施設やテーマパークだけでなく、大学等の研究施設でも高い納品実績を誇るWIZAPPLY。会場では2軸のエントリーモデル「ANTSEAT」、4軸の遊戯施設向けスタンダードモデル「SIMVR(シンバ)」、6軸の研究開発向けハイエンドモデル「SIMVR 6DOF」がデモされていた。中でも「SIMVR」とVR HMD、そしてCM Labsが提供する機械システム操作のリアルタイムシミュレータ「Vortex Studio」の組み合わせは秀逸で、左右2本のジョイスティックでパワーシャベルを操作すると、まるでその場にいるかのような高い臨場感が得られた。

▲「SIMVR」+VR HMD+「Vortex Studio」による、パワーシャベルの訓練シミュレータ。椅子が軽く左右に振れるだけで、グルグルと回っているように錯覚させられる



ハートコア

実写素材を使用することで、3DCGよりもコストパフォーマンスの高いVRコンテンツ開発を提唱していたのがハートコアだ。4K3DカメラのMatterportで撮影した実写素材を基にWebコンテンツを作成し、デジタルショールームなどに活用するというもので、新卒採用、オープンキャンパス、展示会など幅広い用途を提案。Web上でバーチャルツアーを行うだけでなく、「文字や音声で空間の案内を行なう」、「画面上に全体マップを表示させる」、「宝探しなどミニゲームが遊べる」など、同社ならではの付加価値をアピールしていた。

▲VR360で表現されたハートコアのオフィス(左/同社サイトより)と、4K3DカメラのMatterport(右)



バーチャルウインドウ

視線認識とスクリーン投影を組み合わせ、フィットネス向けに「被らない」VRシステム「vFit」を提供するバーチャルウインドウ。トレーニングマシンの前方に、前面と側面を覆うようなかたちでスクリーンが設置される。頭部の位置に合わせて映像が最適な場所に表示されるしくみもあり、これによって高い没入感で衛生的にトレーニングができる。表示部にはカシオ計算機製の「水銀ゼロ・プロジェクター」が3機使用されている。ブースではトレッドミル型の「vFit/Run」と、フィットネスバイク型の「vFit/Cycle」に加えて、バーチャルボートレースのデモも行われていた。

▲トレッドミル型の「vFit/Run」(左)と、フィットネスバイク型の「vFit/Cycle」(右)。後者では曲面スクリーンが採用され、よりコンパクトになっている



TIS

システムインテグレータ大手のTISブースでは、ガイドの案内を聞きながら、現地で撮影された360度動画内に入り込み、ツアーやコミュニケーションサービスが楽しめる「XR Campus ツアー」と、ブラウザなどを別途起ち上げることなく、VR空間上で決済ができる「XR Pay Wallet」サービスのデモが行われていた。「XR Campus ツアー」では、PCやスマートフォンなどでログインし、アバターを活用して遠隔地によるコミュニケーションが楽しめる。「XR Pay Wallet」は、VRの没入感を損なうことなくスマートな決済が可能だ。他にも様々な研究開発を進展中だと語っていた。



  • ▲360度、動画内でアバターによるコミュニケーションやツアーを楽しむ「XR Campus ツアー」



  • ▲ブラウザなどを別途起ち上げることなく、VR空間上で決済ができる「XR Pay Wallet」



Life is Style

Life is Styleのブースでは、3Dホログラムファンディスプレイ「3D Phantom」の展示が行われていた。複数の3D Phantomを同期させて、大型の映像を投影することもできる。映像だけでなく、ボタン操作などでインタラクティブに映像を操作するためのソフトウェアも開発中で、今秋に公開予定とのこと。円形ディスプレイといえば、世界初のビデオゲームとされる『Space War!』が開発されたDEC PDP-1などが知られており、時代が1周して回ってきたようにも感じられた。

▲複数の3D Phantomを同期させて、大型の映像を投影するデモ



  • ▲3D Phantomのデバイス。ブレードが高速回転して映像を投影するしくみだ



  • ▲キー操作やボタン入力などで、インタラクティブに映像を操作するデモ



シネ・フォーカス

床面に投影された映像を歩くだけで、映像がインタラクティブに反応する「グラウンドFX」の展示を行なっていたのが、シネ・フォーカスのブースだ。必要なシステムが一体化され、床に置くだけで楽しめる「Cube」と併せて紹介されていた。床に置くだけで、すぐに約80種類のゲームやコンテンツが楽しめるというもので、催事用などで引き合いが高いという。他に3Dホログラム映像で実際の商品の魅力を引き立たせる「Dreamoc」シリーズの展示もあった。

▲「グラウンドFX」のデモ風景(左)と、PCとプロジェクタなどが一体化された専用システム「Cube」(右)。床の上に置くだけですぐに約80種類のゲームやコンテンツが楽しめる

Realfiction(デンマーク)が開発した、実物の商品とからめた3Dホログラムが投影できる「Dreamoc」シリーズ



XR総合展をふり返って

他にも様々な展示が行われていた「XR総合展」。中でも多かったのが、VR HMDとゲームエンジンの組み合わせだ。ゲームやホビー用途から始まったVR HMDがB2B用途に拡大し、様々なサービスやプロダクトを生み出しており、PCの進化の歴史が再現されているようで興味深かった。その上で、こうした普及を促している要素にコロナ禍があることは言うまでもない。今後も5Gの普及や社会のDX化の流れに伴い、さらなる活用が期待されているように感じられた。





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