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Blenderで描き出すSci-Fi世界、オリジナル作品『Visitor』『Dragon Skyscraper』

Blenderで描き出すSci-Fi世界、オリジナル作品『Visitor』『Dragon Skyscraper』

<2>オリジナル作品『Dragon Skyscraper』メイキング

ネオンサインが描き出す特異な街の表情

本作のコンセプトは、「多数のネオンサインが織り成す空間」。筆者はネオンサインがすごく好きで、ネオンの柔らかい光が照らす街の表情に強く惹かれる。それが本作制作のきっかけとなった。

作品内で中心的位置を占める大きなドラゴンのネオンサインは、前述のIan Hubert氏に対するリスペクトから制作したものだ。彼の作品にもドラゴンとラーメンのネオンサインが登場しており、あまり目立ってこそいないが、非常に魅力的に感じている。

制作期間はおよそ1週間と短い。その理由は、半数以上のオブジェクトは別作品で制作したものを流用し、組み合わせてつくり上げたためだ。本作は、筆者の過去作と比較的世界観がよく似ていたため、オブジェクトをある程度使い回しても違和感なく表現できると判断し、効率的にレイアウトを行なった。

twitter.com/adana_xxx/status/1427374715778174982

派手なネオンで描き出す独特な世界観

▲本作では、ネオンサインをはじめとする派手な色の広告を多用しながらも、作品の世界観を乱さないことを重視した。目に飛び込んでくる大きなドラゴンのネオンはパスを用いて制作

▲最終的には、ネオン管ひとつひとつの両端を後ろに押し出すことで、設置部分とのつながりを再現している。また、ネオンの近くにはヒューズボックスが配置されているといった必要十分なリアリティも追求。大きな縦長の柱に沿ってドラゴンのネオンを配置し、アーチに沿ってネオンの看板を湾曲させたりと、街の中にこうしたサインが溶け込むように表現やレイアウトを工夫した

俯瞰で見せるダイナミックなレイアウト

▲本作のシーンは、大きく吹き抜けた空間全体を俯瞰で見下ろすような画角になっている

▲そのため、作品として縦方向の表現を強調するために、ドラゴンのネオンが吹き抜けから上へダイナミックに昇っていくよう、最も目立つ位置に配置。さらに、上から下へと伸びる何本もの太い柱を中心に通路や橋をかけ、建造物を構築した【画像】。なお、最下層はつくらず無限にこの摩天楼が続いていくように表現するのも良いと思ったが、水面に映り込むネオンの光が美しかったため、あえて地表には水を張り、ながれを切った

ネオンを引き立たせるライティング

▲シーンには街灯も多数配置されているが、あくまでメインはネオンサイン。街灯の光は主張しすぎないように弱めにしている。また、ネオンが配置されているのは下階層よりもライトが少ない上階層とすることで、ネオンの柔らかな光をより際立たせることにした。さらに、人工的な光と太陽の光の明暗差と、それがもたらすシーンの印象の変化が生み出すシーン全体のコントラストについて、しつこいほど調整を行なっている。太陽光はサンライトを使うとねらった場所を照らしにくいため、あえてスポットライトを選び、かなり高いW数で下階層のみを照らしている

効率的なオブジェクト操作で情報量を増やす

▲本作では情報量をできる限り増やすことで、作品を観る人にインパクトを与えることをねらいとした。それを表現するにあたり、効率的に情報量を増やす必要があったため、Ian Hubert氏の作品を参考に万能なオブジェクトを1つ作成し、そのオブジェクトをスケールしたり、見せる角度を変えることで、新しいオブジェクトを作成する工程を大幅に削減している

▲このオブジェクトは上部が格子状あるいは尖った形状で、向きやスケールを変えても違和感なく使用できた。シーン内で実は50個近く配置されているが【画像】、少し見ただけでは同じオブジェクトが露骨に配置されているように見えないはずだ

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▲また、網状の構造物も手軽に情報量を増やせるアイテム。今回制作した柵などは、平面をループカットし、ところどころ頂点和ベベルを適用、ワイヤーフレームモディファイアーを入れることで素早く作成した

見えないところはつくらない

▲筆者がシーン制作で最も重要視していることは、「見えないところはつくらない」こと。反射などで映り込む場合を除き、見えていない部分を必要以上につくり込まずに効率化している。本作では建物は正面しか見えないことがほとんどだったため、正面から撮った建物の写真を使って、柱や窓枠などに沿って押し出したオブジェクト【画像】を用意

▲また、本作とは別の作例では、背景に使用されている建物はほぼハリボテか、透過画像のアルファ抜きでつくった

画像テクスチャで素早く確かな表現に

▲現実の物体等を3DCGで表現する際には、画像テクスチャを使うのが最も楽で素早く、またある程度のクオリティを担保できる方法だ。本作では最下層の水以外の全てのマテリアルについて、画像テクスチャをベースにしている。室外機やヒューズボックスもそのように制作した

▲ほとんどの場合、画像テクスチャから粗さとノーマルに対して、それぞれカラーランプやバンプを通してノードをつないでいる。また、テクスチャの色味がシーンに合わない場合は、色相/彩度や、RGBカーブなどのカラー系のノードを使って色味を合わせている



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