>   >  『蒼穹のファフナー EXODUS』3DCGの美点を活かしたオレンジならではのアニメCG制作
『蒼穹のファフナー EXODUS』<br />3DCGの美点を活かしたオレンジならではのアニメCG制作

『蒼穹のファフナー EXODUS』
3DCGの美点を活かしたオレンジならではのアニメCG制作

<POINT:2>アニメーション付けとエフェクトの作成

本作ではファフナーやフェストゥムが3DCGになったことで、10年前のテレビシリーズと比べると格段に地上戦も空中戦も増えている。アニメーターは1話あたりに10人ほどが必要だが、3DCGカットの少ない話数ではスタッフ数は減らして、空いたリソースを3DCGカットが多い話に人数を割り当てるなど、スタッフ数は常に変動している。カット制作の中でも特に難しいのが空中戦だ。グリッドを表示した平面を地面と上空に置き、パース感などを考えながら、しかも観ている人が飽きないように多様な動きを組み合わせてつくられている。アニメーションとエフェクトの制作については、まずアニマティクスを作成。徐々にアニメーションを詰めていき、カラーとラインだけをレンダリングしてチェックを行う。

「1度目のQTチェックはオレンジ側から監督への提案という意味合いもあります。面白いアイデアは最初に盛り込んでおくようにしていて、みんな毎回かなり力を入れています」と島本氏。そのほか、2Dによるエフェクトを足したり、エフェクトを馴染ませるための照り返し表現などを加えた後、最終的な撮影工程へと引き継がれる。「少ししか出てこない敵は3DCGではなく作画で描いてもらうこともあります。特にフェストゥムの体が引き裂かれる欠損シーンなどは作画になることが多く、3DCG側からはガイドを出しています。助けてもらうところは助けてもらっていて、ファフナーは作画と3DCGの両方の強みを活かした作品と言えると思います」と織笠氏。また、「この作品では特にスタッフの成長の度合いがすごいんです」と吉本氏が語るように、作品のクオリティはもちろん、長く続くシリーズだけにスタッフの技術も制作の中で格段に上がってきているそうだ。

アニメーション付けのながれ

マークドライツェンが高架道路で戦うカット。

▲<A>絵コンテ

▲<B>アニマティクス。背景のアタリを置き、カメラワークと機体の移動やおおまかな動きのタイミングを付け、その後で手や足の細かいモーションを付けていく。武器から出ているビームは撮影で2Dのエフェクトをかけるため、この段階ではエフェクトの勢いなどを確認するための仮素材を入れている

▲<C>ビームや消滅のエフェクトを作成した状態

▲<D>チェック用にカラーとラインのみをレンダリングしたもの

▲<E>血飛沫やエフェクトの照り返しなどを入れた状態。この後、作業は撮影チームへと引き継がれ、最終的な撮影処理が施されて完成

ワームスフィアの表現

フェストゥムが発生させるワームスフィアの制作例。まず、撮影側が用意したワームスフィアの素材を3DCG上で正確に配置する。その後、外部フリープラグインを使用して位置情報を出力することで、After Effectsで読み込んでも3D的に正しい位置情報がわかるようにしている。

▲<A>撮影から提供されたワームスフィア素材/<B>3ds Max上にワームスフィアのアタリを配置した様子

▲<C>外部フリープラグインにより、 3ds Max上のカメラと位置情報をAfter Effectsに読み込む

▲<D>3DCGでの完成画(撮影処理前)

結晶化のエフェクト

フェストゥムによる"同化"こと、結晶化の表現の一例。結晶は緑色のベースに素材をいくつも足していくことで輝かせている。標準のパーティクルで発生アニメーション付きのクリスタルをつくり、カラー素材や裏側の素材、質感を出す素材などを重ねて発光させ、さらに撮影で処理を行なって完成。「街が結晶化していくシーンは街を美術さんにもらってから、その美術に合うように発生源となるモデルを作成してクリスタルを生やしています。このパーティクルは非常に重いので、ずらして出して、ずらして出してと何重にも重ねています」(吉本)。

▲<A>標準のパーティクルで作成したクリスタルが発生するアニメーション

▲<B>>~<J> クリスタルの発光用の素材、および完成したクリスタル

▲<K>クリスタルの発生源となる簡単なBGのモデル

▲<L>3DCGでの完成画(撮影処理前)

飛び散る瓦礫のエフェクト

マークザインが地面を削りながら猛スピードで進んでいくカット。

▲<A>標準パーティクルによって作成した瓦礫

▲<B>同じく、標準パーティクルによって作成した砕かれて飛び散る小石

▲<C>マークザインの通り道に合わせて、地面の削られたテクスチャを出力

▲<D>3DCGでの完成画。2Dの煙と3Dの瓦礫や地面の削られた溝などが綺麗に馴染んでいる

TEXT_武田かおり)
PHOTO_弘田 充





  • 『蒼穹のファフナー EXODUS』

    原作・XEBEC、シリーズ構成・冲方丁、 アニメーション制作・XEBECzwei、監督・羽原信義、総監督・能戸隆、製作・FAFNER EXODUS PROJECT/MBS

    fafner-exodus.jp

Profileプロフィール

オレンジ/Orange

オレンジ/Orange

右より、CGチーフ・織笠晃彦氏、CGチーフ・吉本一貴氏、CGアニメーター・島本晋太郎氏
www.orange-cg.com

有限会社オレンジ

有限会社オレンジ

フリーランスのCGディレクターだった井野元 英二氏が2004年に設立したCGプロダクション。
作画アニメと3DCGの自然な融合を得意としており、特にロボットの演出で高い評価を受けている。代表作はTVアニメ『銀河機攻隊 マジェスティックプリンス』、『蒼穹のファフナー EXODUS 』、劇場版アニメ『コードギアス 亡国のアキト』など。2016年も、やりがいのあるアニメCGの仕事が目白押しだという。
求人情報:http://cgworld.jp/jobs/21018.html
会社情報:http://www.orange-cg.com

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