CGW:実際に仕事をするうえで、どのようなメリットを感じますか?
北田:オフィスの賃料をはじめ、固定費が安い点は大きいですね。渋谷にある東京本社より1/3の賃料でおさえられています。CG関連の企業が市の中心部にぎゅっと集積していて、10分程度で行き来できるので、打ち合わせも効率的です。横の繋がりも強くて、長屋の寄り合い状態というアットホームな感じも受けますね。また、自分は映像系の専門学校で講師もしているのですが、若くて優秀な人材が多いのも強みですね。弊社でも地元採用を進めています。
CGW:一方で東京との距離の差を感じることはありませんか?
北田:距離の差がないといえば嘘になりますが、それを縮めるための環境作りは進めています。東京本社の背景チームと福岡オフィスとで分業して作業を進め、ある程度できあがったところで東京本社や福岡オフィスで仕上げを行うのが主な作業フローです。 日々のコミュニケーションはSkypeやチャットツールで行い、アセットは東京と福岡をVPNで結び、共通のファイルサーバを立てて管理運用しています。今後は海外の最新事例を参考に、パイプラインの整備も進めていきたいですね。
CGW:北田さん自身もディレクションを行うのですか?
北田:そうですね。背景モデリングは福岡で自分がディレクションし、キャラクターモデリングは東京で岸本が行っています。もっとも、自分もモデラーとして手を動かしていますよ。進行管理なども今のところは自分の仕事です。スタッフのモチベーション管理も重要な仕事の一つです。プロであれば仕事がモチベーションによって左右されてはいけませんが、まだまだ日本ではそうしたケアも重要ですからね。マネジメント業務もあるので、一人4役をこなしています(笑)
CGW:福岡オフィスの人員構成などについて教えてください。
北田:いまは自分も含めて7名で、うち4名が今春から入社した新卒です。そのうち3名は福岡出身で、1人は東京採用です。他に2年目の若手が1人、東京から移住しています。これ以外に1人、半常駐で働いてくれている外部クリエイターがいます。みな若いので、彼らを実務を通して育てながら仕事を進めています。自分の目が届く範囲でスタジオの密度を濃くしていきたいので、毎年若干名ずつ採用を続けて、12人で留めるつもりです。
▲福岡オフィスの社員
CGW:ちなみにお給料は・・・
北田:東京規準であわせていますので福岡勤務だからといって安くなったりはしていません。そのため物価も安く通勤時間も短い福岡での生活は、かなり魅力的ではないでしょうか。自分のように結婚や子育てでワークライフバランスを改善させたいという人にとっても、魅力的な選択肢の一つだと思います。一方で「となりの芝生は青い」という理由で採用をすることはありません。人数も少ないので、オペレーターをそろえるのではなく、クリエイター集団でありたいですね。
東京で研鑽を積み、海外に飛び出して技術や知見を深め、今また福岡でスタジオを構えた北田氏の生き方は、CGクリエイターの新たなロールモデルだろう。今後4ー5年かけて海外に通用するスタジオに育てていきたいという北田氏の挑戦に期待したい。
TEXT_小野憲史
PHOTO_弘田 充、BUZZHOOK
U/Iターン経験者に聞く!福岡のここが魅力!
- 上の子が6歳、下の子が5歳で、東京よりものびのびと子育てができる点が良いですね。東京では電車で1時間かけて通っていましたが、今では車で2-30分程度に縮まりました。それでも「遠すぎる」と驚かれるくらいで、弊社のスタッフもみな徒歩5ー10分程度の場所に4ー6万円くらいの物件を借りて生活しています。クリエイターのコミュニティが小さく、つながりが密接なのも「ご近所づきあい」といった感じでいいですね。
INFORMATION
- 福岡クリエイティブキャンプ 2015
主に首都圏で活躍しているIT・デジタルコンテンツ等の開発経験者(クリエイティブ人材)の福岡市内企業へのU/Iターン転職を応援するために,福岡市が実施するプロジェクトです。
●詳細はこちら●
fcc.city.fukuoka.lg.jp/
EVENT INFORMATION
- 『FUKUOKA』のクリエイターが東京/大阪に集結!
CGWORLD CREATIVE MEETING
参加申込、詳細はこちら
http://cgworld.jp/special/cgwmtg-fcc/
JOB INFORMATION
ModelingCafeでは『福岡クリエイティブキャンプ』を通じて以下の職種を現在募集しています。
【募集職種】
1.モデラー
2.コーディネーター
3.プロデューサー
【求人内容/応募はこちら】
http://fcc.city.fukuoka.lg.jp/work/303/