>   >  中学生・高校生に"3DCGは簡単、楽しい"という体験を。ライフイズテックに聞く「Maya 3DCG Special 1day」開催のねらい
中学生・高校生に

中学生・高校生に"3DCGは簡単、楽しい"という体験を。ライフイズテックに聞く「Maya 3DCG Special 1day」開催のねらい

<2>ブラウザで動くインタラクティブな学習教材

CGW:そこで使われるのがオンライン学習教材ということですが、どういった内容でしょうか?

橋本:HTML5で作られたブラウザベースのインタラクティブ教材で、アドベンチャーゲーム仕立てになっています。自社開発の「MOZER」というシステムがベースで、現在はWebデザインについて学べる「デイジーと秘密のメッセージ」というサービスの体験版を無償公開しています。プレイヤーはパン屋のマーサのWebサイトづくりを手伝いながら、街で起きたハッキング事件の謎を解いていくというもので、一般のWebサイト制作向け教則本と比べても遜色ない内容をより簡単により楽しくスピーディに学べます。

CGW:アニメーションやサウンドなどの演出が満載で、一般的なアドベンチャーゲームと比べても遜色がないつくりですね。技術面でも一枚のWebページでヒントとコード画面とプレビュー画面が混在している点など、かなりハイエンドなことをされている印象を受けます。このあたりのデザインは、ゲーム業界の経験が長い橋本さんならではですね。

橋本:ありがとうございます。サービス設計から実装、教材の一言一句の調整まで色々みんなで試行錯誤して作りました。現在はWebデザインのみですが、今後は他のコースについてもコンテンツを追加していき、地方の子どもたちにも手軽に学べる環境を提供していく予定です。「Maya 3DCG Special 1day」で使用する教材も、最終的にはこのクオリティまで磨いていき、Web上で公開することをめざしています。

CGW:Mayaの教材は、具体的にはどんな内容が盛り込まれているのでしょうか?

橋本:Webデザインの教材と同じようにブラウザベースで、マウスでクリックしながら進めていき、Mayaの基本的な操作を動画で学べるというものです。これ以外にMayaや3DCGの基礎知識に関するクイズ問題なども盛り込まれます。当日はこの教材とMayaを交互に切り替えながら学んでいくことになります。

「Maya 3DCG Special 1day」で使うMayaのインタラクティブ教材。3DCGの知識のない参加者でもつまづくことがないよう丁寧に操作方法を説明している

CGW:現状では、基本的なMayaの操作の説明が中心ですが、これが将来的に「デイジーと秘密のメッセージ」のクオリティにまで高まれば、画期的な教材になりそうですね。気の早い話ですが、ローカライズなどはされるのでしょうか?

橋本:はい、すでに「デイジーと秘密のメッセージ」は英語版も公開されていて、海外からのアクセスもあります。今はテキサスの中学校での試験運用もしているんですよ。Mayaの教材でも英語版をつくって世界向けに公開したいですね。実際にゲームの良さを活かしたMayaのインタラクティブ教材って、世界にも存在しないんですよ。中学生・高校生だけでなく、大人でもしっかり学べる内容になっていますので、Mayaのユーザーが一人でも増えればうれしいですね。

<3>プロが刺激を受ける環境をつくりたい

CGW:それは楽しみですね。一方でこうした教材が普及すれば、ワークショップ形式ではなくても、一人で家で学べば良いという考え方も出てきますが。

橋本:MOZERは家で一人で学ぶことが出来るようにするためのサービスという側面もありますから、それはある意味では正しいです。ただ、弊社ではワークショップなどの対面形式で行うこともとても重要だと考えています。大学生のメンターと参加者、あるいは参加者同士の交流を通して、自然にモチベーションが高められますし、そうした交流が学ぶ楽しさにつながるからです。これはライフイズテックの経験則ですが、メンター1人に対して生徒が6人というのがバランスが良いようです。

CGW:マンツーマンで実施するよりも、グループの方が良いんですね。

橋本:それぞれに良さはあると思いますが、弊社ではそうしていますね。3~8日間を通して1つのコースを学ぶ弊社の「Life is Tech!CAMP」では、はじめに参加者の自己紹介から始まって、メンターと仲良くなってもらい、メンターを通して参加者間の交流を促進させ参加者同士のグループワークにつなげるといったように、学習内容だけでなく、コミュニケーションのながれもデザインされています。

昨年行われた「Life is Tech!CAMP」のワンシーン。グループワークをとおしたメンターと参加者の交流が、モチベーションアップや学ぶ楽しさをもたらしている(写真提供:ライフイズテック)

CGW:ちなみに「Maya 3DCG Special 1day」では、グループワークは行われるのでしょうか?

橋本:いえ、今回は1日だけの実施ということもあり、まずは参加者がメンターと仲良くなってもらって、Mayaを通して3DCGの楽しさに触れてもらうことを目的としています。ただ、近い将来にはグループワークにつなげていきたいですね。自動車をたくさんつくってレースシーンをつくったり、モンスターと冒険者が入り乱れて戦うファンタジー世界のバトルシーンをつくったり、などもできそうですね。

CGW:そうしたグループワークが、ゲームづくりまでつながればおもしろそうです。

橋本:そうですね。実際にUnityのアプリ制作やオーディオ制作と3DCGは相性が良いですから。Mayaのコースが触媒となって、さまざまな展開につながっていけば良いですね。

CGW:なるほど。

橋本:こんな風に中学生・高校生がMayaを普通に使うようになると、それこそ『Minecraft』のように、とんでもない作品がつくられるようになっていくと思うんですよ。弊社のMOZERも、近い将来SNS機能を搭載して、完成した作品をWeb上で公開できるようなしくみを予定しています。そうした作品をプロが見て刺激を受けたり、3DCGの学び直しやキャリアチェンジのきっかけにつながったりすると良いですね。

CGW:それはますます楽しみですね。

橋本:「Maya 3DCG Special 1day」の開催も、そんな未来の第一歩につなげたいと思っています。



  • 「Life is Tech ! Summer Camp 2017」開催決定!
    ●日時:2017年7月15日(土)~8月26日(土)(計24回実施)
    ※開催日程などは順次追加予定
    ●プログラムの日数:3日間・4日間・5日間・8日間
    ●参加申し込み期限:2017年7月3日(月)まで
    ※各会場・コースの定員に達し次第、受付終了
    ※2017年5月8日(月)まで早割(3,000円割引)あり
    ●実施コース:プログラミングやデザイン、ゲーム制作など「興味」にあわせて選べる17コース
    コース一覧は以下のとおり
    iPhoneアプリ開発コース、Androidアプリ開発コース、ゲームクリエイター入門コース(2D)、Unity®ゲームプログラミングコース(2D・3D)、Webデザインコース(HTML/CSS)、Webサービス開発コース(Ruby)、デザイナーコース、アニメーションコース、映像編集コース、メディアアートコース、デジタルミュージックコース、MINECRAFTプログラミングコース、初音ミク V3コース、LINEスタンプクリエーターコース、IoT入門 with MESHコース、カメラ&フォトグラフィーコース、Maya 3DCGコース(新)
    ※一部会場により実施されないコースがあります
    ●参加対象者:全国の中学生・高校生
    ●参加費:¥39,900(税別・3日間通いの場合)~
    ●キャンプの詳細・お申し込みはこちら
    life-is-tech.com/camp

Profileプロフィール

橋本善久/Yoshihisa Hashimoto(ライフイズテック)

橋本善久/Yoshihisa Hashimoto(ライフイズテック)

東京大学工学部卒業後、セガで技術ディレクターやゲームディレクター、スクウェア・エニックスでCTOなどを務め、小規模から大規模まで様々な家庭用ゲームソフトやゲームエンジン開発の経験を持つ。2014年末よりライフイズテック株式会社 取締役CTOに就任しオンラインプログラミング学習サービス「MOZER」の開発に従事。リブゼント・イノベーションズ株式会社 代表、株式会社INEI 執行役員、他を兼務

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