>   >  撮影した写真が即座に3Dモデルに――背景アーティスト中村基典に聞くフォトグラメトリの活用法とVRへの展望
撮影した写真が即座に3Dモデルに――背景アーティスト中村基典に聞くフォトグラメトリの活用法とVRへの展望

撮影した写真が即座に3Dモデルに――背景アーティスト中村基典に聞くフォトグラメトリの活用法とVRへの展望

自主制作をするのは自らの腕を試し続けるため

CGW:フォトグラメトリのこれからの応用例はどのようなものが考えられますか?

中村:すでに始められている方も多いと思いますが、VRへの応用は非常に有効だと思います。写真ベースで作ってあるので、見た目からしてその場にいるかのような仮想現実をつくることができます。それも写真を撮るだけで可能になるので、VRに非常に向いていると思います。

中村:また、測量にも応用が効くと考えられます。レーザーなどの精度が高い装置もありますが、個人レベルで使いこなすにはスペックの良いスマートフォンのカメラが取り回ししやすいでしょう。また、ドローンで測量した映像から3D化し、VRにもっていったりと有効活用できる場がたくさんあると思います。

CGW:中村さんはこれからどんな創作活動をしていこうと考えていますか?

中村:普段はゲーム制作会社で働いているのですが、前職の先輩のゲーム制作の手伝いをしていて、それがようやく落ち着いたので、次は京都の街並みのUnreal Engine用アセットを作り始めています。

CGW:1日のスケジュールはどのように割り振っているのでしょうか?

中村:平日に時間が取れるときは、朝早めに起きて作業しています。プラス土日ですね。CG漬けの毎日です(笑)。これを始めたのもやっぱり自分が作ったものとして反響をいただけるからだと思います。業務で作るものは大勢で作る大型の作品ですから、自分が携わるのはほんの一部に過ぎません。ですが、こうした自主制作は100%自分の力で作るので、良いも悪いも全て自分に返ってくるのが楽しいんです。反響を含め、それがモチベーションに繋がります。どうしてそこまでCGに触れていたいのかというと、自分には今ちょっとした危機感があるんです。

CGW:どういうことでしょうか?

中村:自分の歳になると、会社ではもう管理の仕事が多くなっていて、自分で手を動かす時間が減ってしまっています。だからその分、家では腕が落ちないようにと作業をしています。やっぱり手を動かしている同僚が作ったものを見ると、みんなどんどん上手くなっているんです。そこで自分は管理ばかりで作れないという状況だからこそ、家で作る。その際にもなるべく本業とは違うモチーフを選ぶなど、新しいことにチャレンジするようにしています。フォトグラメトリで写真を撮るときにはカラーチェッカーを使っていかに正しい色で3Dにもってこられるかを検証したり、影の部分を加工するための新しいツールを使ったりと、良いアウトプットを試しています。

CGW:CGWORLD Online Tutorials『フォトグラメトリーを活用したフォトリアルな神社アセット制作』を制作・配信してみていかがでしたか?


中村:非常に良い機会をいただけたと思います。お話をいただくなかで伺ったのは、CGWORLD Online Tutorialsにはプリレンダー系のフォトリアルCGを扱った動画はいくつかあるのですが、リアルタイム系が少なかったそうなんです。今回Unreal Engineでリアルタイム用の軽量なアセットの作り方の過程を示すことができたので、ご覧いただいた方には貴重なノウハウをお伝えでき、価値を感じていただけるのではないかと思います。まだご覧になっていない方も、興味をもっていただけたらぜひ一度見てみてください。


フォトグラメトリーを活用した
フォトリアルな神社アセット制作
(CGWORLD Online Tutorials)
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Profileプロフィール

中村基典/Motonori Nakamura

中村基典/Motonori Nakamura

CG専門学校卒業後、都内のゲーム開発会社に就職。モバイル/コンシューマーゲームのリアルタイムレンダリング3D背景制作全般に携わる。CGWORLD vol.244(2018年12月号)にて「フォトグラメトリを活用したフォトリアルな神社アセット」を寄稿。Unreal Engineマーケットプレイスにて神社アセットを販売中
motonak.jp
Twitter:@motonak_jp

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