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「UI/UXは空気のような"恋人"」UI/UXデザイナーに求められる次世代のマインドセット

「UI/UXは空気のような"恋人"」UI/UXデザイナーに求められる次世代のマインドセット

UI/UXのワークフロー今昔物語

CGW:こうしてふり返ってみると、2009年~2012年という、ガラケーからスマホに大きく転換していく時期に業界に入られたのは、けっこう面白いタイミングでしたね。

太田垣:面白いタイミングでした。恵まれていたと思います。

CGW:ゲーム業界とWeb業界が融合していく中で、それぞれの強みを感じられたことはありますか?

太田垣:そもそもWebのUI/UXデザインには、情報を読ませたり、モノやサービスを売るという明確な目的があります。これに対してゲーム業界出身のUI/UXデザイナーは雰囲気やワクワク感も重視する傾向があって。特にグラフィッカーあがりだと、オシャレ感を出すために文字の大きさを小さくしすぎて、視認性が下がってしまったことがありました。逆にWeb出身の方はインタラクションとしてのデザインは強いんですが、気持ちのいいアニメーションだとか、こってりした訴求力のあるデザインがちょっと弱かったりして。そこはゲーム出身の方が強みがありました。そのため、それぞれのいいところを活かしたチームが作れると、すごくハマる感じでしたね。

CGW:最近はどのプラットフォームが多いですか?

太田垣:今はPCが多いです。

CGW:PCは画面が大きいから大変ですね。MMORPGやRTSなどが顕著ですが、うっかりすると画面がアイコンだらけになりがちです。

太田垣:しかも画面の最小解像度と最大解像度が、お客様の環境ごとに全然ちがうので。いまだに1,024×768ピクセルの画面が生き残っていたり、逆に4K解像度だったり。それぞれのモニタ環境で違和感なく成立させることに、苦心していますね。

CGW:いくつかUIのバージョンをつくるんですか?

太田垣:つくりますね。もっともつくり方もプロジェクトによって様々で、ざっくりと割り切るパターンもあれば、工数が潤沢に取れれば、キチンと全種類を用意することもあります。UI/UXデザイナーとしては、それぞれのデバイスにあった解像度で用意してあげたいんですが・・・。

CGW:デバイスがどんどん新しくなっていく中で、UIの開発スタイルも変わっていったと思います。PS2のころは前述したように、まだプログラムの直打ちやハウスツールが中心でした。PS3時代になると、ScaleformのようにFlashを使用したUI/UXデザイン向けのミドルウェアが出てきましたよね。あれでかなりワークフローが改善された印象があります。その後、UnityUE4が出てきて、さらに楽になりました。

太田垣:私の場合だと、Scaleformではありませんでしたが、同じようにFlash上でUIをデザインして、インハウスのエンジン用にデータをコンバートしてくれるツールがありました。これでUI/UXデザイナーがエンジニアに実装する際、いちいちお願いしなくても良くなって、かなり楽になりました。今でもプロジェクトによっては、インハウスのゲームエンジンを使用していますが、汎用ゲームエンジンの場合だとナレッジを相互に共有できて、非常に助かるんですよ。

UE4を使用するプロジェクトでのUI仕様ドキュメント例。汎用ゲームエンジンが普及したことにより、エンジニアへの実装依頼にかかるコストが大幅に削減された

CGW:どんどん開発環境が変わってきたんですね。その一方でUI/UXデザインは、あまり学校で教えられる機会がないんですよ。学生が勉強しておいた方が良いツールはありますか?

太田垣:基本のPhotoshop、Illustratorはもちろんですが、ゲームのUI/UXデザイナーを志すなら、UIのプロトタイプツールは使っておいた方が良いでしょうね。講演でも話したように、個人的にはAdobe XDをオススメします。UI/UXデザイナーは設計の段階が重要で、Adobe XDを使うとデザインの前段をデザインできます。ただ、そこは好みもあるので。他にSketchや、Affinity Designerなどもいいですね。いずれにしても、単なるグラフィックとしてのクオリティではなくて、ゲームのフローを通した一連のプロトタイプデザインを学生のうちから勉強しておくと、かなり役に立つんじゃないかなと思います。

CGW:Adobe XDでフレームワークをつくると、それをUnityなりにエクスポートできるのですか?

太田垣:まだそこまでは便利になっていなくて。あくまでプロトタイプ用として割り切って、チーム内の意識を統一する目的で使っています。実はAdobe XDからWebには出力できるんですが、ゲームエンジン向けの対応はまだなんですよ。実際、UI/UXはWebをはじめ、ゲーム以外の業種で先行している印象があります。ゲームは少しずつ、それを追いかけている感じですね。

開発の上流工程だからできること

CGW:そんな風に仕事をされていく中で、デザイナーには2つのタイプがあると思っています。第一に感性だけで突っ走って、すごいアウトプットを出すんだけど、言語化できないタイプ。第二に自分のノウハウを言語化して、人に説明できるようになるタイプです。太田垣さんは後者だと思いますが、そんな風にUI/UXデザインについて、言語化や体系化を意識されるようになったきっかけはありますか?

太田垣:数年前までは誰か1人ズバ抜けた開発者がいて、その人が血ヘドを吐いてがんばれば、何とかなりました。UI/UXデザイナーが1人しかいないプロジェクトも普通でした。しかし、昨今では開発規模がだいぶ大きくなっていて、開発費が最低でも数億円、中には数十億円というタイトルが一般的になっていますよね。そうなると、チームでの開発や協力体制が必須になります。私の直近のプロジェクトでも、UI/UXデザイナーが5名体制ですね。そのうえで、さらに外部の協力会社さんに手伝っていただいている状況なので。そうなってくると、UI/UXのデザインプロセスの標準化が必要になると考えました。

その背景にあるのが開発ツールの標準化です。これまではインハウスツールでの開発が一般的で、タイトルが変わるごとに、それまでの実装スキルが役に立たなくなりました。しかしUE4やUnityが出てきたことで、実装スキルを別タイトルに活かせるようになりました。そのためナレッジをドキュメント化して、残しておくことに、すごく意味があると感じるようになりました。そこで、どんなメンバーが何名体制でデザインして実装したとしても、一定水準以上のクオリティとスピードを担保できるようなワークフローをちゃんとつくっていかなきゃいけないというふうに、系統立てて考えることになったんです。

大規模なチーム開発においてはレギュレーションの共有が必須。太田垣氏のかかわるプロジェクトではConfluenceを活用しているとのこと

太田垣:それとほぼ同じぐらいの時期から、売り切りのゲームがどんどん減っていき、長期運営タイトルが主流になっていきました。講演でもお話ししましたが、売り切りタイプのときは開発で100点満点をとって、その上でたくさん売れたらハッピーという感覚でした。しかし今は常に80点を取り続けるような、永遠に完成しないUI/UXデザインというスタイルに変わってきました。そういう意味でも体系化されたワークフローが重要になってきたのかなと思います。

CGW:実際、一度ヒットすると、10年ぐらい運営されるゲームもありますよね。

太田垣:そうですね。弊社でも『機動戦士ガンダムオンライン』がこのたび7周年を迎えました。他に『SDガンダムオペレーションズ』『ガンダムマスターズ』などもかなり長いタイトルですね。いずれも会社の売り上げを支える重要なタイトルです。

CGW:ちょっと話が前後しますが、バンダイナムコオンラインに転職されて、デベロッパーからパブリッシャーに移ってこられたことで、UI/UXデザイナーとして仕事の変化はありましたか? 

太田垣:すごくありました。それまで受託開発中心だったものが、パブリッシャーになったことで、企画開発からリリース運営までをワンストップでできるようになりました。そのため自由度が増した反面、自分たち自身でシビアなクオリティコントロールやコストの管理が必要になりました。また、お客様からの反応がダイレクトに届きますので、責任の重さを感じると同時に、やりがいも高まりました。両方の世界が見られて良かったです。これが片方だけだと、隣の芝生は青く見えるというか、わからなかったんじゃないかな? 

CGW:一般的にデベロッパーよりもパブリッシャーの方がポジティブなイメージがありますが、デベロッパーならではの楽しさは何でしたか?

太田垣:クライアントが許してくれる限り、好きなだけクオリティを追求できるところでしょうか。責任判断がパブリッシャーにおまかせなので、開発だけに集中して、ある意味ではすごく自由にやれるんですよね。今となってはクライアントも苦労していたんだろうなっていうのが、よくわかります。これがパブリッシャーだと売り方を考えたり、版権元との調整だったりが必要になります。その上で、これは事業として成立するのか、みたいなところまでシビアに考えないといけないですから。

CGW:企画を立てるって、そういうことですしね。

太田垣:これが受託の場合は貰ったお金とスケジュールの範囲で、のびのびとクリエイティブに注力できるので、それはそれですごく恵まれていたなと思います。

CGW:一方でパブリッシャー側になると、より上流工程にUIデザイナーが参加しやすくなるわけですよね。

太田垣:そうですね。社内でも早い遅いはありますが、自分の関わるプロジェクトでは、少数でいいので早めに上流工程に。できれば1~2名ぐらいはUI/UXデザイナーをアサインしてもらえるように働きかけをしています。

CGW:UI/UXデザイナーがゲーム開発の上流工程に参加することで得られるメリットとして、具体的にどんなものがありますか?

太田垣:UI/UXデザイナーに限らず、ビジュアルスタッフ全般に見られる傾向で「仕様がないとつくれません」という受け身の姿勢がありますよね。これが改善される可能性があります。3DCG演出との絡みがある部分などは好例ですね。例えばガシャ演出で、画面上で3DCGによるガシャが動いていて、その手前に「ガシャを回す」みたいなボタンUIの組み合わせがある場合、これまでだと開発後期まで誰も手を付けず、宙ぶらりんになりがちだったんですよ。

CGW:なるほど。

太田垣:これがUI/UXデザイナーが上流工程にかかわることで、「これって早めにコンテを切って、3DCG側に発注していかないと、完成しないですよね」などといった話が、積極的にできるようになりました。実際、チームとしての姿勢がかなり変わってきたと思います。

CGW:本来ならプランナーの役割なんですが、つい抜け落ちちゃうんですよね。

太田垣:そうなんですよね。また最終形のビジュアルイメージをプランナーだけでもてるかどうかという問題もあります。デザイナーが加わることで、表現の幅を広げた状態で議論ができるのかなと。そんなふうに本当はビジュアルから提案できることがあるのになと思っていたところに、少し切り込んでいけるようになったかなと思いますね。

CGW:実際、同じゲームメカニクスでもビジュアルが変わるだけで、ゲーム体験が大きく変わりますよね。その意味でもビジュアルデザインは、すごく重要ですよね。

太田垣:そうだと思います。

今後のUI/UXデザイナーに求められること

CGW:今後新しいデバイスがどんどん出てきて、ゲーム機もどんどん変わっていくなかで、ゲームのUI/UXはどうなっていくんでしょうか? 例えば同じゲームがベースでも、VRゲームではまたちがったUI/UXデザインが求められます。

太田垣:大きく3つあると思います。まず画面の解像度についてです。今は4K映像が普通になってきていて、8K映像もすぐそこまで見えてきています。ただ、どんなに画面が大きくなっても、人間の脳が一度に処理できる情報量は基本的に変わりません。一方でデザイナーは、描画できる領域が広がることで、つい1つの画面にたくさん情報を詰め込みたくなりがちです。これを今まで以上に、ぐっとこらえることが大切になります。今、ユーザーが一番欲しい情報は何なのか、余白を上手に活かしたデザインとはどういったものかいったことを、今まで以上に突き詰めて考えていく必要があるのかなと。特に欧米より日本の開発者の方が、情報を詰め込みたくなる傾向にあるように感じます。

CGW:我々の2Dデザインのベースには、スーパーのチラシだったり、漫画『コロコロコミック』の表紙的なものがありますよね。

太田垣:『コロコロ』は私も小さい頃、大好きだったので、ついやりたくなるんですが、そこはぐっとおさえて(笑)。本当に今、ここを見てほしいっていう要素を、ちゃんと抽出して、優先度付けしていく必要がありますね。それに画面の解像度が上がると、PPI(Pixel per Inch)の高いデバイスが相対的に増えていきます。今まで日本のタイトルでよく、ドットを活かした1pxデザイン的なものが多かったと思いますが、今後はより滑らかな曲線や、繊細な表現ができるようになっていきます。そのため、そちらを魅力的に表現することが求められるんじゃないかと思います。

CGW:余白を活かしたデザインのくだりは元雑誌編集者として耳が痛いです。

太田垣:第二に情報の伝達性では、よりユニバーサルデザインの要素が必要になってくると思います。今後クラウドゲームが本格的になっていきますよね。そうなると、1つのゲームが文字通り世界中で遊ばれる可能性が高まります。そのためには、単なるローカライズではなくて、最初からカルチャライズを意識していく必要があります。その際、年齢・性別・文化・国境を超えたユニバーサルデザインを心がけることで、どなたでも安心してゲームを楽しんでいただける環境がつくれると思っています。他に目の見えない方、耳の聞こえない方でも楽しめるエンターテインメントの需要もどんどん高まっていくのではないでしょうか。

CGW:渋谷駅の地下の案内標識が典型例ですが、画像検索などで10年前、20年前の構内の写真と比べると、今と全然ちがいますよね。すごくカラフルになっていて、ピクトグラムが多用されています。一方で単にベタベタなデザインが良いと思われている懸念もあります。

太田垣:そこは難しいですよね。昔だったら男性用トイレのマークは青色で三角、女性用トイレは赤色で逆三角、というステレオタイプ的な表現が主流でしたが、そうした思い込みを一度リセットすることが大切でしょう。そのうえで、本当に必要なデザインは何かを考えること。言い方を変えれば、ターゲットユーザーに本当の意味で向き合うときが来たのかなと思っています。デザインの押し付けではなくて、いろいろな人がいることを前提に、その中で市場を取っていくような考え方です。

CGW:実際、クラウドゲームを介して、世界中で同じコンテンツを楽しめる時代になってくることで、炎上リスクが広がる懸念もありますね。

太田垣:そうですね。そのためには差別的な表現をしないように、より一層気をつける必要があります。日本では当然とされている表現でも、国や地域によってはNGになるケースもありますしね。UI/UXデザイナーは、昔から倫理的にNGな表現や、政治・宗教がらみの表現を意識してきましたが、今まで以上に気付いていなかったことが、たくさんあるだろうと予想しています。

CGW:そして最後の要素です。

太田垣:それがご指摘にもあったVRゲームです。ここではより、3DCG側との綿密な連携が求められます。これまでUI/UXデザイナーはPhotoshopやIllustratorなど2Dデータを制作するツールを中心に学んできましたが、今後は3DCGの実装部分についてもどんどん造詣を深めていき、平面的な表現から飛び越えていく必要があります。そうすれば、より素晴らしい体験に繋げられるでしょう。ビジュアルだけではなくて、サウンドだったり、触感だったり。最近ディズニーでは、匂いまでUXの一部にしているほどです。実際、近い将来「香りデバイス」が出てきてもおかしくないですよね。そうした時代に取り残されないように、普段からゲームだけでなく、いろんなエンターテインメントの体験を積極的にしていく必要があると感じています。

CGW:近年のタイトルでは、『エースコンバット7 スカイズ・アンノウン』(2019)のVRモードのUI/UXデザインが良くできていました。まさに3DCG側との連携が必要になりそうですね。

太田垣:グループ会社のバンダイナムコスタジオが開発したタイトルですね。鍵を握るのはプロトタイピングだと思っています。実際、ゲームエンジンが普及したことで、VRコンテンツの開発障壁が少なくなりました。そのため早い段階から開発を始め、イテレーションを重ねて、UI/UXデザイナーが積極的に上流工程に参画していく必要があります。こういうデバイスにはこういう特性があるとか、こういうインタラクションがもっと企画部分に活かせるんじゃないかなとか。ビジュアルから、どんどん提案できる部分があると思います。

CGW:3DCGとUI/UXデザインの融合はVRゲームだけでなく、PCや家庭用のAAAタイトルでも進行中ですね。

太田垣:映像業界ではプリプロダクションという工程がありますよね。ただ、プリプロの重要性が認知されたのも最近の話だと思います。これとまったく同じことがゲームでも言えると思っていて。プリプロにもっとUI/UXの予算と期間を投入していただきたいなというのが、個人的な希望です(笑)。

CGW:もっとも、残念ながらUI/UXデザイナーの志望者は、あまり多くはありません。

太田垣:モデリングなどに比べると、地味な仕事に思えるかもしれません。そもそも専門の職種が存在することすら、最近になってようやく認知されてきたように思います。その一方で、私はこの仕事にすごく誇りをもっています。ビジュアルの中でも数少ない、ゲームの中身全てを俯瞰して見られるパートだからです。実際に業務ですごく感じるのが、プランナーさんやエンジニアさんをはじめ、他職種のメンバーとコミュニケーションを取る頻度の多さです。他の職種とかかわりあいながら仕事を進めていくのが、とても楽しいんですよ。

また、お客様が自分のデザインしたUIを使いこなして、快適にゲームプレイを楽しんでいただいている様子を見たときも、すごくやりがいが得られます。そういう魅力をもっと周知していきたいと思っています。

キャリアパスの面でも意外と広がりがあるんですよ。ゲーム全体を俯瞰で見る立ち位置であるがゆえに、アートディレクターや、企画的な意味でのディレクター、それからプロジェクトマネージャーなどにステップアップしていける可能性があります。実際、自分もプロマネに挑戦しているんです。そのため、UI/UXデザイナーはつぶしがきかないと思っている人がいたら、ちがうと言いたいです。今回の記事をいろいろな方に読んでいただいて、UI/UXデザイナーの魅力が伝わり、もっと仲間が増えると嬉しいですね。

CGW:ゲーム開発者の中でも、UI/UXデザイナーはボタンやゲージといったパーツをつくる人、下手するとアイコンをデザインする人みたいなイメージがあります。でも、そうではないぞということですね。

太田垣:はい、そうではないぞと言いたいです。

CGW:そんな太田垣さんにとって、UI/UXデザインとは何でしょうか?

太田垣:再び命題が来ましたね......。ちょっと女性的な表現になるかもしれませんが、「空気のような恋人」だと思っています。

CGW:名言をいただきました。

太田垣:UIはお客様に最も近く、そばにいるのが当たり前。普段は意識しないけれど、絶対になくてはならない存在です。医者のジレンマではありませんが、究極的にはグラフィックとしてのUIがいっさい表示されていなくても、快適にプレイできることが、今後UI/UXデザイナーが実現していくべき命題だと思っています。

CGW:みんなそこに挑戦していて、死屍累々ですが、テクノロジーの発展によって、近い将来に実現できそうな気もします。そこに意識的な人が、これからのUI/UXデザイナーには、求められるのかもしれませんね。実際、視線入力やボイス入力なども、どんどん一般化していくでしょうし。

太田垣:そうですね。単純な2Dグラフィックデザインだけをやっていると、仕事がどんどん取ってかわられてしまう危機感はあります。

CGW:最後に学生のうちから意識しておくといいこと、勉強しておくと良いことはありますか?

太田垣:「コミュニケーション」と「ホスピタリティ」です。私の通っていた専門学校は文化祭などの行事を本気でやるタイプの学校で、私も熱心に取り組みました。CG科の有志で焼きそばの模擬店を出したりしましたが、チラシを自分たちでデザインしたり、クーポンのサービスを考えたりして、1日で約2,000食を売ったんです。そのためにはみんなで協力する必要がありますが、学校にはいろんなタイプの学生がいますよね。社会人になると、共通の趣味嗜好や気の合うメンバーで固まってしまいがちですが、学生のうちはいろんな境遇の方がいます。UI/UXデザインでは、そういった個々の背景を理解することが大切なので。

CGW:ユーザーのコンテキストを理解することが大事だということですね。

太田垣:はい、こういう考え方もあるんだということを、学生のうちに存分に広げておかないと、視野が狭まってしまいますので。そのため授業もさることながら、授業以外の活動も全力で楽しんでほしいですね。

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Profileプロフィール

太田垣 沙也子/Sayako Ootagaki(株式会社バンダイナムコオンライン)

太田垣 沙也子/Sayako Ootagaki(株式会社バンダイナムコオンライン)

株式会社バンダイナムコオンライン ビジュアルデザイナー
ゲームデベロッパーでの受託開発を経て、2015年にバンダイナムコオンラインへ入社。『機動戦士ガンダム』、『THE IDOLM@STER』などのIPタイトルを中心に、PS2時代からコンシューマー・アーケード・スマホ・PC向けゲームのUIデザイン、リードビジュアルを担当
www.bandainamco-ol.co.jp

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