>   >  日本アニメCGの新たな原動力 Autodesk 3ds Max 2011×PSOFT Pencil+ 3:日本アニメCGの新たな原動力 Autodesk 3ds Max 2011×PSOFT Pencil+ 3(第4回)
日本アニメCGの新たな原動力 Autodesk 3ds Max 2011×PSOFT Pencil+ 3(第4回)

日本アニメCGの新たな原動力 Autodesk 3ds Max 2011×PSOFT Pencil+ 3(第4回)

導入事例1
『劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer- 』

2010年9月18日に公開された、映画『劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-』(アニメーション制作:サンライズ )では、テレビシリーズに引き続き、PSOFT Pencil+ 3 の機能を大いに活用した。このビックタイトルへの挑戦は、「 2D の画面に、違和感なく調和する 3DCG 」という、当時からの要求に加え、広大な宇宙で繰り広げられた、総勢 40 隻を超える艦隊と、何百何万と数え切れないほどの無数の エルス(ELS/Extraterrestrial Livingmetal Shapeshifter =劇中に登場する地球外生命体)群という、「数」との戦いでもあった。作中メインで Pencil+ 3 を使用していたのは、やはり戦艦で、細かいディティールの入った戦艦のラインを、ただそのまま出すのでは、いかにも CG らしく仕上がってしまうので、従来同様それは避けた。手描きの味である、線の入りと抜きを Pencil+ の"減衰"で表現することで、CG くさい硬さを取り除き、2D 画面に馴染む画を表現した。さらには、Pencil+ マテリアルのゾーンカラーの合成方法で、セルルックの質感に、汚しの画像を、"乗算"であったり"オーバーレイ"で重ねることで、単一なセルではなく、ブラシの特殊効果を拭いたような、+αの質感を加えることに成功した。このように作りたい質感を直観的に加味できるのも Pencil+ のならではの機能とも言える。

『劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer- 』艦船モデル01 『劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer- 』艦船モデル02 『劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer- 』艦船モデル03 『劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer- 』艦船モデル04

© 創通・サンライズ・毎日放送

もちろん、戦艦だけではなく、エルスでも同様の機能を用いて、アンビエントオクルージョン(モノとモノの隙間に落ちる影)素材を、焼き込んで使用した。こうすることで、シンプルなモデルでもグッと存在感が増すのである。今回は、物凄い数のモデルが、同一画面上に登場するということで、通常使っているハイモデルだけではなく、ミドルモデル(中距離)、ローモデル(遠距離)と、距離に合わせた数パターンのモデルを作成した。しかし、ただ準備したという訳ではなく、中距離以降のモデルは、より軽く、という点を求めて作成されたため、実は Pencil+ のラインを活かしつつ、ラインの計算と出力すらしていない。キーとなるPencil+ ラインの情報ごと、テクスチャとして貼り込んでしまっているのだ。こうすることで、同じ見た目を保ちつつ、ポリゴン数を減らし、膨大な数のモデルを同一画面上に表示することに成功した。テレビシリーズでは、忘れもしない水柱のカットがあったが、今作の劇場版では、エルスが戦艦を侵食していくというまた、新たな表現に挑んだ作品でもある。是非 Blu-ray・DVD 等でご覧になって頂ければ幸いだ。(文:サンジゲン・川端玲奈)

『劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer- 』艦船モデル05

© 創通・サンライズ・毎日放送
 

導入事例2
『ラブライブ!』2nd シングル「 Snow halation 」MV

2010年12月に発売された、『ラブライブ!』2nd シングル『 Snow halation』MV(アニメーション制作:サンライズ )は、1st シングル『ぼくらのLIVE 君とのLIFE 』MV に引き続き、作画のキャラと CG キャラクターが混在したプロジェクトだ。マテリアル設定から、ラインの出力まで、Pencil+ を余すことなく使用したキャラクターアニメーション作品のひとつである。メカがメインの作品とは違って、キャラクターの表現に適した表現が求められた。また、作画と CG との境目をなくすこともコンセプトの 1 つであったため、Pencil+ のノウハウが大いに活きた作品でもある。2 作目となった今回は、より作画監督の絵に近づけるためにモデリングから修正している。前回は Pencil+ 2 での作業となったが、モデルを再度修正するにあったってPencil+ 3 に変更した次第。

『ラブライブ!』2nd シングル「 Snow halation 」MV01

© プロジェクト ラブライブ!
2nd シングル「 Snow halation 」MV
 

ラインの基本設定が、オブジェクト単位ではなく、マテリアル単位でも細かく設定ができるというのはpencil+2よりお馴染みの機能ではあるが、Pencil+ 3 では、より強化された、ラインの RenderElements 出力機能を使用し、欲しいラインセットごとの、出力が可能となった。花飾り等の小物で使用している。作画アニメでは少し贅沢な色トレス線が、盛り込めるだけではなく、後からその部分だけ、色の変更が効くという大変便利な機能だ。また、年々求められる表現が増す中で、自ずと複雑化してくる、モデリングや、それに付随した Pencil+ の設定だが、この細かい設定を[シーン状態を管理]ひとつで復元できるところも、複雑なシーンを扱う上でとても役立った。
 

 
© プロジェクト ラブライブ!
2nd シングル「 Snow halation 」MV
 

また新たな試みとして、版権画像の制作を行なっている。これまでは作画でキャラクターを起こすのが当たり前であったが、『ラブライブ!』に関しては CG で制作している。先日のバレンタインデーに Web で公開された画像がそれである。是非公式ホームページをチェックしてみてほしい。今後もこの様なキャラクターアニメーションの表現は追究していきたい。そのことがアニメ CG の未来に繋がると確信している。(文:サンジゲン・川端玲奈)
 

『ラブライブ!』バレンタイン特製ポートレート

© プロジェクト ラブライブ!
今年のバレンタインデーに特別公開されたμ's(ミューズ)の "バレンタインデー"スペシャルポートレート
 

TEXT_サンジゲン

▼About Company

株式会社サンジゲン
3DCGによる日本的なリミテッド・アニメーション表現を得意とするCGプロダクション。アニメーション作品を中心に、モデリング・テクスチャ・リギング・アニメーション・コンポジットに至るまでトータルでプロデュースを行なっている。
 
<近年の代表作>
『機動戦士ガンダム00』シリーズ『映画ハートキャッチプリキュア! 花の都でファッションショー...ですか!?』『パンティ&ストッキング with ガーターベルト』『マルドゥック・スクランブル』『とある魔術の禁書目録Ⅱ』『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』『ラブライブ!』『アマガミSS』ほか多数
 

Autodesk 3ds Max 2011パッケージ画像

Autodesk 3ds Max 2011

価格:409,500円(通常版スタンドアロン、NetShop.Too価格)ほか
 
問:Tooデジタルメディアシステム部
TEL:03-5752-2855

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3ds Max 2011×Pencil+ 3
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<対象製品>
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2:3ds Maxサブスクリプション新規または更新&Pencil+ 3新規またはアップグレード
3: 3ds Max教育機関版新規ライセンス&Pencil+ 3
※すべて3ds MaxはEntertainment Creation Suiteでも可
キャンペーン期間 :〜2011年3月31日(木)まで
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※お申し込みの際は、必ず「CGWORLD.jpの記事を読みました」と、お伝えください
 
サンジゲン特製「3ds Max アニメCG制作マニュアル」プレゼントキャンペーン特設ページ
 

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