>   >  日本アニメCGの新たな原動力 Autodesk 3ds Max 2011×PSOFT Pencil+ 3:日本アニメCGの新たな原動力Autodesk 3ds Max 2011×PSOFT Pencil+ 3(第1回)
日本アニメCGの新たな原動力<br />Autodesk 3ds Max 2011×PSOFT Pencil+ 3(第1回)

日本アニメCGの新たな原動力
Autodesk 3ds Max 2011×PSOFT Pencil+ 3(第1回)

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日本のアニメーションと言えば、これまで手描き特有の表現と思われてきたが、近年CGの活用領域が急速に広がっている。その典型がキャラクター表現と言えるが、「Autodesk 3ds Max」と「PSOFT Pencil+ 3」という2つのツールを抜きにしては成し得なかったと言っても過言ではない。今回から全4回にわたり、MaxとPencil+の最新バージョンのレビューという切り口にて、日本アニメ向けCG技法について考察していく。第1回は、導入編としてMaxとPencil+の日本アニメCG表現における役割をふり返る。

3ds MaxとPencil+が引き起こす化学反応

筆者の活動拠点である株式会社サンジゲンAutodesk 3ds Max(以下、Max)を本格導入したのは約8年前。当時から「キャラクタースタジオ」というヒト型のモーション付けに特化した機能を備えていたのが決め手になった。なぜCGで作成しようと思ったかと言うと、作画が主流の日本アニメにおいても近い将来、CGキャラクターアニメーションが必要になるだろうと予想していたからだ。その後、CGと言えばメカや背景、あるいはエフェクトに限定されていた日本アニメにおいても徐々にCGによるキャラクター表現が増え続け、今日では、作画と同様に扱われるようになってきたと自負している。

Maxに加えて、今日の日本アニメCG立役者となったのが、Max用セルシェーディング・プラグインPSOFT Pencil+(以下、Pencil+)である。当社が導入した当時(約3年前)はバージョン2。知り合いのアニメ撮影会社の方に教えていただいたのがきっかけであった。アニメの質感やラインを表現するツールは他にも存在していたが、導入の決め手になったのは、開発元のピー・ソフトハウスが日本の企業であることだった。これまでは不具合や要望を出すにも英語が必須であったし、なにより反映されることが少なかった。当時のサンジゲンも表現が発展途上だったので可能な範囲で割り切る、あるいはバグを逆手にとってなんとかセルルックを表現していた。
しかし、Pencil+に出会ってからはその日本特有のアニメ表現との相性の良さから貪るように研究したことを昨日のように思い出される。日々、新たな発見があり、みるみる理想的なセル表現が出来上がっていくのを目の当たりにし、大いに興奮したものだ。日本で開発しているということもあり、直接要望などを伝えることも可能。これまでの日本アニメにおけるCG表現はどうしてもCG特有の硬さが抜けきれず、手書きのセルと比べると「似て非なるもの」であったことは否めない。しかし、MaxとPencil+を使用することで、これまでの「偽物から"本物"」に変わることが出来たのであった。その実力は、一見CGと作画の見分けがつかない域に達していることにも表れているし、さらに作画では不可能、またはやらないことをやってのけられる様になったことは最大の証拠と言える。以上のように両ツールは、サンジゲンにおける「Max&Pencil+」との歴史、さらにはアニメCGの歴史上、なくてはならない非常に重要なツールとなって化学反応を起こしてきた。そして今回、これら2つのツールは新たな機能を付加しつつ、さらに使いやすくなった既存の機能をひっさげて、メジャーバージョンアップされたのが、「Autodesk 3ds Max 2011」並びに「PSOFT Pencil+ 3」というわけだ。

ラインの太さが一定になっているルック例

ラインの太さが一定になっているルックの例。太さが一定のことがCG特有の"硬さ"を強調してしまい、手描き特有の表現とはかけ離れている。Pencil+導入以前はこうしたルックに陥りがちだった
 

ラインの太さにメリハリを出したルック例

ラインの太さにメリハリを出し、手描きにおける「入り」と「抜き」を表現したもの。手描きによるアナログ表現は情報に"ゆらぎ"が生じるのだが、Pencil+を使えばそうした設定も柔軟に行える

日本アニメ表現に最適の「PSOFT Pencil+ 3」

Pencil+ 3の新機能について開設していきたいと思うが、その前に基本的なところから説明しておく。Pencil+の代表的な機能はなんといっても[トゥーン調(セル調)]マテリアルと[効果]によるラインである。まずマテリアルだが、アニメでキャラクターやメカニックなどの色を決めるセクションは色彩設定だ。色彩設定から決定された色の「指定表」を受け取るのだが、多くの場合チップと呼ばれる部分にノーマル色、影色、ハイライト色などの色が塗ってあり、それらをMaxのスポイトで拾い着色していく(マテリアルの設定方法はPSOFT公式サイトのチュートリアルを参照)。後ほど改めて説明するが、Pencil+ 3ではグラデーション処理の設定が強化されているので注目だ。
次にラインは、レンダリングメニューから効果を選び、追加で[Pencil+ 3ライン]を選択。ラインを付けたいモデルをリストに追加するだけで直ぐに鉛筆で書いたような効果が出せる(Pencil+ 2と同じ要領だ)。なお、サンジゲンではいくつもあるラインの設定の中でも「線のぬき」の設定を常用している。これを設定することでラインの太さが均一で3D臭く見えるリスクを回避できるからだ。設定方法は、[ライン設定→ブラシ詳細設定/ストロークサイズ→減衰]である。ただし、極端な減衰を付けてしまうとアニメーション時にちらつくので注意が必要だ。また、ラインの設定はマテリアルのところでもできるので、適宜使い分けると良いだろう(当社ではほとんどの場合、オブジェクトのラインの設定で賄えている)。

このように、MaxにPencil+を組み合わせることによって、非常に簡単に作画特有のセル質感とラインを表現することができるのだ。もちろん目指す表現によっては、より複雑な設定を行う場合もあるが、きっちりとした数値による決まりごとを持たず、あくまで「見た目」優先で設定していくのが効果的だと常々思っている。レンダリングも非常に軽快なので、何度もレンダリングして試すことができる。加えて、ラインは「レンダーエレメントのみに出力」という処理が行えるので、一度のレンダリングでカラーイメージとラインを別々に書き出すことも可能。アニメCG作業の中において「色替え」を容易に行えるわけだ。以上が、Pencil+によるセルルックとライン設定の基本であり、最も重要なポイントである。

3ds Maxのライン設定とPencil+ 3のUI

Maxのライン設定(左)とPencil+ 3の[ブラシ設定]内にあるストロークサイズの減少のパラメータ(右)。Pencil+ 3では、Maxで設定した輪郭線に対して細かなニュアンスを設定できる

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