<キャラクターモデリング>
3Dモデル化を意識した衣装設定
キャラクターモデル制作では、初期段階で宮嶋氏と作画監督との間でイメージの擦り合わせが行われた。【画像上】は愛島セシルのステージ衣装の設定画。作画監督との打ち合わせを経て、靴の裏や衣装の内側の構造が描き足されている。通常はTポーズで作成した状態でのチェックが多いと思うが、本作では極力設定画の状態に合わせ、わかりやすくするためにAスタンスのポーズでレンダリングしてチェックが行われている
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愛島セシルの3DCGモデルのシェーディング画像
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Pencil+3で作画に合わせてレンダリングしたもの。設定画にある線についても、事前にどのように解釈したら良いか打ち合わせで意識を統一した上でCGのルックに反映された
モデリング監修によるリテイク
宮嶋氏による3DCGモデルに対するチェックバックの例だ
縫製処理の統一やエッジの形状が硬くなっているため金属的に見えるなど、ディテール処理の仕方で材質感にリアリティを与えるという、フィギュアのデジタル造形も手がける宮嶋氏ならではのチェックバックが記載されている。ST☆RISHのメンバーは前期にも登場しているが、設定画にも変遷があり、本作でも若干の修正が施されているため、モデリングには最新の設定画が用いられている
©UTA☆PRI PROJECT
【画像上】は1期の四ノ宮那月の表情設定画。この表情に対して3期では【画像下左】や【画像下右】のように修正が加えられているため、本作でもこの修正に準じてモデリングが行われた
<質感>
質感設定
作成されたモデルは、シーンに配置した3DCGのライトでは作画のような影が出ない場合が多いことから、極力作画に合わせたルックを実現させるため、【画像左】のような影を描き込んだテクスチャがマッピングされている。髪の毛などのハイライトも【画像右】のように極力テクスチャに描き込んでいるという。1体につきPNG形式で統一されたテクスチャが10~15枚使用されている
目の落ち影
キャラクターの表情は、モーフターゲットを使用して変化させている。視線の動きも球体モデルを動かすのではなく、モーフターゲットによる変形で実現。作画ではよく眼球にも影が落ちているように描かれていることが多いが、テクスチャに影を描いてしまうと、変形させたときに影も変形してしまい作画のような表現にならないのだという。そこで、眼球や二重の影については、画像のような影専用のメッシュを作成して、ライトによって影を落としている。一方で変形による乱れが生じない部分については先述のようにテクスチャを作成している
レンダリング素材
本作では、撮影の工程は全て外部の撮影チームのスタッフが担当しているため、CGルームからはレンダリングした素材を提供するというフローになっている
撮影で加工できるように、【画像右】のような素材分けで主にカラー素材のほかにカット処理に合わせたマスクデータが出力されている。また、特殊なマスク素材として、【画像左】のような衣装のラメや衣装に投影されるプロジェクションマッピング用のマスクも出力