>   >  作画と3DCGのハイブリッドで実現する、『うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEレジェンドスター』3グループ18人の決戦ライブシーン
作画と3DCGのハイブリッドで実現する、『うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEレジェンドスター』3グループ18人の決戦ライブシーン

作画と3DCGのハイブリッドで実現する、『うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEレジェンドスター』3グループ18人の決戦ライブシーン

TOPICS 02 リギング&アニメーション

キャラクターモデルが完成したところで、リグが組まれる。シリーズ3期まではBipedが使用されていたが、アニメーターからの要望もあり今回からCATに切り替えられた。モーションキャプチャをベースとしたアニメーション工程では、Bipedを使用したリグの場合いったんMotionBuilder上で修正を行なった上でBipedによってアニメーションを作成していくという手順が採られることが多いが、今回はなるべく3ds Maxだけで作業を完結したいという方針により、動きの修正がしやすいCATに変更されたという。ただし、CATだけではリグの移動やスケールの変更に対応しづらいため、首を縮めたりといったスケールのオフセットを付けられる補助リグを加えるなど、様々な工夫が付け加えられている。18体のキャラクターのリグは、プライマリについては共通のリグが使用されている。

セカンダリについては、衣装の構造が異なるため、キャラクターそれぞれに特徴のあるリグが組まれている。男性キャラクターならではのポイントとして、「舞台衣装なのでロングジャケットやカーディガンなどがあるのですが、男性キャラクターの衣装は、女性キャラクターの衣装に比べて衣装の重ね着の数が多かったり挙動が狭かったりするため、めり込みが発生するなどコントロールが難しい衣装が多いんです。そのためコントローラの数も増やさざるを得ず、手数が多い印象ですね」とリギングを担当した宮地克明氏は語る。また、紐などの揺れものについては長めのものにはSpring Magicを使っているが、その他は手動のコントローラを作成して対応しているという。「短髪のキャラクターが多いのでシミュレーションだと髪がなびいているという印象が付けづらく、見映えが良くない場合が多い。カット数も多いのでなるべくまとめて手付けで制御できるようなコントローラを加えました」と同じくリギングを担当した水原 良氏もふり返る。

ダンスのアニメーションについて、3期にもCGディレクターとして参加した工藤菜央氏は、実際のアイドルグループの振付を参考にしながら、グループごとのパフォーマンスの差別化をしているという。「特に男性キャラクターなので、筋肉の見せ方や動きのダイナミックさがポイントになっています。顔だけではなく手の表情や動き全体で映えるように気をつけています」と話してくれた。

キャラクターのリグ構造

ボディに関してはプライマリ【画像左】とセカンダリ【画像右】の2種類のリグが用意されている。プライマリセットアップでは、アニメーターが個別に操作を覚える必要がないように全てのキャラクターモデルで統一されたセットアップが使用されている

CATは単純な指や手のひらの動きしかできないため、豊かな手の表情をつくり出すためにオリジナルのリグが作成された【画像左】。また、脚を使った大きな振付もあるため、股関節の形状を調整するコントローラも仕込まれている。セカンダリセットアップでは、キャラクターごとに個別のリグを作成。揺れものは作画的な動きの表現に合わせるため手付けで効率良く動きを付けられるセットアップが施された。同じようにモーフターゲットを使ったフェイシャルリグも変形しやすいように工夫されている【画像右】


これにより魅力あるキャラクターのステージアクションが実現された

表情


一十木音也の表情集。これらの表情は、ターゲットモーフとフェイシャルリグで表現されている。ターゲットモーフは基本的な発音の口の開きと、感情表現の最低限のパターンをターゲットモーフで用意し、その他の表情についてはフェイシャルリグを使って個別に作成できるようになっている。非常に単純化されたコントローラが用意されており、コントローラの操作だけでモーフターゲットを操作することができる。また、作画らしい画にするため、撮影するカメラの方向によって顔のパースが変形できるリグも準備した

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TOPICS 03 ステージ演出

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