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NVIDIA製品としてさらなる進化を続けるレンダラ mental ray 2017徹底レビュー

NVIDIA製品としてさらなる進化を続けるレンダラ mental ray 2017徹底レビュー

TEST CASE_02
mental ray vs others

この項では、新旧のmental rayと、2017から搭載されているArnold、その他サードパーティ製のレンダラである、V-Ray、Redshiftをそれぞれ比較していく。特徴がそれぞれにあり、長所短所はあれど、使いどころをきちんと選べば十分に力を発揮してくれるレンダラばかりであることはまちがいない。下記の結果は、基本的には同じような画像を作成するための設定に合わせてあるが、速さを競うための設定ではあるため、単にレンダラの良し悪しを比較するものではない。

【テスト環境】
mental ray : 3.14.3.41 (for Maya 2017)
mental ray : 3.13.1.10 (for Maya 2016)
Arnold : 1.4.2.0
V-Ray : 3.52.03
Redshift : 2.0.94

Rendering Images
レンダリング画像

mental ray for Maya 2016

mental ray for Maya 2017



  • Arnold



  • V-Ray

Redshift

Render Settings
レンダリング設定



  • mental ray 2017



  • Arnold



  • V-Ray



  • Redshift

レンダリングの設定は上図の通りだが、あくまでも見た目も含めて同じような結果になるように調整したものであり、それぞれの項目が異なるため完全に同一の設定ではない。その結果から言うと、速度的にはmental rayがおよばないところはある。この比較においてRedshiftの速度はかなり速いもので、他を寄せつけない。ただ、この中でただひとつ純粋にGPUベースのレンダラであるため、今後mental rayの改良が続けば延長線上にいるレンダラだと考えたい。以前までのバージョンではArnoldやV-Rayには到底追いつけない速度であったmental rayだが、最新のものでは大きくその差を詰めてきていることがわかった。

EXTRA
Cartoon

最後の検証はカートゥーン表現。mental rayのContoursを使用した表現になるが、これはmental rayに軍配が上がる結果となった。その理由はやはり、Mayaとの親和性の高さゆえによるものだと感じた。V-Rayもカートゥーン表現に対応はしているが、mental rayのようにシェーダで詳細を調整することは難しく、ある程度表現の幅は決まってきてしまう。mental rayの場合、Contoursのシェーダは外部からも入手可能な上、プロダクションによってはこれまでの蓄積されたアセットがそのまま使えるため、カートゥーン表現はこれまで通りmental rayを使用していく可能性が高いことがわかった。

mental ray for Maya 2017

Summary
比較を終えて

今回は、新旧のmental rayを中心に計5種のレンダラを比較してきた。結果として目に見える比較は主に速度が中心となる。前項までのグラフで見て取れるように、速度的な部分で言うとmental rayは及ばない点も多く見られる。Redshiftのように、GPUベースのレンダラが台頭してきている近年、CPUだけでは速度面で太刀打ちできない状況なのは確かで、V-RayもArnoldも速度面ではRedshiftに大きく差をつけられる結果となった。そのような中、mental rayはGPUを取り入れてきており、確実にその速度を向上させていっている。そこはさすがに世界一GPUに強いメーカーが開発していると言えよう。

事実、mental rayの速度だけを見ると他のレンダラにおよばない部分は目立つが、レンダラの性能というものは決して速度だけが重要なポイントではない。mental rayの強みは、長い歴史をユーザーと共に歩んできたことにあると考える。これは、どんなユーザービリティもかなわない強みではないだろうか。安定した画像を提供する上で、これまで蓄積してきたノウハウとアセットは一瞬の速度以上に非常に重要なポイントとなっていく。レンダラの選択はあくまでそのシチュエーション次第だが、価格・性能・安定性など、どういった部分が求められているのかを吟味する必要があるだろう。確かに、スケジュールがタイトなプロジェクトでは速度こそ正義ではあるが、安定性や知識などが欠けてしまっては、かえって遠回りになる可能性を十分に考慮すべきである。

今回、mental rayを検証して思ったことは、やはり慣れ親しんでいるレンダラゆえ厳しい目で見てしまう部分も多く、他の便利なレンダラに魅かれる部分も少なからずあった。ただ、驚いたことは、NVIDIA製になってからの新バージョンを触った際、一瞬でその進化を感じたことだ。そういったことを踏まえて、今後の発展に大いに可能性を感じた検証だった。

レンダラとは、これまでのように単純なレンダリングツールにとどまらない時代に突入していると考えている。その理由として、これまでのようにひとつのツールで完結するようなワークフローは古く、これからは各シチュエーションに特化したツールを使い分けることを前提としたワークフローになっていくものと考える。そうした際、レンダラはパイプラインツールとして各ソフトウェアを橋渡しする使命を帯びてくるのだ。これは、これからのレンダラにとっての宿命であると言えよう。mental rayをはじめとする各レンダラには、主要なソフトウェアに対応したプラグインを準備することが、今後望まれる大きなポイントとなるだろう。

Mental Ray 製品情報

  • Maya版
    ・Mental Ray Plug-in SW for Maya 1 year - FloatingMental (716-70000-MRY0-001)
    ・Mental Ray Plug-in SW for Maya Pro GPU 1 year - NLMental (716-70000-MRY0-005)
    3ds Max版
    ・Iray&Mental Ray Plug-in Software for 3ds Max 1 year - FloatingIray(716-70000-ARY0-001)
    ・Iray&Mental Ray Plug-in Software for 3ds Max 1 year - Pro GPUIray(716-70000-ARY0-003)

※ NVIDIA Mental RayはNVIDIA Quadroシリーズのグラフィックカードを搭載したPCでの使用が推奨されております。
※"Pro GPU"版はGPU(NVIDIA Quadro、Tesla)のみに対応したバージョンです。
※価格、詳細についてはお問い合わせください。

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