>   >  『IDOLiSH7』(『アイドリッシュセブン』より)、『new generations』(『アイドルマスター シンデレラガールズ』より)、大好きなスターに「会えた!」。「CG STAR LIVE」が目指す実在感
『IDOLiSH7』(『アイドリッシュセブン』より)、『new generations』(『アイドルマスター シンデレラガールズ』より)、大好きなスターに「会えた!」。「CG STAR LIVE」が目指す実在感

『IDOLiSH7』(『アイドリッシュセブン』より)、『new generations』(『アイドルマスター シンデレラガールズ』より)、大好きなスターに「会えた!」。「CG STAR LIVE」が目指す実在感

「息切れ」「出ハケ」......リアリティは細部に宿る

C:未央が歌の合間にステージからハケ、戻ってきたときに「お水飲んできましたー」と報告するところはリアルでしたね。

山添:はい。3人とも全力で歌ったり踊ったりしていますから、途中で水分補給をしたくなります(笑)。

福田:通常はアーティストが「お水飲んできましたー」なんて報告はしないかもしれませんが、「CG STAR LIVE」ではあえてそうした方が、アイドルたちが目の前に「存在」していることを参加者に強く実感していただけるのではと思ったのです。「アイドルたちが何をすれば、"自然"に生きて見えるのか」というところは、いろいろ工夫していますね。

C:「人間としての自然さを、あえて見せる」というのは面白いですね。

福田:「CG STAR LIVE」では「実はあまり目にする機会がなかったでしょう?」というアイドルたちの生の姿を見ていただければと思っています。ダンスを踊った後は息が切れたりするし、「シャッターチャンスタイム」でポーズを取っていたらだんだん足がプルプルしてきちゃったりもする。彼女たちは「生きて」いますから、疲れてくることだってあります。そんなちょっとした"弱さ"も含めた、自然な光景をあえてお見せできればと思っています。

▲「シャッターチャンスタイム」でポーズを取る未央。参加者が自身のカメラで撮影するための時間だが、3人とも「生きて」いるため、常にどこかが動き続けており完全に静止することはない


福田:楽曲が終わって最後のポーズを決めた後、アイドルたちはちゃんと元の立ち位置に歩いて戻るんです。これもこだわりポイントのひとつですね。ステージを暗転させたり、姿を消したりするのではなくて、ひとつながりのステージの中で、アイドルたちが何をしているかが常にわかるようになっています。

山添:ステージの出ハケもちゃんとお見せしたいというコンセプトです。ステージの照明が消えて暗転しても、アイドルたちは、参加者から見える見えないに関係なく歩いて舞台に入ってきます。ステージの下手から走ってハケたアイドルが、上手からステージに戻ってくるときのタイミングも、リアリティがあると思います。ミュージックビデオなどの完成された映像とはちがい、ライブには舞台裏の"ノイズ"がつきものなので、こうしたノイズからも、普段は見られないアイドルの姿を感じられるようにしたいと思いました。

「ファン」「プロデューサー」......アイドルごとに変わる参加者の役割

C:「CG STAR LIVE」は、実際のライブに限りなく近いのですね。

福田:いえいえ、実際のライブとは全然ちがいます。それよりも「CG STAR LIVE」という場所を通して、どうしたら来場者に「あのアイドルに会えた!」と思っていただけるかに重きを置いています。構成もそのひとつで、「CG STAR LIVE」の曲数は、かなり少ないんです。なぜなら、ライブではないからです。「IDOLiSH7 PRISM NIGHT」は4曲、「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS new generations★Brilliant Party!」は5∼7曲しか歌いません。「CG STAR LIVE」の醍醐味は、そこに「存在」する憧れのアイドルと、実際にコミュニケーションをとることにあるのです。

C:「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS new generations★Brilliant Party!」の場合は、「教えて!シンデレラ」「シャッターチャンスタイム」「ハッピーバースデータイム」などのコミュニケーションパートがありましたね。

福田:「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS new generations★Brilliant Party!」の「シャッターチャンスタイム」では、来場者にたくさんの写真を撮っていただき、SNSに上げることもOKにしています。『アイドルマスター』シリーズのファンの皆様は「プロデューサー」なので、自分が撮影したアイドルの写真をSNSにアップするという「プロデューサー業」をこの場所でも体験していただきたいと思い、「シャッターチャンスタイム」には多くの時間を使っています。彼女たちは「存在」しているので、「プロデューサー」も「存在」しているんです。

▲「ハッピーバースデータイム」は、公演月に誕生日を迎えた「プロデューサー」に、3人がバースデーソングをプレゼントするというコーナー。「彼女たちと『同僚』が誕生日をお祝いしてくれます。3人がバースデーソングを歌うときには、ステージ上の階段を一段上がってもらい、後ろの方々にもちゃんと顔が見えるようにしています」(山添氏)


福田:参加者にコール&レスポンスをしていただくことで、「CG STAR LIVE」はアイドルと自分たちが一緒につくり上げるものなんだと感じていただければと思っています。

C:3人が歌う楽曲を「プロデューサー」の投票で決めるコーナーも、参加者のコール&レスポンスを促す意図があるわけですね。

福田:「アイドルと参加者との関係性をどうつくるか?」は、「CG STAR LIVE」で大切にしている要素のひとつです。なので「参加者はどんな立場なのか?」は、アイドルごとに、結果的にちがってきます。「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS new generations★Brilliant Party!」の参加者は「プロデューサー」になりますので、宣材写真を撮影したり、歌う楽曲を選んだりするコーナーをつくりました。「IDOLiSH7 PRISM NIGHT」では「CG STAR LIVE」に来てくださった方々を「『アイドリッシュセブン』世界にいるファン」に見たてたので、公演中にアイドルたちが「大好きだよー!」と言ってくれるコーナーをつくりました。

C:「大好きだよー!」ですか。それは『アイドリッシュセブン』のファンに響きますね!

「キャラクター」ではなく「CGスター」を育てたい 

C:「CG STAR LIVE」のスタッフの数や制作期間はどれくらいでしょうか。

山添:ダンス、音楽、舞台演出などを合わせると、20∼30人くらい関わっています。会場であるVR ZONE SHINJUKUの運営スタッフまで含めると、もっといます。制作期間は、福田さんから構成をいただいてから6ヶ月くらいを要しています。

福田:「今回の『CG STAR LIVE』はこうしたい!」という要望を書いた構成案を私が出して、実際の開発はCGCGスタジオさんにお願いしています。構成案をつくった時点で私の頭の中には「完成形」がありますが、譲れないところ以外は「こうしたい」とは強くは言わないで、基本はスタッフさんにお任せします。そうした方が、想像していた「完成形」よりもっとすごいものができ上がってくるんです。

山添:スタッフひとりひとりが、「そのアイドルらしさ」や、「アイドルの存在を実感してもらうために、自分が何をすればいいか」を考えながらつくっています。それが結果に表れているんじゃないかと思います。

C:「そのアイドルらしさ」を追求できるということは、スタッフさんは作品の元からのファンの方が多いのですか。

山添:いいえ。CGCGスタジオのスタッフは「CG STAR LIVE」以外も含め、いくつもの作品を担当しているので、毎回作品について猛勉強しています。

福田:「CG STAR LIVE」の大きな特徴は、登場できるアイドルが多岐に渡ることです。今後も様々なアイドルを登場させたいという野望をもっています! 男性向け・女性向けを問わず、幅広いアイドルと一緒にお仕事ができるよう頑張りたいと思います。

C:「CG STAR LIVE」の今後の抱負をお聞かせ下さい。

福田:ブランドにしたいですね。「CG STAR LIVE」という名前は、「CGスター」という存在を確立したいという願いをこめてつけたのです。よく海外では「ムービースター」とか「ロックスター」という言い方でそのジャンルの花形を表すので、それを意識して「CGスター」と名づけました。「CGキャラクター」ではなくて、「CGスター」。将来は「『CG STAR LIVE』に出るのが夢です」と言ってもらえる存在になりたいです。

C:その頃には、もっと大きな、アリーナみたいなハコになっているのでしょうか。

福田:ハコは現在の大きさがいいですね。あの等身大で、あの距離感で、あの息づかいで見るから、アイドルたちの存在を実感できるのだと思います。3万人のハコだと、180センチのアイドルが立っていても、遠くの客席からは姿が見えないのでモニターに映っている映像を見ることになってしまい「会えた!」という実感をもてないでしょう。「CG STAR LIVE」では「会った感」を追求していきたいと思います。

▲「通常の公演では参加者の上限を100人にしています。公開ゲネプロのときよりもアイドルを見やすくなるので、「会えた!」という実感をもちやすいと思います」(福田氏)。「『CG STAR LIVE』のハコは、参加者が前の方に詰めてしまうと、最前列の方以外は見えにくくなってしまうんです。前後の間隔を開けた方が見やすくなります」(山添氏)


山添:参加者とコミュニケーションが取れる規模感がいいですね。アリーナだと、「質問コーナー」で参加者が掲げるペンライトの数をアイドルたちが数えられません(笑)。今は、僕たちのいる世界と地続きの世界に住むアイドルに「降臨」してもらっていますが、異なる時代や世界観のアイドルの舞台演出もやってみたいです。例えばステージ上で、美しく戦いながら歌うといった演出もできると思います。

福田:いつか専用の劇場をもちたいです。今の会場はほかのVRアクティビティでも使っており、「CG STAR LIVE」に特化した施設ではありません。専用の劇場があれば、来場者が思っている「あともう少しこうなったらいいな」という要望を叶えやすいし、もっと特化したことができると思います。

山添:ぜひ、アイドルたちに会いに来て、楽しんでくださいね。

福田:今後の「CG STAR LIVE」にもご期待ください。

C:ありがとうございました。

▲取材の最後に、VR ZONE SHINJUKUの決めポーズをとってくれた福田氏【左】と山添氏【右】


© BNEI/PROJECT CINDERELLA
© BNOI/アイナナ製作委員会

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