<2>SSDが変えるコンテンツのあり方
⑤映像制作現場においてSSDの重要性が増してきた!/放送・映像
第2部では映像とゲームというコンテンツ分野からの講演も行われた。はじめに登壇した月刊『ビデオSALON』編集長の一柳通隆氏は「ここ1年ほど本誌やWebでSSD関連の記事が急速に増加している」と説明し、その背景として制作現場での4K/8K化やHDR、グレーディング、RAWに代表される、データ容量の増大化が挙げられるとした。その結果、最終納品はHD画質でも、現場ではできるだけ高画質(=大容量)のデータで素材を撮影・編集したいというニーズが高まっているという。そのため外付けのポータブルSSDに録画したり、バックアップ用途に使用したり、といった状況が見られると説明された。
もっとも、撮影の次に問題になるのが編集環境だ。一柳氏は映像プロデューサー/ディレクターの林 和哉氏の事例を紹介した。8K RAWの動画編集を行うにあたって、80万円ほどのBTOマシンを発注。編集ソフトにはDaVinci Resolveを使用しているという(※関連記事)。パーツ構成はCPUにCore i9の10コア、GPUにGTX 1080 Ti LIGHTNING X、ストレージにSamsung 960 PRO 1TBを2枚使用(RAID 0)、インターフェイスはThunderbolt 3だ。一柳氏はSSDのニーズが急増している一方、現場ではまだ高価という声が多いため、低価格化が普及の鍵を握ると解説した。
⑥Gaming TeamとSSD/eSports
ゲーム分野からは世界のeSportsの最前線で活躍するゲーミングチーム「DeToNator」を率いる江尻 勝氏が登壇した。江尻氏はeSportsで使用されるゲームは、ほぼ全てPCゲームであり、パーツ需要の拡大がeSports市場の拡大にも繋がると説明。その中でも処理速度や耐久性で勝るSSDは必須であり、様々なかたちで普及・啓蒙を進めているとした。例えば、 チームイベントでSSDの性能を体験してもらう、SNSやイベントでキャンペーン企画を実施する、DeToNator監修のゲーム配信ストリーマーモデルにパーツとして採用するなどだ。「SSDの情報を広めることはチームにとって必然で、地道に続けたい」と締めくくった。
⑦SSD Innovation for Future Storage and Beyond/SSD技術動向
最後に登壇したのはサムスン電子のChanik Park氏だ。Park氏は現代社会が人工知能の急速な進化に伴い、CPU時代からデータ時代にパラダイムシフトを遂げつつあると分析。従来のPCモバイルに加えて、AIや自動運転技術の需要が拡大しているとした。これに対して同社ではDRAMとNANDのバランスをとりつつ、さらなる信頼性・性能・軽量化を追求していく方針を説明。継続的なイノベーションとSSD関連ソリューションで、社会の変化を加速させていきたいと抱負を語った。
このほか、ロビーではサムスンの最新のSSD製品や関連ソリューション、登壇各社の製品紹介やデモ展示などが並んだ。今回、多くは語られなかったが、他に5G回線の普及もあり、IoTとビッグデータの活用、そしてそれを支える大容量高速ストレージの需要はますます高まっていくと考えられる。様々な可能性が感じられるカンファレンスだった。