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日本サムスンは7月12日、「Samsung SSD Forum 2018 Tokyo」を開催し、SSDに代表される最先端のNAND技術が切り開く未来と、その可能性について講演を行なった。経済産業省による基調講演に続き、ストレージサーバ、データセンター、SSD市場予測、放送・映像、eSports、SSD技術動向など幅広いトピックで講演が行われ、同分野の広がりと社会に与える影響の大きさが感じられた。

TEXT & PHOTO_小野憲史 / Kenji Ono
EDIT_山田桃子 / Momoko Yamada

<1>SSDが変える産業構造

①Connected Industriesの推進に向けた政策について/基調講演


フォーラムは経済産業省の成田達治氏による基調講演からスタートした。成田氏は現代が第4次産業革命によって「Society 5.0(超スマート社会)」に突入していると説明し、その中で病院や工場といったリアルデータとITが結びつく領域で日本の強みが生かせるとした。その上で政府として「自動走行・モビリティサービス」、「バイオ・素材」、「スマートライフ」、「プラント・インフラ保安」、「ものづくり・ロボティクス」という5つの重点分野で環境整備を進めていること。また老朽化・複雑化・ブラックボックス化したレガシーシステムからの移行や、Connected Industryを支えるAIチップやAIシステムの共同開発事業整備などに取り組んでいると説明した。

②顧客のビジネスを支える富士通のオールフラッシュアレイ/ストレージサーバ


続いて登壇した富士通株式会社 の館野 巌氏は、フラッシュストレージの台頭でメディアの世代交替に対する圧力が高まっている現状を踏まえて、同社のストレージサーバ「ETERNUS」シリーズの紹介を行なった。これによりHDD構成と比較して、オールフラッシュ構成では初期投資が30%、ランニングコストも1/5~1/7まで抑えられるという。また企業の根幹を支えるメインフレームでは長期安定性が不可欠だが、これもSamsung SSDとの協業で実現できたと評価。製造業の生産管理システムや自治体の料金管理システムなどの採用事例を紹介しつつ、社会インフラを支えていきたいと抱負を語った。

③How to Select the Right SSD/データセンター


データセンターがどのような視点でSSDを選択するか、という興味深い事例紹介も行われた。登壇した楽天株式会社の緒方弘幸氏は、同社は「2011年よりほぼ全てのサービスがSSD上で動作している」と説明。SSDは3~5年で壊れる消耗品という扱いで、世界中のSSD機器を常に検証しており、新モデルが発売されるとすぐにサーバに投入されると続けた。また、ハードウェアの投資はバランスが必要で、あらゆるグレードの製品で評価を行い、メーカーの証明とは別に、自社リスクでSSDの選定と採用を行なっているという。その上で「自分たちが選んだSSDを組み込めるサーバベンダーのみ採用している」と語った。

④Consumer、Computer向けSSD市場動向/市場動向


SSD製品の市場予測に関する講演も聞かれた。調査会社IHS Markitの南川 明氏はIoTとビッグデータの普及で2020年のデータ通信量は44ZB(ゼタバイト、テラバイトの10億倍)にのぼり、そのうち6.5ZBがストレージされると予測。その結果、SSD市場がHDD市場の7倍のスピードで拡大しており、SSDの単価下落が進んだ結果、HDDからの移行が続いていると説明した。実際、SSDのGB出荷量はHDDの5倍のスピードで拡大しており、SSDのGB単価下落スピードはHDDの4倍にあたるという。

またノートPCのSSD容量も2018年は256GBが主流だが、2020年には256GBと拮抗し、2022年には1TB・512GB・256GBでシェアが1/3ずつになるという。これにあわせてエンタープライズ向けのSSD容量も1TBから2TB、4TBに拡大を続け、2022年には4TBモデルが僅差で最大シェアを占めると予測された。


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<2>SSDが変えるコンテンツのあり方

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<2>SSDが変えるコンテンツのあり方

⑤映像制作現場においてSSDの重要性が増してきた!/放送・映像


第2部では映像とゲームというコンテンツ分野からの講演も行われた。はじめに登壇した月刊『ビデオSALON』編集長の一柳通隆氏は「ここ1年ほど本誌やWebでSSD関連の記事が急速に増加している」と説明し、その背景として制作現場での4K/8K化やHDR、グレーディング、RAWに代表される、データ容量の増大化が挙げられるとした。その結果、最終納品はHD画質でも、現場ではできるだけ高画質(=大容量)のデータで素材を撮影・編集したいというニーズが高まっているという。そのため外付けのポータブルSSDに録画したり、バックアップ用途に使用したり、といった状況が見られると説明された。


もっとも、撮影の次に問題になるのが編集環境だ。一柳氏は映像プロデューサー/ディレクターの林 和哉氏の事例を紹介した。8K RAWの動画編集を行うにあたって、80万円ほどのBTOマシンを発注。編集ソフトにはDaVinci Resolveを使用しているという(※関連記事)。パーツ構成はCPUにCore i9の10コア、GPUにGTX 1080 Ti LIGHTNING X、ストレージにSamsung 960 PRO 1TBを2枚使用(RAID 0)、インターフェイスはThunderbolt 3だ。一柳氏はSSDのニーズが急増している一方、現場ではまだ高価という声が多いため、低価格化が普及の鍵を握ると解説した。


⑥Gaming TeamとSSD/eSports


ゲーム分野からは世界のeSportsの最前線で活躍するゲーミングチーム「DeToNator」を率いる江尻 勝氏が登壇した。江尻氏はeSportsで使用されるゲームは、ほぼ全てPCゲームであり、パーツ需要の拡大がeSports市場の拡大にも繋がると説明。その中でも処理速度や耐久性で勝るSSDは必須であり、様々なかたちで普及・啓蒙を進めているとした。例えば、 チームイベントでSSDの性能を体験してもらう、SNSやイベントでキャンペーン企画を実施する、DeToNator監修のゲーム配信ストリーマーモデルにパーツとして採用するなどだ。「SSDの情報を広めることはチームにとって必然で、地道に続けたい」と締めくくった。

⑦SSD Innovation for Future Storage and Beyond/SSD技術動向


最後に登壇したのはサムスン電子のChanik Park氏だ。Park氏は現代社会が人工知能の急速な進化に伴い、CPU時代からデータ時代にパラダイムシフトを遂げつつあると分析。従来のPCモバイルに加えて、AIや自動運転技術の需要が拡大しているとした。これに対して同社ではDRAMとNANDのバランスをとりつつ、さらなる信頼性・性能・軽量化を追求していく方針を説明。継続的なイノベーションとSSD関連ソリューションで、社会の変化を加速させていきたいと抱負を語った。

このほか、ロビーではサムスンの最新のSSD製品や関連ソリューション、登壇各社の製品紹介やデモ展示などが並んだ。今回、多くは語られなかったが、他に5G回線の普及もあり、IoTとビッグデータの活用、そしてそれを支える大容量高速ストレージの需要はますます高まっていくと考えられる。様々な可能性が感じられるカンファレンスだった。




  • 「Samsung SSD Forum 2018 Tokyo」
    日程:2018年7月12日(木)
    会場:東京ミッドタウン