Topic 4. シャープなトゥーン表現と萌えへのこだわり
帆足氏が担当した芽衣のボディは、アーマーを纏っている上、ダメージ表現により左右非対称のデザインとなっており、メカモデルとしての整合性を保ちつつ破損のあるパーツをモデリングする必要があった。また先述の通り衣装と肌の境界線(左上)については、右上のように割りを入れてUVを分けることで、テクスチャを使用した場合に比べ境界線がぼやけないように工夫されている(左下)。さらにタイツの太ももへの食い込みや、タイツの破れからの肉の盛り上がりなどもモデルの形状で再現することで、女性らしい柔らかいシルエットの美しさを追求(右下)。「セクシーな凹凸だけでなく、靴の裏にまでディテールの指示がありました。身体のバランスは一発OKでしたが細かい調整に時間を割きました」(帆足氏)。
Topic 5. 線画のタッチを忠実に再現
芽衣の設定画とモデルの比較。設定画の段階でかなり傷や汚れが描かれており、この部分の線だけは髪のハイライト等と同様にモデルではなくテクスチャマップとして表現されている。見比べると、線の抜け具合やかすれた感覚も極力再現されていることがわかる。特に筆のストローク感には監督もこだわりがあったとのこと。
Topic 6. ペイントエフェクトによるライン描画
主線の描画にはMayaのペイントエフェクトを使用。オブジェクトの色や部分ごとにペイントエフェクトの色を変えており、主な部分としては髪、肌、ボディスーツと、パーツによって色トレス状態になっている。できる限りノイズっぽくならないようペイントエフェクトの設定には気を付けたとのこと。
Topic 7. 3Dペイントの活用
今回は、強制影や強制ハイライトをテクスチャに描き込む際に、Substance Painterであらかじめモデルに対してざっくりと位置を3Dペイントし、それをアタリとしてPhotoshopで清書して仕上げるという手法が採られた。クローズアップに堪えられる高解像度テクスチャが必要になったときにも対応できるよう、パスで描画して出力している。
キアナの強制影のアタリをSubstance Painterで描画している様子