映像制作から開発までひとつなぎに対応できる強み
AR内に2Dコンテンツを組み込む
3DCGだけでなく、撮影・ポスプロと映像コンテンツ制作など総合的に対応できることはオムニバス・ジャパンの強みだが、アプリレスARにもいかんなく発揮されている。ハイエンドな3DCGはもちろん、2D映像に習熟したスタッフも揃っており、クライアントの要望に合わせて2Dコンテンツを提供することも可能だ
リアルタイムのキーイングに対応した動画フォトフレームコンテンツ制作の様子。ツールはAfter Effects
ブライダル系のチラシにアプリレスARを掲載し、AR上でYouTubeの再生をしたり、装飾(風船)を表示したりしている事例。YouTubeの動画制作からAR実装まで一貫して請け負うことができるという。なお、本事例のクライアントはアメリカンホリデーズ社である
ARコンテンツの開発環境
アプリレスARシステムの開発の様子。現状はゲームエンジン等を用いず、WebGLライブラリ「three.js」をベースに開発が進められている。「3DCGプロダクションとして要求の高い表現と、とにかく早く使ってもらう手軽さを両立するために、開発の小回りが利くことを重視しています。現状では独自開発していますが、開発部としてはUnity案件を手がけることもあり、ツールや開発言語は必要に応じて柔軟に選択しています」(今村氏)
データ構造整理にMaya、コーディングにVisual Studio Code、チェックにChrome等が用いられている
実機テストの様子。映っているのは「中国からのインバウンド向け記念写真用、花王・大阪心斎橋エリアドラッグストア店舗POP用AR」
ARコンテンツの体験を向上させる工夫
実在感を高めた名刺のAR化コンテンツ
アプリレスARチームの名刺は、裏側にQRコードとマーカーが印刷されており、各人のAR名刺にアクセスすることができる
諏訪氏のAR名刺を表示したところ。多層構造になっている台座は3Dオブジェクトで、人物写真と部署・名前のタグは2D表現になっており、後者は必ずカメラの方を向くしくみになっている。台座は相互に影を受けている表現にすることで、実在感が高められた。「リアルタイムに影を計算していると描画コストが高すぎるので、アンビエントオクルージョンなどを事前に焼き込んでいます。これはプリレンダリング的な発想・手法ですね」(岡氏)
ARコンテンツはマーカーとの距離(マーカーの映り込む大きさ)に則して描画される。マーカーさえ画角に映っていれば、かなり近寄って閲覧することが可能となっている
実在するオブジェクトによる遮蔽表現
アプリレスARの特徴的な機能のひとつとして「オクルージョン(遮蔽)」表現が挙げられる。AR内のキャラクターが、実在する置物などの後ろに回り込むと遮られて見えなくなるというものだが、シンプルながら現実とコンテンツが干渉する様子からは実に「ARらしい」納得感が得られる。「ARコンテンツ内に、キャラクターを遮蔽するためのオブジェクトを同時に仕込むことで実現しています。マーカーと実在の置物との相対位置が変わらなければ、正しく遮蔽されて描画させられます」(今村氏)。なお、マーカーはコンテンツに隠れているが、立方体の上面中央に位置している