事例:映画『Merry Christmas! ~ロンドンに奇跡を起こした男~』
プログラミングによるエフェクト制作
パーティクルや光の筋といったエフェクト表現はプログラミングで表現している。「3DCGツール上でエフェクトを作成しても、直接ARコンテンツに持ち込むことはできません。例えば髪の毛を物理演算で揺らすにしても、互換性がありませんので、独自につくるしかないのです。現在はシェーダ側で処理していますが、今後も重要度が増していく部分だと思います」(諏訪氏)
ARコンテンツとの記念撮影
本コンテンツは、当初は全体を立体で構成する予定だったそうだが、データが重たくなってしまうため、2D的な表現が採用された。「スマートフォンでは葉や飾りを全て3Dモデルにしてしまうと処理コストが高すぎるため、2Dによる表現を逆提案しました」(竹内氏)
ブラウザ上でのテスト。ツリーの主要部分は2Dとなっており、常にカメラを向くようプログラムしている
ツリーと共に記念撮影をしている様子。パネル内のQRコードからアプリレスARを起動し、マーカーがカメラに写っていればツリーと記念撮影ができる
映画『Merry Christmas!~ロンドンに奇跡を起こした男~』
全国順次公開中
merrychristmas-movie.jp
3DCGの制作力と開発力のフル活用
CADデータをARコンテンツに仕上げる
事例は清水建設 次世代建築生産システム「ShimzSmartSite」のプロモーション用ARコンテンツ。もともとは「からくさホテルグランデ新大阪タワー」における新工法についてのCADデータを用いており、初期状態ではワークステーションでも開くのに20分ほどかかる超重量級のファイルであった。「当社ではCM制作等で普段からCADデータを扱っていますので、それと変わらないながれでリダクション作業を行いました。最終的には3MB程度に納めています」(竹内氏)。「そのあたりの蓄積してきたノウハウをコンテンツ制作に活かせることは、同じARコンテンツを制作するにあたっても、Web系の会社さんとはちがった強みがあるかと思います」(諏訪氏)
CADデータを読み込んだ状態。フェイス数は2,500万を超えている
リダクション後。フェイス数にして約1,000分の1に削減しつつ、ARコンテンツとしては十分見た目が保たれている
ARコンテンツを体験している様子。ビル内に組まれたクレーンが見られるように、屋根は表示・非表示の切り替えに対応している
くり返される機能増強とARの可能性
新たに実装中の機能として、インタラクティブ性をもたせたコンテンツも研究が進んでいるという
「WAVE HAND」はAR表示内のキャラクターがユーザーのタップに反応するというインタラクティブコンテンツ。スマホをかざすとマーカー上にキャラクターが登場し、タップする体の部位ごとに手を振る、背伸びをする、座るといったアクションを返してくれる
マルチマーカーで体験する「BATTLE」は、切り出したマーカーを検知するとそれぞれにキャラクターが表示されるというもの。マーカー同士を近づけると戦い始め、一定時間で勝敗が決する。試作段階の現在はまだゲーム性はあまりないが、それでも新鮮味が楽しく、コンテンツ力の強化に期待がかかる
「TOUCH AND RUN」は、タップした位置にキャラクターが移動するというもの。タップすると花が配置され、そこに向かってキャラクターが花を摘みながら歩く