>   >  11人のアイドルの実在感を衣装とダンスで徹底的に表現〜うたの☆プリンスさまっ♪『雪月花』MV/Vol.2 アニメーション編
11人のアイドルの実在感を衣装とダンスで徹底的に表現〜うたの☆プリンスさまっ♪『雪月花』MV/Vol.2 アニメーション編

11人のアイドルの実在感を衣装とダンスで徹底的に表現〜うたの☆プリンスさまっ♪『雪月花』MV/Vol.2 アニメーション編

Topic 4. キャラクタービジュアルを保つための緻密なHairアニメーション

本作のアイドルは、衣装だけでなくヘアスタイルもそれぞれ特徴的だ。髪のリグは、ボーンを使用してセットアップしているが、その際に注力されたのが、髪型に合った動きを実現することだったという。そのためアイドルごとに必要なノードを洗い出し、個別の設定が施されている。


▲一十木音也の髪のスケルトン


  • ▲11人それぞれに設定された髪用スケルトン。スケルトンのシルエットだけでどのアイドルのものかひと目でわかるほどにつくり込まれている



▲ 左:髪ノードはMotionBuilderのGroupで管理されており、付け根、中間、先端といった区分でコントロールできるようになっている/右:このGroup分けは内製ツールのBone Dynamicsに紐付いている。Bone DynamicsはGroupごとやスケルトンごとに髪の動きのベースアニメーションを作成することができる



▲ 左:Bone DynamicsによるGlobal設定。重力や摩擦、風等の環境を設定できる/右:Bone Dynamicsによるコリジョン設定


▲Bone Dynamicsの設定は多くのノードに対して行うため、設定を流用できるようインポート/エクスポート機能を上記のBD Toolにまとめている

ダンスアニメーションという特性上、動きによっては髪が過度に動きすぎたり、ビジュアルが崩れたりするといった破綻が派生してしまうことがあるが、それを防ぐためにMotionBuilderのStory クリップを使用してアニメーションを制御している。これは基本の形状をクリップ化し、あらかじめ読み込んでおくことでウェイト値を利用して基本形状とシミュレーションの結果をブレンドすることができる機能だ。



▲ 左:シミュレーションしただけの状態/右:Storyクリップの機能を使って動きを抑えたいところで元の形状とオーバラップさせることでこのように形状の破綻を抑えることができる


Topic 5. ダンスアニメーションの調整


▲レイアウト画面。キャプチャデータをそのまま流し込んだ状態では嶺二(左端)やレン(左から3人目)の膝が胸に突き刺さってしまっている


▲完成カット。各アイドルが無理のないポーズに修正され、立ち位置や指のボーズなども整理されている


Topic 6. 個性を表現する指先

扇子の持ち方もアイドルごとに変えており、個性が際立つように調整されている。それぞれのアイドルの設定を加味しながら、そのアイドルらしい持ち方が検討された。



Topic 7. 2コマ打ちのアニメーションとフリッカー除去

キャラクターのダンスアクションは、モーションキャプチャによって収録したデータをブラッシュアップしているが、レンダリング後にAfter Effectsで2コマ打ちに変換して最終的な動きを作成している。2コマ打ちに変換する際に問題になったのが、変換時に発生するフリッカーだ。このフリッカーを除去するために、3ds Maxで作成したアニメーションのシーンをFBXで書き出し、自動出力されるトラッキングNullオブジェクトを利用してExpressionを組んで対応している。


▲AE上での調整の様子

▲フリッカーあり

▲フリッカー除去後

▲フリッカーあり

▲フリッカー除去後

Vol.3:表情編に続く>>


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