Topic 4. フェイシャルアニメーションの手順
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▲【1】まずはキャラクターモデルにアニメーションデータと音声ファイル、ワークライトを設定してフェイシャルの作業シーンを構築 -
▲【2】次に目線を付ける。目線を最初に付けることでキャラクターが何を思ってそちらを向いているのか等、表情演技が決めやすくなる
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▲【3】音声ファイルに合わせて口パクを付けていく。単純に母音に合わせた口の形にするだけではなく、あひる口モーフを組み合わせて倉花氏のテイストに近づけたり、口角の上下や他の母音のモーフを複数混ぜて形状や開き具合などを調整したりすることで感情や語気に合わせた形状をつくっていく -
▲【4】まぶたの演技を付ける。最初に目線を付けているので、表情演技や感情に合わせた目の開き具合など理想の目の表情を付けやすくなる
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▲【5】眉の動きは微妙な角度の変化で感情がちがって見えるので注力したポイントだ -
▲【6】おおまかな表情付けが終わったところで、Pencil+のラインの調整や、目に被る髪の調整などを行ってモーフを使ったフェイシャルアニメーション作業は完了となる
▲【7】さらに、ショットに応じてフェイスリグを使用し、顔の角度によって崩れがちな顎のラインや各パーツの配置バランスを整えてイラストに近づけるように調整していく。左:調整前、右:調整後
▲【8】ターボスムースをONにし、プレビューで形状の乱れや埋まりなどがないか確認したらキャッシュファイルを出力し、Cloth班またはコンポジット班に渡す
▲上記の制作工程を動画にまとめたもの
Topic 5. 髪の位置調整
▲動きの途中でカメラアングルによってヘアスタイルの見映えが変わってしまう場合は、アイドルの印象を保つために位置調整を行なっている。左:調整前、右:調整後
Topic 6. 下の歯
本作のキャラクターデザインのオリジナルイラストでは、キャラクターの下の歯がキチンと描かれている。しかし、作画風のアイドル作品の3DCGでは下の歯は描かれることが少なく違和感があるため、口を開けたときに下の歯が見える状態の表情は、違和感の出ない数カットに留められている。
Topic 7. 画面外の演技を追う視線
本MVの演出には、キャラクターの視線などの演技を利用して、画面に映っていない部分の演技を見る人に想像させる工夫が随所にみられる。『うた☆プリ』のアイドルの多くは手足が非常に長いキャラクターデザインになっているため、肘を伸ばすと画面内に収まらず表情と手足の動きを同時に見せるような演出が難しいカットもあったという。そのために指に動きをつけるのではなく、指のある方向へ目線を向けることで、画面には映っていない「画面外の動き」を見る人が感じられるように工夫されている。