Blueprintによるカスタム機能
UE4のノード型ビジュアル・スクリプティング・システムであるBlueprintを使用して様々なカスタムの機能を追加している。前述の草原の履帯部分の処理を含め、3ds MaxからUE4へのインポート、およびシーケンサーへの自動配置は、中村氏によって開発されたAISプラグインによって行われた。UE4から各種素材のアウトプットに関してはカスタムのBlueprintノードを開発。データのコンバートに関してカメラデータも完全に一致する状態で転送することが必須だったのだが、3ds MAXからのFBXではFocalLength値を持っていけなかったため、FieldOfViewパラメータに変換したFocalLength値をFBXにベイクして読み込ませている。ほかにも戦車はモーションだけFBXで出力、戦車上のキャラクターはAlembicで出力と、データ構造も複雑だが単にツールで読み書きするだけでなく、正確にコンバートする。そしてデザイナーライクなUIに落とし込むまでを開発の設計思想として行なわれた
戦車やキャラクターの動きをUE4 に読み込む
戦車に関しては3ds Maxでレンダリングまで出力しているが、背景に関してはUE4でレンダリングを行い背景の動画素材を戦車のマスクで抜くという手法を採っているため「戦車とUE4で植林したジャングルを含むRGBマスク素材」が必要になる。ただし戦車のリグに関してはそのままUE4のアセットとして移行できないので、戦車の可動パーツごとに全てをオブジェクト化して「ひとつのオブジェクトにひとつのNull」をセットアップし、再構築した。3ds Maxでアニメーションを付けたそのNullの動きをベイクし、そのまままったく同じ構造にセットアップしたUE4の戦車アセットにFBXで各Nullの座標のモーションデータのみながし込む、という方法で解決している
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3ds Maxの戦車リグ
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UE4戦車アセットのNull
FBXで転送できない戦車上のキャラクターについてはAlembicで出力。UE4へのデータの転送には中村氏によって開発されたAISプラグインを使いコンバータをカスタムすることで橋渡しを行なっている
UE4で書き出すレンダーエレメント
UE4からの背景レンダリングの結果はAfter Effectsで合成するのだが、ここでもBlueprintを使用して出力データ設定のカスタマイズを行なっている。各種イメージデータのほかには、戦車を切り抜くマスク、被写界深度、スペキュラ、陰影、戦車の煙のマスク、オブジェクトIDと、現状のコンポジットワークフローの延長線上での素材出力が設計思想のベースになっている。現状の戦車のレンダリングに対してはそのまま使用して背景側とハイブリッドなかたちでコンポジットすることで、一足飛びに表現を変化させるのではなく、新しい技術を使用しつつも一歩ずつ確実な方法論で表現開発を行なっていることがわかる。カスタムの開発としてはゲームエンジンというツールということもあって、アニメーターがアウトプット時に手間取らないように、UIもシンプルなかたちに落とし込んでいる
レンダーセッティング画面
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ジャングルの素材でカラー
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デプス
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スペキュラ
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ジャングル+戦車の素材でデプス
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マスク
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シャドウ
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戦車の煙
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アニメの背景らしくなるようにジャングルのディテールを落とすためAE処理した素材
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背景のみ
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戦車のみ
完成カット
©GIRLS und PANZER Finale Projekt