>   >  ゲーム化まで見越して提案! UE4をフル活用したエンディングアニメーション、TVアニメ『炎炎ノ消防隊 弐ノ章』
ゲーム化まで見越して提案! UE4をフル活用したエンディングアニメーション、TVアニメ『炎炎ノ消防隊 弐ノ章』

ゲーム化まで見越して提案! UE4をフル活用したエンディングアニメーション、TVアニメ『炎炎ノ消防隊 弐ノ章』

<2>企業のブランディングまで考慮したビジュアル制作

ゲーム画面&カートゥーン調を意識したアートディレクション

ビジュアル構築に関しては糸曽氏がおおまかなイメージを伝え、コンセプトアーティストのコルプス・ジョシュア氏がざっくりとしたコンセプトアートを制作した。UE4を駆使してゲームとアニメを連動させて同時に制作するという初の試みの中、ジョシュア氏のグラフィカルでカートゥーン調のテイストを損なわないよう、バランスをとりつつ慎重に進めていった。糸曽氏は当初より、ハンス・P・バッハーを彷彿とするシルエットを活かして色数を抑えたジョシュア氏のイラストにひと目惚れしていたという。「彼の影絵のようなコンセプトアートを見たときに、これだと思いました。影絵のようなカットが流れた途端にORENDAの作品であることがひと目でわかるというのも、同社のブランディングの一環として提案しました」と糸曽氏。単なるED制作に留まらず、ゲーム化の提案に加えてビジュアルによる企業のブランディングまで同時に行うなど、わずか1分30秒のED制作に綿密なビジネス戦略が練り込まれているというわけだ。

ジョシュア氏は、以前制作したTVアニメのEDコンセプトアートを基に、そのテイストをどのように本作に組み込んでいくかを考え、ベースとなるイメージボードを制作。「全体を通して、赤と黒、光と影の強いコントラストで表現し、影絵のようなテイストをエンディングのアートスタイルと決めて描き進めていきました」とジョシュア氏。そして、同氏の制作したコンセプトアートをリファレンスにしてディレクター/2Dアニメーターの小森秀人氏がムービーコンテを作成。ジョシュア氏の世界観を壊さないように注意しつつ、足りない部分やエフェクトを加えて1本のムービーコンテにまとめた。「どこまでゲームで再現できるかはわかりませんでしたが、ゲームでプレイした際に面白そうなEDになるよう意識しました」と小森氏はふり返る。また、本EDのコンセプトでもある「ゲームらしさ」の演出では、ゲームデザイナーの石川裕章氏が参加。ゲームのUIを画面に載せようとも考えたが、EDではスタッフクレジットと重なり文字情報が多くなりすぎてしまうため、よりゲームの本質を突いた演出を加えることにした。「インタラクションがあるのがゲームの特徴であると考え、キャラクターが何らかのアクションを起こすと何かアイテムが出てくる、というルールをつくりゲーム性のある演出を施してもらいました。例えば、最初は獲得するアイテムがハート型のものしかないのですが、聖陽十字のアイテムを拾うと仲間が出てくる......、といったゲームらしい演出です」(石川氏)。ゲーム畑を歩んできた同氏にとって、TVアニメのクレジットに名前が載ったのは衝撃的だったそうだ。アニメとゲームの垣根を超えた挑戦を盛り込んだ本作。同社では今後、こういったボーダーレスな案件が増えていくのだろう。

ゲームのプレイ画面のようなビジュアル構築

▲横スクロールのゲーム画面風の映像を意識した。シンラ、アーサーをゲームのプレイヤーキャラクターように感じられる構図で作成した

UE4でシェーダの調整

▲より忠実にコンセプトアートの世界観を再現するため、UE4にてシェーダの調整を行なった。【左】調整前/【右】調整後

ゲームらしい演出手法

▲よりゲームらしさを演出するため、強敵を倒した場合などに「アイテムが出現する」という演出を加えた。アイテムを獲得すると、「回復アイテム」と「仲間が助けに来てくれるアイテム」の2種類を作成

ムービーコンテ

▲ムービーコンテの段階でほぼ全ての演出が網羅されており、完成形が容易にイメージできるものとなっている

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<3>UE4とAfter Effectsの連携によるアニメーション制作

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