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 脱「CGくさい」動き! 神央薬品が教える違和感を取り除くためのアニメーション基本技術

脱「CGくさい」動き! 神央薬品が教える違和感を取り除くためのアニメーション基本技術

Basic ベーシック

手を上げる~身体全体を使ってアニメーションさせる

身体の部位だけを動かすのは、CGくさくなる原因のひとつです。試しに自分で手を上げてみてください。肩は上がり、腰も動いて重心が移動し、足まで動いていることさえあります。何か動作するときは、身体全てが連動するということを理解しましょう。アニメーションは身体全体を使って行うことが重要なのです。それでは、どのようにアニメーションを付けると自然に見えるか、実際にやってみたいと思います。キャラクターデータはトランジスタ・スタジオ様からこっそりお借りしました。このことは内緒にしておいてください(笑)

▲このポーズのように、止まっている画像でもきちんと自然にポージングできているかはとても重要です。自然なポーズのコツは重心の位置。リラックスした雰囲気で立っているように見えることを心がけてください

▲ちょっと大げさに付けていますが、予備動作のポーズです。上に上げるためにまず下に1回下げるというように、逆の動きを入れてあげるのは非常に効果的です(※1)

※1:リアル系の動きだと、ほんの少し逆に入れるくらいでちょうどよいと思います

▲これもわかりやすく大げさにポージングしていますが、重心の移動です。ここはキーポーズ以上に、動きのながれをどう繋ぐかが非常に重要になります。重心が左に移動し、その力を利用して右手を上げるようなながれです。ここで、胸と肩も使って手を上げている点と、肘を使って手首をもっていくところを注意して見てください

▲いよいよ手を上げました。ここでは目一杯、手を上げてみてください。重心は左にいき、腰から胸、肩を伝って手が上がっています。キャラクター性や作品のニュアンスによって変わってきますが、基本は身体全体を動かして手を上げるということが理解できたと思います

▲これも意外にできていない人が多いのですが、何でも急には止まれないということを理解しましょう。例えばクルマでブレーキを踏んだら反動で戻る動きが出て、ピタッと止まることはありません。この止まったときの反動をアニメーションに入れてあげると、一気に動きのリアルさが増します(※2)

※2:このサジ加減はとても難しく、誇張しすぎてしまうとCGくさくなってしまうので慣れが必要です

壁にもたれての会話~足を積極的に動かす

間(ま)のもたせ方や仕草にもコツがあります。特に必ず足を動かすクセをつけると効果的です。腰から上は凄い演技をしているのですが、足がまったく動いていないアニメーションをよく見かけます。気持ちはわかります。足を一歩動かすということは重心の移動も伴うため、意外と手間がかかるんですよね。でもあえてそこで足を組み替えることによって動きの質や説得力が一気に上がるので、どんな動作のときでもステップを踏み替えるタイミングや、着地して足を踏み替えることなどを意識しながらアニメーションを付けると良いと思います

▲愉快そうに話しているポーズですね。すこしムカつきすら覚えそうな表情ですが、そう感じるということはアニメーションに命が吹き込まれているということでもあります

▲話に何か良くない展開があったのでしょうか。少し顔が引きつったように見えます。手も力が入っておらず、少しきょとんとしているように感じます。そして思わず足を動かしてしまいました。このように、たじろぐときには半歩ステップを入れてあげると大きな効果が出ます

▲足を少し動かすとバランスが若干ずれるのと、ずっと同じポーズをしていると人は疲れるという理由からポーズを変えます。寝返りと一緒です。ここで体勢を変えて画面に大きく変化をつけるため、左足を組み替えてレイアウトを変えて間をもたせます。こちらはその間のポーズです

▲足の組み替えが完了した状態です

▲最後に反動を入れることも忘れずにやっておきましょう。改めて1枚目のポーズと見比べてみると、足を組み替えることで印象がだいぶ変わったのがわかると思います。このようにレイアウトを変えるのはとても大事です。足を動かすことは、少しの動きで画面構成を大きく変化できる、かなり便利なテクニックと言えます(※3)

※3:上半身だけの演技で大きく重心を動かしたりシルエットを変えると、アニメーションとしておかしいものになってしまうので注意しましょう

<3>物を取る~キーポーズを入れてリアリティを出す

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