次は間のもたせ方の別バージョンです。キーフレームを何も考えずにただ打ってしまうと、キーポーズがただ繋がっただけの単調でつまらないアニメーションになってしまいます。リニアな動きになってしまうのが嫌でよくやりがちなのが、イージーイーズでIN-OUTしてしまうことです。これはとてもCGくさい動きに見えてしまうので、例えばAからBにいくまでにA'というキーポーズをはさんであげることで、単調な印象を軽減することができます
▲スマホを見ながら、何か操作しようとしているポーズですね。Twitterに言ってはいけないことなどを呟いてしまわないように注意してから呟きましょう。不用意な呟きは炎上の元ですから
▲コーヒーカップに向けて手を伸ばします。携帯を見ながら熱いコーヒーを持つのは危険ですね。このとき、さり気なく足も動かしたりして、ポーズのシルエットに少しだけ変化をもたせるようにします
▲ここが今回のポイントです。まっすぐコーヒーカップを取りにいくのではなく1回間をつくり、コーヒーカップを見るという動作を入れました。これによってアニメーションに説得力が出ます。さらにこの間によって、単調な動きになってしまうことも回避できます(※4)
※4:コーヒーカップを取るときにちゃんと物を見たので、小さなお子さんにも安心して見てもらえますね。子ども向けの作品などでは意外と重要です
▲コーヒーカップをやっと手にできました。もし3枚目のキーポーズがなければ、まっすぐコーヒーカップを取りにいって、アニメーションはどこかで間延びしてしまうでしょう。A'のキーポーズの入れ方はいろいろあるので、状況に応じて工夫してみてください(※5)
※5:間延び対策として、コーヒーカップを取るのを躊躇したり迷っている仕草を入れたい場合は、2枚目の前に少しだけ手を伸ばして止めたりすることで間をもたせるのも効果的です
▲やっと美味しいコーヒーが飲めました。今回は止まらずに最後飲むところまでの動きなので、反動はありません。ここは口に近づけながら徐々にスピードダウンして、最後口に近づいてカットチェンジ、みたいなイメージです
Summary 回し蹴り~これまでの集大成これまでやってきた基本の総まとめとなるアニメーションです。自然なポーズからしゃがんでジャンプしつつ、身体をひねりながら回ってキック、というながれになります。回転を伴う動きは速すぎると何をしているかわからないので、シルエットに気を遣いつつも動きの緩急をつけなくてはいけないという意味では、難しいアニメーションの部類に入ります。ジャンプやキック系の動きで重要なのは、縮んでいる状態と伸びている状態の差分をしっかり見せてあげることです。これによってメリハリのついた良いアニメーションになります
▲しっかりと相手を見てポーズをとります。このときに不自然なポーズだったり、力が入っていないポーズをとってしまうと全て台無しになってしまうので気をつけてください
▲次のジャンプに向ける予備動作です。しっかりと身体全体を使ってしゃがみ、次のジャンプへのアニメーションへ繋げます。戦闘系のアクションの場合は、こういったとき相手にきちんと視線を向けることも重要です
▲ジャンプした瞬間。忘れがちですが、この一番伸びきったポーズも大事です。縮んだ後にきちんと伸ばしてあげましょう。そのコマをしっかりと見せることによって、"跳んだ"という記号的な印象を見ている人に与えることができます
▲蹴る前の予備動作。ここもしっかり縮ませて、力を溜めているポーズにします。この縮んだ状態から、キックのときに大きくポーズの変化をさせるこ とで、力強いキックを表現できます
▲予備動作のときに目一杯溜めておいた力をここで開放するイメージで、足をできる限り伸ばします。ここでは重心を乗せることを意識したポーズづくりが重要です。また、4枚目と5枚目の足のポーズの差をできるだけ大きくして、身体全部ではなく効果的な部位に変化をつけることでイメージが伝わりやすくなります
▲キックから自由落下へとアニメーションが移り、着地する直前の状態を表した重要なレイアウトです。ここでポーズが不自然だったり、いきなり着地してしまうと非常に繋がりが悪いので、こういった移り変わりのポーズは大事にしたいところです。着地するにあたり、接地した足を伸ばして見せてあげることもポイントになります
▲着地のポーズ。前の足を伸ばしたレイアウトを活かして、しっかり着地させましょう。重心の移動もきちんと行うことで自然な動きのながれになります
▲着地の後のもう一歩を付け加えて完成。激しく大きな動きをしたときにはすぐには止まれないので、足の踏み直しや体勢の立て直しのポーズを入れてあげると、アニメーションにグッと説得力が増します
TEXT_ノブタコウイチ
作例_みうら