Physical law ロボット
面取りでメカらしさを出すロボットは駆動系のフレームを樹脂製のカバーが覆っているという設定のため、外観も別パーツで作成しました。これにより、シェーディングをかけたときに内部のフレームが影になってメリハリがつきます。
▲<左>はトレースしたラインに面を張ったのみの状態です。味気なく、存在感も薄く感じます。<右>は厚みを付け、面取りをしたカバー部分です。裏面ができて存在感が増しているのがわかるでしょう。このようにメカらしさを増す必須の処理として「面取り(べベル)」があります。メカを構成する金属パーツは、角が尖っている部分を扱いやすいように面取りの処理がされているのが普通だからです。
▲<左>はトレースしたままの状態、<右>は凸になっている部分を選択してべベルを適用した状態で、見た目の印象が大きく変わったことがわかります
トレースからの立体化▲デザイン画から立体化する際は三面図をトレースするだけではなく、なるべく絵の雰囲気を加味してモデリングするように心がけることが重要です。今回はデザイン画から線をトレースし、それに厚みを付けて立体化するというプロセスで作成しました。この時点で、正面のバランスをアタリにしながら側面の配置によるバランスもとっていきます。まずデザインについては人型の軍事用ロボという設定で、あえて直線と曲面を組み合わせてデザインしました。
▲説明用にポリゴンとサブディビジョンのメッシュを混ぜて使っていますが、実際の仕事の際はどちらかで統一するのが基本です。次にデザイン画を正面図からトレースし、厚みを付けていきます。
▲厚みを付ける際には、側面を見ながら前後の位置も調整します。
対称部分を見つけて作業を効率化するロボットなどメカもののパーツは左右対称となっている形状が多いので、その対称部分を探し出して作業しやすいように正対させて半分だけつくり込むことで、ディテールアップなどを効率良く進めることができます。この左右対称の処理は、メカモデリングにおける最も汎用的な効率化の手法です。対象となる形状をよく観察して、意識的に作業に取り込むようにしましょう。
▲<左>はデザイン画のポーズをそのまま3Dモデルに起こした状態です。足の位置が斜めになっています。これを回転ツールで正面に合わせるようにし、対称ツールで編集できるように真ん中に配置しました<右>。この状態で、べベルをかけたりディテールの追加を行なっていきます
サブディビジョンによる曲面にメリハリをつけるポリゴンメッシュによる曲面では、基本的にポリゴンのエッジを出したり緩めたりしながら形状にメリハリをつけ、曲面で構成されたパーツを仕上げます。特にクルマや飛行機などのメカではサブディビジョンを使って滑らかな曲面を表現することが多いので、そこで失われてしまったメリハリをポリゴンの密度を操って形状をまとめていくことになります。
▲ポリゴンで面を張った元の状態<左>に対して、サブディビジョンをかけただけの状態<中>では、形状のメリハリがなくなってしまいました。そこで、端や折り目の部分などに細く分割を入れることで形状のメリハリを再現します<右>