>   >  映画『電人ザボーガー』〜 CG と造形の絶妙な融合により、昭和のロボットヒーローが現代にリブート 〜
映画『電人ザボーガー』〜 CG と造形の絶妙な融合により、昭和のロボットヒーローが現代にリブート 〜

映画『電人ザボーガー』〜 CG と造形の絶妙な融合により、昭和のロボットヒーローが現代にリブート 〜

TOPIC 2:フル CG で作り込まれた迫力の空中戦

本作の見所として、後半に登場するダイナミックな空中戦が挙げられる。実はこのシーンには絵コンテはほとんどなく、オフライン編集(※下のメイキング動画を参照)でも "空中戦" とスーパーを入れただけの状態だったという。つまり、クライマックスを盛り上げるこの渾身の空中戦シーンは、ポスプロ段階で VFX チームがほぼイチから作り上げたわけだ。





実際に編集が終わるまで誰も本作の空中戦がどうなっているかを知らなかったという。こうした点からも、井口監督が VFX チームに大きな信頼を寄せていたことが窺える

「映画全編を通して全体の盛り上がりを考えた際、お客さんがワクワクするような空中戦はあった方が良い思い、監督に提案したのです。ただし、CG 分量的に既にキャパオーバー気味だったので、空中戦を作れるように全体の作業内容を調整しながら少しずつ時間を貯金していき、その中で実現できる分量の空中戦を考案しました。実作業では、まず水石にザックリとした流れを説明するだけで、まずは彼のクリエイティビティをいかんなく発揮してもらい、それに対して演出的に気持ち良くなるような動きの緩急を調整することで完成へと持っていきました」(鹿角氏)。

本作のアニメーションでは、観客が何をやっているか"ギリギリわかる"動き の追求が大きなテーマになっている。動きが早過ぎるとハリウッドチックな "VFX クオリティとしては凄いけど何をやっているか分からない映像" になってしまうし、かと言って遅いともっさりしてテンポが悪くなる。その微妙な調整をこれまでの経験と様々な工夫でカバーしているわけだ。

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空中戦作成中の Maya スクリーンショット <1><13> 。鹿角氏からの「高架下をくぐらせる」など表現のポイントとなる芝居といった大まかな指示をベースに、水石氏がアニメーションを作成。アニメーション制作に携わっていたキャリアを持つ水石にとって、まさに本領発揮の迫力シーンとなった

空中戦でも繰り出されるザボーガーの武器 「ブーメランカッター」「チェーンパンチ」 も全て手付けアニメーションで作成された。水石氏の熟練したアニメーションスキルと現場で培われた実写のノウハウが組み合わされたこの空中戦のアニメーションは、制作当時に話題となっていた 映画 『アイアンマン2』(2010)顔負けの大きな見せ場となっている。

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ザボーガーの 3 大武器のひとつ「ブーメランカッター」。この後の掴み合いのシーンで、前述したオフライン編集の「空中戦」テロップ後の実写映像に切り替わる


ザボーガーの宿敵、秋月 玄(宮下雄也)の操るブラックホークが激しい空中バトルを繰り広げる本シーケンスは VFX チームによってイチから制作された。制作当時に話題を集めていた映画『アイアンマン2』へのオマージュ的な演出にもなっている。抜群のスピード感とカメラワークは何度見ても爽快だ

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