チェーンジ、 ストローングザボーガー、GO!! 「第40回 ロッテルダム国際映画祭」 ジャパンプレミア上映 や 「FANTASTIC FEST 2011 ファンタスティック部門」 監督賞受賞 など、国内外で高い評価を得た 井口 昇監督 のヒット作 『電人ザボーガー』(英題:"Karate-Robo Zaborgar" ) の Blu-ray & DVD が 3 月28日より発売される。
本作は1974 年に放送された TV シリーズ 『電人ザボーガー』 を 2 部構成で現代に蘇らせた意欲作である。主人公大門豊を演じるのは熟年期に板尾創路、青年期に古原靖久。本作における 2 人の熱演は往年のファンをもきっと唸らせるはずだ。渾身の VFX を制作したのは井口監督の盟友であり、本作でも VFX スーパーバイザーを務めた鹿角剛司氏率いる スタジオ・バックホーン 。『片腕マシンガール』(2007)、『ロボゲイシャ』(2009)といったアウトローな作風の井口作品をビジュアル面で支えてきた CGWORLD 本誌でもお馴染みの VFX スタジオだ。今回は主人公でもあるザボーガーのメイキングを中心にこだわりの演出を紐解いていく。
スタジオ・バックホーンの VFX コンセプトとは
映画『電人ザボーガー』 は主人公大門豊とその兄弟ロボット、ザボーガーが地球の平和を守るために、サイボーグ組織シグマとの戦いに身を投じていく姿を描いたロボット空手アクション映画である。本作の VFX カットは 500 カット以上あり、3D カットをスタジオ・バックホーン、2D 合成中心の 160 カットは 日本映像クリエイティブ が担当。撮影は 2010 年の 4 月から 5 月に掛けて行われ、VFX 制作には約 3 ヶ月を要したという。ただし、この 3 ヶ月の間に同時進行していた 『ヘルドライバー』(西村喜廣監督)など別作品の制作も含めると、同社がこなしたカット数は 1,300 カットを超えているそうだ。
映画『電人ザボーガー』予告編
本作のVFXは青年期の 「第 1 部:たたかえ!電人ザボーガー!」 と熟年期の 「第 2 部:耐えろ大門!人生の海に!」 で異なるコンセプトで取り組まれているが、それぞれのコンセプトについて鹿角氏は次のように語る。
「今回は 37 年前の作品をリメイクするに当たって、第 1 部は井口監督の要望で当時のテレビシリーズをできるだけ完コピすることがテーマでした。従い、プリビズも制作していません。第 1 部はアナログの手法をメインとしてやる方針があったので、西村映造さんで制作されたメインの着ぐるみと CG の違和感がないように質感には特に気を配りましたね。第 2 部に関しては携帯電話も出てくるいわゆる現代の物語なので、なるべく現代風にアレンジしています。特に変形シーンや空中戦ではスピード感を気にしながら制作しました」。
『第 1 部』制作において、鹿角氏は敢えてオリジナル作品を見直さずに作業を進めたとのこと。なぜなら、現代にザボーガーを蘇らせる上で、オリジナルに熱狂していた小学生当時の 「電人ザボーガーは "こうカッコよかったよな" 」 と、脳内補完されたイメージを頼りにして作り上げようとしたからだ。一方、『第 2 部』に関しては完全オリジナル作品のため、かなりのボリュームのプリビズを制作しながら正攻法で作業を進めたという。
© 2011「電人ザボーガー」フィルム・パートナーズ
監督・脚本:井口 昇
VFX スーパーバイザー:鹿角剛司
特殊造型監督・キャラクターデザイン:西村喜廣
アクション監督:カラサワ イサオ
出演:板尾創路、古原靖久ほか
企画・制作:ピー・プロダクション
エグゼクティブプロデューサー:大月俊倫
監修:鷺巣詩郎
製作:2011「電人ザボーガー」フィルム・パートナーズ
配給:キングレコード / ティ・ジョイ
配給協力・宣伝:日活
海外に向けた作品も数多く手掛けているスタジオ・バックホーン。作品ごとに異なる顔を覗かせるその独特な制作スタイルにも共通の特徴がある。それは制作側が作りたいものを作ると同時に、観客自身が見たいものを見せよう というこだわりだ。例えば、本作のザボーガー変形シーンでは予算の制約に対して、別角度からの発想が持ち込まれている。海外のブロックバスター映画のように予算を掛けられなくても、観客を楽しませることを第一に採り入れられたアイデア......それはザボーガーを "無駄に変形" させることだったと鹿角氏はふり返る。
「予算を掛けてたくさんパーツを作り正確な変形をしても視覚効果としては面白くない。むしろどうインパクトのある変形をさせるか考えて辿り着いたのが、"1 度無駄に開いて、良く分からないけど何かが飛び出る" というアニメーションでした。最終的に収納されるんですけどね(笑)。わざわざ中から 1 度出てきて引っ込むというその動き自体に意味はないのですが、全体の印象として何か物凄いことが起こったと感じさせる視覚的な仕掛け作りです」。
限られた予算でも妥協することなく、そこに創意工夫を加えて面白いものに変換する。これこそがスタジオ・バックホーンの制作マインドなのだ。それでは次ページから、気になるザボーガーのメイキングを見ていこう。
TOPIC 1:3DCG と造形の絶妙なコラボレーション
本作に登場するザボーガーを始めとしたキャラクターには、スタジオ・バックホーンが Autodesk Maya 2010 で作成したフル 3D モデルと、特殊造形を担当した西村映造が作成した着ぐるみをそれぞれ用意。撮影前に VFX、造形、アクションチームで段取りを決めて、劇中で適宜切り替える方法で制作が進められた。
「変形ショットのような実写で撮れない部分は当然 CG で作成しますが、変形の前後は着ぐるみで演技されています。それをトレースして変形のところをデジタルダブルで切り替えられるように、アクションでもその分、わざと間を開けている んです。予算上モーションキャプチャは使えないため、モーション付けは着ぐるみアクションのロトスコープで対応しました」(鹿角氏)。
ザボーガーのデザインに関しては、ガレージキットメーカー J-FACTORY の田中 淳氏にザボーガーのリファインも含めて発注された。そして送られてきた完成ミニチュアモデルを参考に、西村映造でまず着ぐるみとバイクを制作。その後、実物の造形物から 3D へのモデリングが行われている。こうしたワークフローが採られた理由として、造形物はスーツアクターが実際に合わせてみて、造形的に無理のあるところがあれば変更しなければならないからだ。変更後の最終的な造形物合わせでモデリングを行えば、CG と造形の誤差を未然に防ぐことができる。
ザボーガーモデル(ロボット形態)
(左)ロボット型の造形ザボーガー、(右)造形ストロングザボーガー。ミニチュアモデルを参考にして西村映造が制作した造形物をベースに、ザボーガーをモデリングしたという
Maya で作成した CG ザボーガーとワイヤーフレーム
Maya でレンダリングされた CG ザボーガー
ザボーガーモデル(バイク形態)
西村映造が制作したバイク型の造形ザボーガー(左)とバイク型の造形ストロングザボーガー(右)
Maya で作成したバイク型 CG ザボーガーとワイヤーフレーム
Maya でレンダリングされたバイク型 CG ザボーガー
ただし、劇中の後半部に登場するパラリンザボーガーに関しては造形物がないため、ミニチュアモデルから直接 3DCG モデルを起こしていった。
「非常に精巧にできたモデルでパーツも取り外せることができたので、モデリングはやりやすかったですね。もちろん、CG 上で都合良く改変している部分もあるわけですが」と、CGディレクターを務めた水石 徹氏が語るように、細かなパーツや背面のディティールなど立体物として確認できるため柔軟にモデルを制作できたそうだ。
J-FACTORY によって作成された後半に登場するとパラリンザボーガーのミニチュアモデル。完成品と着色前のパーツをそれぞれもらってリファレンスにしながら、3D モデルを作成
ザボーガーのセットアップ
ザボーガーの最初のテーマでもあった "ワンカット変形" について水石氏は次のように説明する。「時間的制約のため作りながらの試行錯誤でした。まずきちんとした変形はできないという前提があったので、実写と CG の切り替えをどこで入れるか考えました。例えば、ロボットは必ずT字のポーズからタイヤが出てくるという定番の動きがあったので、ある程度まではロボット形態で変形が始まったら 3D 上でパーツを入れ替えています。開くだけのパーツを制作して、開いて閉じたらバイクのパーツになっているだとか。完全にバイクとロボットのパーツは別個にして、あとは動かしながら似たような形になるように変形やスケールを掛けます。動きがおかしくならないように気をつけていく感じですね」。
CG 制作は Maya 2010 で行われた。バイクとロボットのオブジェクトを分け、それぞれに " 変形 " を考慮したリグを作成。変形時にオブジェクトを入れ替えている
Trax エディタによるザボーガーの変形
劇中ではザボーガーがロボットからバイク、バイクからロボットへとテンポよく変形していくシーンが随所に見られるが、これらの調整は Maya の Trax エディタ でクリップ化することで対応された。
「2 種類の変形はクリップを逆さにして、個別にタイミングを調整しています。変形途中は全て Trax エディタで同じものを使い回して、ロボット形態になったときのアクションやポーズからそれぞれのアニメーションを付けています」(水石氏)。
Maya の Trax エディタでパーツごとに変形のアニメーションをクリップ化し、タイミング調整できるようにしている。パーツごとに切り替えながら、変形アニメーションは制作された
鹿角氏が前述した無駄に変形するアニメーション。"なんかスゴイ" と思わせる仕掛けが巧みに施されている。「どうやって面白くインパクトのあるものにするかが最大のテーマであり重要でした。整合性が取れてないけど、面白くてインパクトがあるからいいじゃないかっていうのはマンガやアニメの感覚に近いですね」(鹿角氏)
TOPIC 2:フル CG で作り込まれた迫力の空中戦
本作の見所として、後半に登場するダイナミックな空中戦が挙げられる。実はこのシーンには絵コンテはほとんどなく、オフライン編集(※下のメイキング動画を参照)でも "空中戦" とスーパーを入れただけの状態だったという。つまり、クライマックスを盛り上げるこの渾身の空中戦シーンは、ポスプロ段階で VFX チームがほぼイチから作り上げたわけだ。
実際に編集が終わるまで誰も本作の空中戦がどうなっているかを知らなかったという。こうした点からも、井口監督が VFX チームに大きな信頼を寄せていたことが窺える
「映画全編を通して全体の盛り上がりを考えた際、お客さんがワクワクするような空中戦はあった方が良い思い、監督に提案したのです。ただし、CG 分量的に既にキャパオーバー気味だったので、空中戦を作れるように全体の作業内容を調整しながら少しずつ時間を貯金していき、その中で実現できる分量の空中戦を考案しました。実作業では、まず水石にザックリとした流れを説明するだけで、まずは彼のクリエイティビティをいかんなく発揮してもらい、それに対して演出的に気持ち良くなるような動きの緩急を調整することで完成へと持っていきました」(鹿角氏)。
本作のアニメーションでは、観客が何をやっているか"ギリギリわかる"動き の追求が大きなテーマになっている。動きが早過ぎるとハリウッドチックな "VFX クオリティとしては凄いけど何をやっているか分からない映像" になってしまうし、かと言って遅いともっさりしてテンポが悪くなる。その微妙な調整をこれまでの経験と様々な工夫でカバーしているわけだ。
空中戦作成中の Maya スクリーンショット <1>〜<13> 。鹿角氏からの「高架下をくぐらせる」など表現のポイントとなる芝居といった大まかな指示をベースに、水石氏がアニメーションを作成。アニメーション制作に携わっていたキャリアを持つ水石にとって、まさに本領発揮の迫力シーンとなった
空中戦でも繰り出されるザボーガーの武器 「ブーメランカッター」 、「チェーンパンチ」 も全て手付けアニメーションで作成された。水石氏の熟練したアニメーションスキルと現場で培われた実写のノウハウが組み合わされたこの空中戦のアニメーションは、制作当時に話題となっていた 映画 『アイアンマン2』(2010)顔負けの大きな見せ場となっている。
ザボーガーの 3 大武器のひとつ「ブーメランカッター」。この後の掴み合いのシーンで、前述したオフライン編集の「空中戦」テロップ後の実写映像に切り替わる
ザボーガーの宿敵、秋月 玄(宮下雄也)の操るブラックホークが激しい空中バトルを繰り広げる本シーケンスは VFX チームによってイチから制作された。制作当時に話題を集めていた映画『アイアンマン2』へのオマージュ的な演出にもなっている。抜群のスピード感とカメラワークは何度見ても爽快だ
TOPIC 3:造形を引き立てるコンポジットワーク
ブルダンガーの腕
本作における CG と造形のコラボレーションが効果的に作用している代表的なシーンは、トラックロボのブルガンダーが登場するシーンだろう。オリジナル作品でも抜群の存在感を示したブルガンダーだが、実は予算の関係で今回はカットとなる予定だった。しかし、オリジナルファンの熱望により、一転して登場させることになったという。
コンポジットには After Effects 6.5、トラッキングには boujou が使用されたのだが、ブルガンダーは顔の部分は造形で 2 本の腕が 3DCG になっているため、トラッキングにはとても苦労したようだ。また、前述したように第 1 部はプリビズがないため、最終的な画で腕が全てフレームに収まるようなカメラアングルを鹿角氏が現場に張り付いて監修したという。
<1> 元の実写素材、<2> CGで作成した腕、<3> 頭部のマスク、<4> 最終コンポジット。質感は顔の造形部分に合わせて調整された。第 1 部はアナログ造形を大事にして、そこに CG を寄り添わせる方法を追求したそうだ
boujou を使用して頭部に合わせてトラッキングを取り、それに腕モデルを Maya 上で配置して作成。配置用ガイドには別シーン用に作成されたミニブルガンダーの頭部モデルを使用
バイクチェイスシーンのコンポジット
巨大化した大門の娘、AKIKO(佐津川愛美)を遠景に繰り広げられる、大門と秋月の激しいバイクチェイスシーンにおいても、トラッキングが上手く取れず何度もリテイクが入ったという。コンポジットでは AE 上でバイクチェイス撮影素材のマスクを切り、CG で作成したビルを遠景に配置。そこに FIX で撮影した実写の AKIKO と炎を追加している。途中で大門のバイクに向かって飛んでくる破片やミサイルなどを合わせる作業では、かなりの手間と時間を要したとのこと。
AKIKOは頭部の変形用に造形のありなしで撮影して、頭部変形時に素材入れ替えている<1>、<2>。1 番手前にバイクのグリーンバック素材 <3>、次に CG ビルを配置 <4>。さらに上部にはビームを <5>奥の AKIKO の足下には火災の素材を配置して <6>、合成された最終画像 <7>
スタジオ・バックホーンのように、常に大量のカットを制作している現場では、撮影時のちょっとした判断がその後の作業効率とクオリティを大きく左右することも多々ある。そのため、監督との掛け合いなども 1 つの重要なワークフローと言えよう。
「井口監督はこちらからダメ出しすると、それに対しての切り返しアイデアを考えるのがすごく上手いんですよ。だから現場で何かトラブルが発生しても、直ぐに面白い代案を考えてくれる。結局、お金と時間を有効に使うために必要なことは、現場での素早い判断だと思いますね。プラン通りに撮影が進まなかったとしても、その代わりになるアイデアを撮ってあるだけで、作品の完成度は変わってきますから」(鹿角氏)。
TOPIC 4:Autodesk Stitcher で効率的に実現〜大胆なカメラワーク
劇後半では、"いかにしてキャラクターの大きさを表現するのか" が大きなテーマだった。最後にご紹介するのは本作で最も苦労したという、巨大化した AKIKO の胸部から地上を見下ろす一連のショットだ。撮影や照明のセッティング上、カメラを上げ下げするとその日の予定カット数を撮りきれなくなってしまうため、ここでは 1 日だけクレーンとリモートヘッドシステムを導入して大がかりな撮影が行われた。このシーケンスでは、元々ダイナミックなショットを撮るプランはプリビズ段階ではなかったという。
「プリビスを作りながら地上や上空からの画はあるけれど、全体を見渡せるような高さを感じさせるショットがないなとずっと思っていました。そして現場に行ってみたら、撮影部がかなりしっかりしたクレーンとリモートヘッドを借りてきていたので、これを使用してワンショットで撮れば高さが出せるのではと思い、その場で提案して撮影したわけです」(鹿角氏)。
トラッキングでは、ぶら下がっている役者をワイヤーで吊っているので、ワイヤーがどうしてもキャラクターにかぶってしまう。また、ダイナミックではあるが、スピードはじっくり移動するためそれらが余計に際立つことから、本シーンのバレ消しには特に気を使ったそうだ
また、真下に広がる街の背景は現場で撮影されたものではなく、VFX スタッフが東京タワーなどに登って撮影した写真を使用しているとのこと。ただしパースが破綻しないように次のようなユニークな手法が採られている。
「まず Autodesk Stitcher という画像の貼り合わせが行える(=スティッチ)ソフトを使い、大きめに球体マッピング用素材を作成します。それを Maya 上で球体に貼り付けることで、ハイディテールと大胆なカメラワークを両立させました。カメラも基本的に 3D 上で付けていますがカメラワークがそれほど激しくないところであれば、2D 上で追っかけています」という水石氏の解説通り、Maya の球体マップを活用することで、カメラを上かた下へと大きく振っても破綻のないパースペクティブを生み出すことに成功した。
街の背景画像には VFX チームが独自に撮影したスチールを用意。ほぼ真俯瞰まで入るカットだったため、地平線からできるだけ俯瞰に入れるように Stitcher を使用して大パノラマの素材を作成する
Maya 上でトラッキングデータをベースに CG の AKIKO を配置。画像がマッピングされた球体の位置を、見た目が良くなるまで調整しながらカメラの動きに対応させた
CG の AKIKO と球体マップの背景が合成された圧巻の完成動画。「カメラが180度回っているため、リモートヘッドを操作するカメラマンも最後の場面はモニタのぞけないので、感覚でやっています」(鹿角氏)
このようにワンショットで撮られた実写素材と、Stitcher と Maya で作成された背景を合成した本 VFX 。巨大 AKIKO のサイズや、高い場所でアクションが展開していたことが視聴者にもよく分かる仕上がりとなっている。
「結局、外連味(けれんみ)をどう出していくのかが重要なわけです。僕らはエンターテインメントの仕事をやっているわけであり、正確なシミュレーションが目的ではありません。外連味というものは、やはり人間の感覚からしか生まれないので、それを効果的に生み出すためには色々と "嘘" をつかないといけない。データ的に正確なだけではフォトリアルかもしれませんが、外連味は出せないのです」(鹿角氏)。
オリジナル版ザボーガーの面白さは、「荒唐無稽だけど、何かインパクトがあるところ」と感じているファンも多いのではないだろうか。本作ではこうしたオジリナルのエッセンスを適確に捉えつつ、現代の VFX を上手く融合させることで新たなビジュアルへと昇華させることに成功した。さらに言えば、ハリウッドに比べて桁数がいくつか少ない予算だとしても、井口組が実践する "しっかりとしたコンセプトと創意工夫" によって、大規模予算の映画を凌駕するエンターテインメントを生み出すすることができるのだ。
新たに蘇った『電人ザボーガー』は、ぜひご覧頂きたい昨今のリメイク作品に食傷気味の方やオリジナル版を愛する方をはじめ、全ての人に自信を持ってお薦めする傑作である。ちなみに、本作のエンドロールでは " オリジナル版 電人ザボーガー " のシーンが流れるので、ぜひ本編と比べてみて、その再現度をチェックしてもらいたい。
TEXT_倉下貴弘( studio RG )
PHOTO_弘田 充
メインスタッフ
左から、
鹿角剛司氏(VFX スーパーバイザー)
水石 徹氏(CG ディレクター)
以上、スタジオ・バックホーン
※鹿角氏が手にするカップは、テキサスの映画祭「ファンタスティック・フェスト」で井口監督が監督賞を受賞したときに頂いたものだという(※クリックで拡大)。ファンタスティック・フェストは、スポンサーが地元のビール会社とデルなので、受賞者はステージに上がってカップにビールを注いで、一気飲みするという慣行があるそうだ。よってトロフィーではなくビールジョッキになっている
2012.3.28 Blu-ray & DVD 発売!
あきらめるな、立ち上がれ! 板尾創路主演で贈る、壮大な特撮オペラ! 空前のヒット映画『電人ザボーガー』Blu-ray & DVDシリーズがいよいよ登場!
Blu-ray『電人ザボーガー』スペシャルエディション(※デジパック仕様、豪華外箱付き)
【収録内容】<DISC 1>『電人ザボーガー』本編/映像特典:予告編3type/オーディオコメンタリー付き『電人ザボーガー』メイキング映像/スピンオフショートムービー「がんばれ!ザボーガー」全13話 【封入特典】『電人ザボーガー』オリジナル・サウンドトラック/『電人ザボーガー』劇場パンフレット縮小版/サントラCDライナーノーツ付ブックレット
収録時間:本編114分+特典映像100分(予定)
品番:KIXF-90067
価格:7,140円
『電人ザボーガー』公式サイト