>   >  SIGGRAPH Asia 2015@神戸、絶賛応募受付中! 塩田周三(Computer Animation Festival)&安生健一(Courses)チェア対談
SIGGRAPH Asia 2015@神戸、絶賛応募受付中! 塩田周三(Computer Animation Festival)&安生健一(Courses)チェア対談

SIGGRAPH Asia 2015@神戸、絶賛応募受付中! 塩田周三(Computer Animation Festival)&安生健一(Courses)チェア対談

外国からと日本から、両方の参加者が楽しめるように盛り上げていきたい

ーー日本で開催されるSIGGRAPHですから、例年以上の日本からの応募を期待したいですね。ほかに、応募時の注意点はありますか?

安生:CAFの場合、審査にかけられる時間は1作品あたり最長でも4分ほどです。そのくらいのペースで判断していかないと審査が終わりません。ものづくりの本質ではないと思いますが、冒頭での"つかみ"は大切です。

塩田:審査する側の事情を想像していただけるとありがたいですね。たまに冒頭のタイトルやスタッフロールにけっこうな尺を使っている作品を見かけるのですが、やめた方が良い(苦笑)。トータルの尺も、あまりに長いとショウケースに組み込みづらい。実際のところ、3〜5分くらいの作品の方が選ばれる確率は高いです。その他の注意点としては、セリフがちゃんと英語に翻訳されているか、などがありますね。ただし、セリフがなくても、アニメーションだけでその意味が誰にでも伝わる内容の方が訴求力は強いですね。

ーー横浜で開催された「SIGGRAPH Asia 2009」では、一部のセッションが日本語で行われました。今回も、そうした試みはあるのでしょうか?

安生:Coursesではやりたいと思っています。本家と同様、SIGGRAPH Asiaも本来は英語のセッションしかありません。そうすると参加自体のハードルが高くなってしまう場合もあるので、英語に対して抵抗があるCG・映像関係者の方々にも参加しやすくなる工夫もしていくつもりです。

塩田:日本で開催する際には、やはり英語がネックになります。アカデミック分野の方々は何とか対応されようとしていますが、各業界の現場の方々になればなるほどつらくなっていきますね。自分としても、何らかのかたちでサポートしたいと思っています。一方で、海外からの参加者たちは、日本ならではの発表を非常に楽しみにしています。例えば近年の日本のCGアニメーションは目覚ましい進歩をとげていて、しかも日本独自の道を歩んでいる。そうした「CGアニメ(アニメCG ※2)」に特化したセッションも企画したいと思っています。
※2:近年、日本のアニメーション業界では、手描きの2Dアニメーション制作のなかで培われた日本独自の表現を3DCGで再現し、さらにそこから新たな表現を見出そうとする試みが盛んである。一般では「セルルック」などと表されることが多いが、CGWORLDでは「アニメCG」と総称している

安生:日本のアニメやゲームに親しんでいる人は多いですからね。特にアジアから参加される方々は、日本の作品を観ている場合が多い。アメリカの作品を観るのと同じくらい、日本の作品も観ています。先日もニュージーランドに出張に行ったら、あちらの方々が『妖怪ウォッチ』をちゃんと知っていて驚きました。

塩田:昼間に20分くらいのショートセッションを英語でやっていただき、その拡大版を、夜に場所を変えて日本語でやっていただくとか......。外国からの参加者も、日本からの参加者も、両方が楽しめるように全般で盛り上げていきたいと思っています。さらに個人的には、SIGGRAPHというブランドが神戸で開催されることで、地方都市のCG・映像関連の産業が活性化されると良いなとも思っています。神戸に来たい外国の人たちは大勢いて、みんなすごく楽しみにしているのです。

ーー神戸の何を楽しみにしているのでしょうか?

塩田:神戸ビーフ(※3)が食べられると思っているんですよ(笑)。そんなにいないから、3,000頭しかいないからと言っているのですが。それは冗談としても、日本のエキゾチックな文化を体験できることを、期待しているようです。
※3:神戸牛とも呼ばれる。年間に約3,000頭しか出荷されない希少な牛肉だが、欧米を中心に知名度が高く「Kobe Beef」として知られている

安生:日本でSIGGRAPHが体験できる貴重な機会なので、ぜひ多くの方々に参加してほしいと願っています。前回の横浜とちがって、関東圏からの参加者は泊まりがけになるでしょうが、集中して色々な刺激を受けられる分、むしろ好都合なのではないでしょうか。できれば応募(※4)を、それが無理なら、参加してみるだけでも十分です。それぞれの一歩を踏み出してほしいと期待しています。
※4:CAFの応募期日は2015年6月2日(火)。Cursesは5月10日(日)で締め切られたが、「Art Gallery」や「Emerging Technologies」など大半のプログラムはひき続き応募受付中なので、ぜひ募集要項を確認してもらいたい(2015年5月21日(木)現在)

INTERVIEW_尾形美幸(EduCat) / INTERVIEW_Miyuki Ogata(EduCat)
EDIT_沼倉有人(CGWORLD) / EDIT_Arihito Numakura(CGWORLD)
PHOTO_弘田 充 / PHOTO_Mitsuru Hirota

Profileプロフィール

塩田周三/Shuzo Shiota<br />安生健一/Ken Anjyo

塩田周三/Shuzo Shiota
安生健一/Ken Anjyo

塩田周三(写真・左):兵庫県出身。幼少期の9年間をアメリカで過ごし、上智大学法学部国際関係法学科を卒業。新日本製鐵を経た後、ビジネス・コンサルタントとして株式会社ポリゴン・ピクチュアズのコンテンツ企画を担当。1999年よりポリゴン・ピクチュアズに所属し、2003年に同社代表取締役に就任。SIGGRAPH Asia 2015の「Computer Animation Festival」ではChair(審査委員長)を担当。

ポリゴン・ピクチュアズ 公式サイト

安生健一(写真・右):株式会社オー・エル・エム・デジタル 取締役/研究開発部門 R&D スーパーバイザー。国内外の研究者・技術者との「使える」技術開発のコラボレーションに加え、SIGGRAPHを始めとするCGの国際会議での研究発表などの対外活動も活発に行なっている。SIGGRAPH Asia 2015の「Courses」ではCo-Chair(共同審査委員長)を担当。

オー・エル・エム・デジタル 公式サイト

スペシャルインタビュー