2024年3月27日(水)、セミナー「建築ビジュアライズのための次世代レンダラ比較」がオンラインで開催された。
最大96コアという驚異的なポテンシャルを持つAMD Ryzen™ Threadripper™ PRO 7000 WX シリーズ プロセッサ搭載マシン「HP Z6 G5 A Workstation」によるレンダラのパフォーマンスを中心に、建築ビジュアライズ制作のスペシャリストであるATA企画・西鍛冶 駿氏とSTUDIO55・種村 瞳氏が、レンダラの最新事情から案件に適したレンダラについてまでを惜しみなく公開した。
圧倒的なパワーを備えるAMD CPU搭載ワークステーション「HP Z6 G5 A」
――セミナー冒頭では、本セミナーで用いられたワークステーション「HP Z6 G5 A Workstation」を日本HP・大橋秀樹氏が紹介した。
大橋秀樹氏(以下、大橋):今回の製品は「Z6 G5 A」というモデルですが、末尾の「A」はAMDさんの「A」で、CPUにAMD Ryzen Threadripper PRO 7000 WX シリーズ プロセッサを搭載しているという意味を持ちます。こちらのCPUは最大96コアを備えるパワフルなCPU。「Z6 G5 A」の最大の特徴となっています。
■HP Z6 G5 A Workstationのスペック
□ミッドレンジモデル
CPU:AMD Ryzen™ Threadripper™ PRO 7965 WX プロセッサ(4.2GHzー5.3GHz/24コア/128MB/5200MHz)
メモリ:64GB DDR5 SDRAM(5200MHz/ECC/Registered/16GB×4)
グラフィックス:NVIDIA RTX A2000
ストレージ:1TB HP Z Turboドライブ(内蔵M.2スロット接続 TLC NVMe SSD)
□フラッグシップモデル
CPU:AMD Ryzen™ Threadripper™ PRO 7995 WX プロセッサ(2.5GHzー5.1GHz/96コア/384MB/5200MHz)
メモリ:128GB DDR5 SDRAM(5200MHz/ECC/Registered/32GB×4)
グラフィックス:NVIDIA RTX 6000 Ada
ストレージ:2TB HP Z Turboドライブ(内蔵M.2スロット接続 TLC NVMe SSD)
大橋:他にも、最大1TBまで拡張可能なメインメモリ、1,000Wの大容量電源、最大3基搭載可能なグラフィックスカードなど、柔軟な拡張性を備えています。また、排熱効率や静音性、セキュリティ機能(HP独自のWolf Security for Business)などなど、細部にこだわったワークステーションです。
建築ビジュアライズにおける最適なレンダラを探る
西鍛治 駿氏(以下、西鍛治):ではここから、レンダラの比較検証に入っていきます。僕はATA企画で建築のビジュアル、パースやビジュアライズを制作している、CGクリエイターの西鍛治と申します。
西鍛治 駿
ATA企画 XRデザイン部 部長/CGクリエイター
大学で建築デザイン、CGを学び有限会社ATA企画に入社。建築ビジュアライズ制作をしながら、多数のCGイベント、セミナーにて登壇。昨年XRデザイン部の部長に就任し静止画の建築CGに加え、VRやARメタバースの制作も行うなど様々な角度での建築の表現の領域を広げている。
Instagram:@kaji0501n
種村 瞳氏(以下、種村):STUDIO55でCGディレクターをしている種村です。
種村 瞳(Tane.)
STUDIO55 CGディレクター
新潟県南魚沼市出身。大学で建築・デザインを学び、卒業後不動産会社で建築設計・パース制作を経験。2022年、STUDIO55に入社し、CGディレクターとして建築パース・VRなど、幅広いビジュアライズのディレクションを担当。趣味はアート巡りと地域猫探し。二級建築士。
Instagram:@callme_tane
西鍛治:僕たちは業界は同じですが、クリエイターとディレクターで、仕事内容はちがいます。僕はクリエイターとしてCGパースなどの制作を担当しています。
種村:私はディレクターとして海外拠点の制作チームとお客様の間に立つ、橋渡し役のような仕事をしています。納期や金額などのお客様の要望を汲みつつ、それに合ったレンダラの選定や制作チームの調整を行うのが主な仕事です。
西鍛治:今日お話しするテーマは「レンダラ」です。レンダラは毎年のように選択肢が増えていますよね。建築の3DCG界隈でも話題が尽きません。とはいえ、日常業務に携わっていると、気になるレンダラをまとめて比較する機会はなかなかつくりにくいと思います。そこで今回、僕らがいくつかをピックアップして、僕らなりの検証をしてみよう、というわけです。
種村:私からは、クリエイターとしてのお勧めレンダラと、CGディレクター業務で経験している、案件に応じた適切なレンダラというふたつの視点でご紹介できればと思います。
AMD プロセッサ 96コア搭載マシンでV-RayとCoronaを検証
「V-Ray」レンダリング検証ーレンダリング時間が半分以下に!
西鍛治:まずは言わずと知れたChaos社のV-Ray。建築ビジュアライズでは王道と言って良いと思います。僕もずっと使っています。今回は検証用にこちらの3ds Maxシーンを用意しました。室内にはライトや反射が入りつつ、窓の外の景色も映り込んで、奥行きも感じるようなカメラアングルのショットです。
種村:V-Rayはフォトリアルなパース、繊細で精密な静止画に向いているレンダラですね。
西鍛治:設定がたくさん用意されていて、細かくつくり込めるのも特長です。歴史のあるレンダラなのでファンも多くて、僕もそのひとり。歴史が長いおかげで、インターネットに情報がたくさんあるので助かっています。それと、昨年末リリースのV-Ray 6 for 3dsMax, Update 2からは日本語表示にも対応しましたね。
種村:英語が苦手な方にも使えるように、まだ進化を続けているレンダラなんですね。私は個人的にVRayToonが好きです。これはアニメっぽい線画が出るプラグインですが、パースに効果的に重ねると、スケッチと実写の間のような画になるんです。
西鍛治:確かに、たとえば児童がいる施設のビジュアライズなんかではそういったタッチの画を依頼されることもありますよね。
種村:そうなんです。フォトリアル関連の機能で言えば、私は特にGIが優秀だなと。V-Ray 5以降はIrradiance map(イラディアンス・マップ:V-Rayのレンダリングエンジンのひとつで、GIのアルゴリズム)が非推奨になって、まもなくなくなってしまうということで、すごくショックを受けているのですが……。
西鍛治:今はBrute forceを推奨するながれになってきていますよね。
種村:そうですね。それでもV-Rayは優れたレンダラだなと思っています。気になるのはレンダリング時間でしょうか。最近は優秀なリアルタイムレンダラも増えてきていますよね。
西鍛治:まさに今が「HP Z6 G5 A Workstation」(AMD Ryzen Threadripper PRO 7000 WX シリーズ プロセッサ搭載、96コアのフラッグシップモデル)の実力を試す良いタイミングですね。実際にこのマシンでこのシーンをレンダリングしてみましょう。サイズは2,667×3,000ピクセルで、GIエンジンはBrute force(ブルートフォース)、Noise thresholdは0.01です。僕が普段使っている56コアのCPUを搭載したマシンでは、レンダリングに12分50秒かかりました。では実際にやってみましょう。
種村:速いですね……!
西鍛治:(V-Rayが処理中の箇所を示す矩形を指して)このつぶつぶがこんなにたくさん出てくるのを初めて見ましたよ。僕のPCだと半分ぐらいしか出てきません。
種村:確かに、ふつうはこの半分ぐらいですよね。
西鍛治:制作中のテストレンダリングでは、時間がかからないように品質や解像度を落とすと思います。でもテストで「よしOK! じゃあ本番だ」となって解像度を上げてレンダリングしてみたら、「あれ? ここミスしてる」ってことはありませんか?
種村:ありますね。
西鍛治:高解像度じゃないと見えてこないミスもあるので、テストレンダリングで品質を落とすと、かえって時間がかかる場合もあるんですよね。
種村:私はIrradiance mapを長く使っていて、Brute forceは時間がかかるイメージがあったんですが、これなら良いですね。
西鍛治:照明とガラスの反射部分など処理が重いところもすごい速度で進んでいきますね。5分44秒で終わりましたね。6分切るんですよ! 1時間あれば10回も本番クオリティでレンダリングできます。
種村:すごいですね! ここまで来たかと思います。建築系のお仕事では納期とコストが決まっていて、クオリティも大事、時間も大事というお客様が多いので、レンダリング時間をここまで短縮してくれたらかなり助かります。
西鍛治:クオリティを高めるためには、やっぱり何度もトライ&エラーを繰り返してブラッシュアップしていく必要があります。だから、96コアのAMD Ryzen Threadripper PRO プロセッサがこのスピードで応えてくれるのは、もう衝撃ですね。
種村:今回、HPさんからはもう1台、24コアのミッドレンジモデルもお借りしたのですよね?
西鍛治:はい。そちらでもレンダリングしてみたところ、10分14秒でした。なんと僕の普段使っている56コアのPCより速かったんですよ! コア数だけではレンダリング速度は測れないんですね。価格帯もあわせて考えると、24コアのミッドレンジモデルはかなりコストパフォーマンスの高い製品だと言えそうです。
- 使用モデル
レンダリング時間
- HP Z6 G5 A Workstationフラッグシップモデル(AMD 96コア)
5分44秒
- HP Z6 G5 A ミッドレンジモデル(AMD 24コア)
10分14秒
- 西鍛治氏の業務用PC(56コア)
12分50秒
Chaos社レンダラ第2の選択肢「Corona」
西鍛治:続いてはV-Rayと同じくChaos社のレンダラ、Coronaです。リーズナブルかつ簡素な設定が特徴のレンダラということですが、僕は「同じChaos社だしV-Rayで良いんじゃないかな」と思って、これまであまり触ってきていないんです。種村さんはいかがですか?
種村:私もV-Rayユーザーだったので、「V-Rayの簡易版かな? わざわざCoronaに乗り換える必要はあるの?」と思っていたんですが、最近はCoronaの良さを活かしたお仕事も多いんです。ここで紹介するのは、Coronaの練習のためにつくったオリジナルの作品です。
種村:CoronaにはChaos Cosmosというアセットライブラリ機能があって、そこのアセットを組み合わせてつくりました。Chaos Cosmosにはマテリアルもあるので、時短になって便利ですよ。私のPCはあまりスペックが良くなく、レンダリングは4Kで4時間ほどかかってしまうのですが、画としては、V-Rayに引けを取らないフォトリアルな仕上がりになります。
西鍛治:こちらの作品もCoronaですか?
種村:はい。こちらはSTUDIO55のパートナーのクリエイターさんの個人作品で、Coronaの公式コンペの受賞作品です。Revitでモデリングしたデータを3ds Maxに取り込んで、Forest Pack(iToo社による3ds Max用プラグイン)で周辺の植栽をつくったそうです。
西鍛治:すごく綺麗ですね。
種村:そうなんです。これを見たとき「Coronaでここまでできるのか!」と、すごく衝撃を受けました。
西鍛治:設定が簡単なだけではなくて、クオリティも確かだと。
種村:Coronaの最大のポイントは「簡単でシンプルで使いやすい」ところだと思います。V-Rayは結構難しくて、使えるようになるまでけっこう時間がかかりました。習得してしまえば多彩な表現ができる素敵なレンダラではあるのですが。
西鍛治:そうですね。どういった業務に向いていると思いますか?
種村:Coronaは簡素なつくりになっているため、クオリティコントロールがしやすいので、チーム制作に向いていると思います。ちなみに、プロジェクトには時間制限が付きものですが、そのコントロールに私たちは「パスリミット」、「タイムリミット」、「ノイズレベルリミット」の3つを使っています。
西鍛治:なるほど。「この時間内で一番のクオリティを出してくれ」という要望に対応するために、レンダラの計算をどこまでやるかをリミットベースで決めていると。すごく建築向きですね。
種村:はい。それで、Coronaの場合はクオリティと時間のバランスが取りやすい「パスリミット」を多く使っています。なので、レンダリングにかけられる時間がだいたいわかった時点で、逆算していつまでにモデリングを終わらせるなど、計画が立てやすくて助かっています。
西鍛治:Coronaならディレクションがしやすくなりますね。
種村:そうですね。なので私もかなり長く愛用しています。使用率も、海外を含め増えてきているみたいです。
種村:V-Rayが一番だと思い込んでしまっている方も多いと思いますが、CoronaにはCoronaの良さがあるんですね。私としては、本物の写真のような仕上がりが欲しい場合はV-Rayで、この作品(下図)のようにちょっと引きで雰囲気良く見せたい場合はCoronaで、と使い分けています。
西鍛治:こうしてレンダリング画像を拝見してみると、テイストのちがいこそありますが、クオリティはV-RayとCoronaで大きく変わらない印象です。CoronaはCPUレンダリングでしたよね?
種村:そうですね。V-RayはCPUとGPU(V-Ray GPU)の両方がありますけど、CoronaはCPUだけです。
西鍛治:なお一層、レンダラには今回使用したAMD CPUのようにハイパワーなCPUが必要になりますね。ちなみに、V-Rayではノイズ、Coronaでは時間とレンダリング、と制御方法がちがうので一律に比較はできませんが、同程度のレンダリング時間で変わらないクオリティが出る印象でした。
西鍛治:今回AMD Ryzen Threadripper PRO プロセッサ搭載マシンをお借りして、実際にレンダラを動かしてみたわけですが、やっぱり率直に、3DCG制作にはハイスペックなPC、特にCPUが絶対不可欠だと感じました。
種村:実際にパワーを目の当たりにすると、確信しますね。
西鍛治:そうですよね。今の時代、3DCGツールの民主化やインターネットの情報の拡充で、たくさんの方がCGに触れやすい環境になっています。CGクリエイターはその状況下で、プロとして高品質なビジュアルをスピーディに世に送り出すことを求められると感じます。
種村:それにはハイスペックなPCとCPUが継続的に必要になりますね。
西鍛治:はい。AMD Ryzen Threadripper PRO 7000 WX シリーズ プロセッサを搭載した「HP Z6 G5 A Workstation」は今手にできる最適解と言えると思います。
最近話題のレンダラも紹介
需要が広がるGPUレンダラ「Twinmotion」
西鍛治:次は、少し毛色がちがうのですが、GPUによるリアルタイムレンダラで、ここ最近で一番名前を聞く機会が増えたTwinmotionについて紹介します。これはUnreal EngineのEpic社による、建築ビジュアライズに特化したレンダラですね。僕も映像やVRの制作で使っています。
種村:私たちは実案件ではなかなか使う機会がないんですが、ここ数年、特に人気ですね。
西鍛治:ATA企画ではの場合、動画納品の場合はTwinmotionでつくることが増えています。制作作業はTwinmotionに習熟したスタッフが担当しているんですが、話を聞くと、「とにかく操作が簡単」だということなんですね。Unreal Engineは綺麗な画をつくれますが、少し複雑なところがあります。Twinmotionはそこを「建築だったらここだけしか使わないよね」という発想で機能を絞ってくれているので、とても使いやすいです。
西鍛治:先ほどのV-Ray用につくったシーンを、Twinmotionにインポートしてウォークスルー動画にしてみました。
種村:V-Rayのマテリアルもそのまま持って行けるんですか?
西鍛治:ええ、マテリアルもDatasmithでそのまま持って行けて、特殊な調整は必要ないですね。
種村:動画納品の場合、STUDIO55ではLumionを使うことが多いんですよ。TwinmotionかLumionかは良く話題になりますけど、私たちは巨大なデータの扱いが得意だという理由でLumionを使っています。というのも、建築ビジュアライズのプロジェクトは、当初「建物1棟だけつくってくれれば良いよ」というお話だったのが、進むにつれて「やっぱり周辺もつくって」とか「鳥瞰図もつくりたいから周辺広めにほしいです」みたいに増えていくことが多いので……。だから、最初から増えることを見越してLumionを使っています。
西鍛治:Lumionもビジュアルが綺麗ですもんね。
種村:そうですね。特に空と水をナチュラルで爽やかに表現してくれます。
西鍛治:どちらかというとTwinmotionのほうがシックな雰囲気の画、でしょうか。僕の場合、VRの書き出しも良くするので、そういう意味でもTwinmotionを選んでいます。
VR&メタバースに特化した「shapespark」
西鍛治:次はちょっと異色で、レンダラと呼んで良いのかどうか微妙なところですが、VRやメタバース制作に特化したshapesparkを紹介します。説明するよりも、まずは見てみてください。
西鍛治:VR空間をキーボード操作で歩き回ったり、床やソファの素材・カラーを変更したり、家具を入れ替えたり、埋め込まれたURLからショッピングページに飛んだり。こうした操作がリアルタイムで行えます。
種村:私は特に、複数人が同時にアクセスして、この空間内でミーティングする「バーチャルミーティング」機能が画期的だと思いました。
西鍛治:僕はshapesparkで大学のクライアントさん向けにVRコンテンツをつくったんですが、制作途中でクライアントを空間内にお招きして、その場で見ながらミーティングしましたよ。コンテンツ制作の次元が一段階アップしたと感じました。
種村:クリエイターとクライアントが同じ空間を探検して意見を交わしながら、一緒にクオリティを高めていくという。想像力次第でいろいろと応用できそうなツールです。STUDIO55でも最近VRのお仕事が増えてきているんですが、VRの場合、テクスチャのベイク作業があるので、ハイスペックなPC、特にCPUパワーはすごく必要になります。
西鍛治:やっぱりレンダラとPCのスペックは切り離せないですね。ちなみに、ATA企画のWebサイトには、ここで紹介した空間を含めいくつか体験可能なコンテンツを用意しています。ぜひ触ってみてください。
西鍛治:そういえば、3ds MaxにはArnoldレンダラが標準搭載されています。建築のビジュアライズ案件では僕は使ったことはないんですが、定評のあるレンダラですし出力も綺麗ですよね。何より3ds Maxがあれば追加導入コストがかからないのは大きなメリットですよね。
種村:私も実案件で使うことはあまりないですが、画づくりの練習はしたことがあります。
種村:Arnoldはどちらかというと空間的なビジュアルよりも、オブジェクトに寄った画のほうが得意そうな印象を持ちました。それと、調べてみると、Arnoldは建築よりもアニメーションやVFXで使われてきた歴史があって、よりそちらに特化しているようですね。
西鍛治:確かに、もともとアニメや映画向けですよね。ただ、開拓の余地はありそうです。ちなみにこれはどのくらいでレンダリングできましたか?
種村:これはモデルも少ないので、私のノートPCで20分ぐらいでレンダリングできました。
西鍛治:なるほど。じゃあ「HP Z6 G5 A Workstation」なら一瞬ですね。
レンダラの進化の恩恵は高性能なCPUでこそ受けられる
西鍛治:ここまで、建築ビジュアライズの分野で注目されているレンダラを中心に、最新のワークステーションの実力を交えて紹介しました。今回、時間が限られていることもあって手短かな説明に留めたところもあるんですが、本当はあと2時間ほどいただいて、もっと話したいくらい、レンダラとPCのお話は尽きないです(笑)。
種村:建築ビジュアライズではレンダラと向き合う時間も多いですから話題はたくさんありますよね。今回、検証をしてみていかがでしたか?
西鍛治:レンダラの進化とPCの進化が連動しているということを再確認したところがありますね。
種村:そうですね。レンダラがこれだけ進化できたのは、まずはCPUが進化したから、ひいてはPC全体が進化してきたからだと感じました。
西鍛治:なので、これは建築ビジュアライズに特化した話ではなくて、3DCG制作ではレンダラと同時に、そのレンダラを動かすPCも選ぶことが大事だと思います。レンダラとPCはセットで考えましょう!と提案して、本セミナーを締めくくります。ありがとうございました。
種村:ありがとうございました。
AMD Ryzen Threadripper PRO 7000 WX シリーズ プロセッサはCPUレンダラの強力なパートナー
――セミナー終盤では、日本AMDの関根正人氏が、AMD Ryzen Threadripper PRO 7000 WX シリーズ プロセッサの魅力について紹介した。
関根正人氏(以下、関根):AMD Ryzen Threadripper PRO 7000 WX シリーズ プロセッサ は、先代の5000シリーズのアーキテクチャ「Zen 3」から一歩世代をアップデートした「Zen 4」コアを採用し、コア数を先代の最大64コアから96コアまでと拡張した強力なCPUです。また、ワークステーションでは特に重要になるPCIジェネレーションも、PCIe 4.0からPCI 5.0へとアップデートされています。
関根:5000シリーズと7000シリーズを同じコア数(64コア)で性能比較してみても、各業界のアプリケーションにおいて、7000シリーズでは20〜40%の性能アップが確認できています。建築ビジュアライズにおいて、AMD Ryzen Threadripper PRO 7000 WX シリーズ プロセッサは作業工数の削減に大きく貢献できるCPUとなっています。
AMD Ryzen™ Threadripper™ PRO プロセッサ
詳細はこちら:
www.amd.com/ja/processors/ryzen-threadripper-pro
biz.amd-heroes.jp/products/threadripper-pro
まとめ
――多様な建築ビジュアライズ案件と、それぞれにフィットするレンダラ。限られた時間の中で、クライアントの要望に最大限応えるためには、ハイエンドCPU搭載のワークステーションを活用し、レンダラによるイテレーションを高速化することが大切だ。AMD Ryzen Threadripper PRO 7000 WX シリーズ プロセッサを搭載した「HP Z6 G5 A Workstation」は、その有力な選択肢となるだろう。
製品に関するお問い合わせ
株式会社日本HP:jp.ext.hp.com/info/contact-hp/contact
株式会社日本AMD:biz.amd-heroes.jp/support
TEXT_TEXT_kagaya(ハリんち)
EDIT_柳田晴香 / Haruka Yanagida(CGWORLD)