生成AIの活用に最適化したGIGABYTEの最新ゲーミングノートPC「AORUS 16X」CGアーティストのますく氏が新しいテクスチャ制作技法に挑戦!
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コストパフォーマンスに定評のある自作PCパーツやノートPCで知られるGIGABYTEが、生成AIの活用に最適化した“AI-READY”のゲーミングノートPC「AORUS 16X」をリリース! その実力を紐解いたのは、AIと3DCGの活用研究を積極的に行うCGアーティスト/リサーチャーのますく氏。BlenderとMicrosoft Copilot、Stable Diffusionを活用したテクスチャ生成に挑戦し、その可能性を探った。
PCをひとつだけ持つなら、ハイエンドのゲーミングノート!
CGWORLD編集部(以下、CGW):今回は、AIの活用について積極的に検証しているますくさんにぴったりの“AI-READY”ノートPC「AORUS 16X」をテストしていただきました。まずは自己紹介をお願いします。
ますく:CGアーティストのますくです。CGスタジオの会社を経営しながら、大学で学生さんに3DCGを教えたり、AIと3DCGを掛け合わせた研究をしていたりします。
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ますく
CGアーティスト/リサーチャー
1991年生まれ、多摩美術大学卒。原型・ゲームモデリングの専門会社で修行を積み、大手ゲーム会社 R&D部門にてAIを活用したアバター生成技術の特許を取得したのち独立。
アプリケーションやゲームなどリアルタイム分野のモデリングに特化したCGスタジオ「KATASHIRO+」を設立。CGWORLDの執筆に多く携わり、ブログやFanboxなどのメディアに力を入れており、3Dモデリングやゲームエンジン、CG原型、3Dスキャンなどの指導を教育機関・個人へ行っている。また2023年からは京都の大学で教鞭も執っている。
Webサイト https://mask3dcg.com/
X https://twitter.com/mask_3dcg
★参照元:https://cgworld.jp/special/blenderfes/vol2/channel/channel-353/
ますく:メインツールはBlenderで、他によく使うのはZBrush、3D Coat、Substance 3D、Unity、Unreal Engine、iClone、CLIP STUDIO、Photoshopあたりです。
CGW:CGWORLDではリサーチャーとしていつもお世話になっています。早速ですが、ますくさんはGIGABYTEの製品は愛用されていますか?
ますく:僕はよくPCを自作するので、GIGABYTEさんのマザーボードとかグラフィックスカードとか、よく使わせてもらっています。安いのにつくりがしっかりしていますし、デザインにもこだわっていて格好良いんですよね。歴代の自作PCでも活躍してくれていて、かなり良いイメージを持っています。
CGW:それは良かったです。ゲーミングノートPCの「AORUS」シリーズはご存じでした?
ますく:いえ、今回初めて知りました。僕は普段、デスクトップPCの自作にばかりアンテナを張ってるもので、まさかGIGABYTEさんがノートPCをリリースしているとは、といった感じでしたね。
検証PC:AORUS 16X AKG-53JPC54SH
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14世代Intel Core i9/i7 CPUとNVIDIA GeForce RTX 40シリーズを搭載し、16インチWQXGA(2,560×1,600、16:10)の広い表示領域を備えたゲーミングノートPC。
GIGABYTE製品のソフトウェアプラットフォーム「GIGABYTE Control Center」に組み込まれた独自開発の「AI Nexus」により、生成AIワークフローの大幅な高速化を実現。Invoke AIとの提携により、画像生成AIの代表格Stable DiffusionのGIGABYTEエディションを開発し、プリインストール済みとなる。
その他、165Hzの高速リフレッシュレート、最大64GBのメインメモリ、最大2枚のM.2 PCIe Gen4 SSDストレージ、高放熱効率激薄フィンを備えた最新Windforce Infinity 冷却システムなど、ゲームプレイはもちろん、クリエイティブ制作にも活用できるポテンシャルが特長。
https://www.gigabyte.com/jp/Laptop/AORUS-16X--2024#kf
- 搭載OS
Windows 11 Home
- CPU
14th Gen Intel® Core™ i7-14650HX Processor (up to 5.2 GHz)
- コア数/スレッド数
16コア/24スレッド
- メモリ
DDR5 16GB5600MHz動作
2 スロット使用 (空きなし)
最大64GB
- ビデオカード
NVIDIA® GeForce RTX™ 4060 Laptop GPU 8GB GDDR6
ブーストクロック 2370MHz 最大 Graphics Power 140W
- ストレージ
1TB M.2 PCIe Gen4 SSD(1*M.2 NVMe 専用スロット使用)
空きスロット:1*M.2 PCIe Gen4
CGW:クリエイティブ制作にノートPCは使っていますか?
ますく:移動が必要な仕事ではノートPCが不可欠です。案件でCGスタジオに出向するときもそうですし、今は京都の大学で授業を持っているので、週2日の外泊にノートPCが必要です。
CGW:ますくさんはノートPCをどういう基準で選ぶのでしょうか?
ますく:僕は海外のハイエンドゲーム、いわゆるAAAタイトルの洋ゲーが好きなので、PCをひとつだけ持つとしたら、ハイエンドのゲーミングノートが一番だと思っています。AAAタイトルが動くノートPCだったら、たいていのCG制作案件も軽々こなせますからね。今のメイン機もやっぱりゲーミングPCなんです。
CGW:PCは何をきっかけに買い換えるのですか?
ますく:やりたいことができなくなったら、ですね。そのための僕の中のベンチマークは「VRChat」が動くことです。
CGW:VRChatがベンチマークなんですね! なぜですか?
ますく:3DCG制作でキャラクターモデルとかワールドをつくったとき、動かしてみる場所としていちばん簡単なのがVRChatとかclusterといったメタバースプラットフォームだからです。そこでスムーズに動かなくなったら「あ、ちょっとしんどい」となるんです。
Stable Diffusion×Blenderでテクスチャ生成にチャレンジ
CGW:ではここからは、ますくさんが「AORUS 16X」を使ってテストした内容を紹介してください。
ますく:はい。「AORUS 16X」が“AI-READY”を謳う大きな理由のひとつが、Stable DiffusionのGIGABYTEエディションをプリインストールしているところです。実はイチからStable Diffusionを導入しようとすると、Pythonの知識が必要だったりでけっこう大変なんです。それがプリインストールされている点はかなりのアドバンテージになりますね。
CGW:「GIGABYTE Control Center」の中に組み込まれているんですよね?
ますく:そうです。「GIGABYTE Control Center」の「AI Nexus」タブからすぐにStable Diffusionを利用できます。
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ますく:今回はこちらをテクスチャ作成に使ってみたいと思います。ひと言で言うと「画像生成AIでテクスチャのバリエーションをつくってみよう」ということです。Blenderの有料アドオン「Textures Diffusion」があれば、BlenderとStable Diffusionの橋渡しをしてくれます。
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https://blendermarket.com/products/textures-diffusion
ますく:まず、今回検証用にこちらの空島のモデルをBlenderでスカルプトしました。このモデルのテクスチャ生成に挑戦してみます。あらかじめUVを展開しておきます。UV展開こそAIによる自動化が待ち望まれていますがまだまだ人間が頑張る必要がありますね……(笑)。そして、テクスチャを分けて生成するため、アドオンの指示通りに複数アングル分のオブジェクトを配置していきます。
ますく:「AORUS 16X」には、マイクロソフトが今年追加定義したCopilotキーが搭載されています。そこで、このキーでCopilotを呼び出して、Stable Diffusionに伝えるプロンプト(生成したいものをAIに説明する文章や語句)をつくります。
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ますく:そして、つくったプロンプト文とTextures Diffusionから出力したベース画像をStable Diffusionに渡します。要は「参照画像をベースにして、プロンプト文の内容に沿って画像を生成してね」とするわけですね。まずは空島のなかに置いた風車の3Dモデルで試してみました。何度か生成を繰り返し、赤の差し色が入ったテクスチャができたので、それをBlenderに戻して貼ってみます。
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CGW:実際にやっているところを見ていると、次々とバリエーションが生まれますね。
ますく:空島のほうでもテクスチャも試してみたんですが、いまひとつ上手くいきませんでした。ノーマルマップの画像を入れてもマップ情報は認識されませんでしたし、ベース画像にグレースケールを入れると、プロンプトに「Colorful」と加えてもそれに引っ張られた結果が多くて、雪景色のようなテクスチャになってしまいました。
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ますく:そのあと何度も試してみると、カラフルなバリエーションを出すことができました。単語を並べるだけよりも、文章化したプロンプトのほうがうまくいきましたね。ただ、プロンプトよりも学習モデルの方が重要だと思いましたね。
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ますく:プロンプトやベース画像にはコツが必要ですし実制作にそのまま活かせるかといったらまだまだ難しいですが、ラフ程度ならパターン出しやイテレーションの向上に役立つと思います。ひとつの画像生成には2~3分ほど時間がかかりましたが、「AI Boost」モードを使うと数十秒で吐き出してくれました。
マシンを使ってみた感想と、総評
CGW:生成AIの活用検証、面白いチャレンジでした。どうでしょう、今回「AORUS 16X」を使ってみて、どんな印象を持ちましたか?
ますく:まずデザインが格好良くてテンションが上がりますし、角の面取りも綺麗です。それとキーボードですね。打ちやすくて、よく使う左手部分(QWERASDキー)がライティングされていてわかりやすい。MayaとかUnityとか、制作ツールでもよく使うキーばかりですからね。
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CGW:AI Boostで「ターボ」にすると結構な風が出ていましたが、その点はいかがですか?
ますく:威力が凄くて一見マイナスかというところですが、この冷却性能(WINDFORCE Infinity 冷却システム)、かなり良いと思いますよ。GIGABYTE Control CenterでCPU・メモリ・GPUの利用率とCPU・GPU温度をモニタリングしていましたが、生成AIをガンガン回しても温度は低く抑えられてましたから。
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CGW:モニタのアスペクト比は16:10ですが、そこはどうでしょう?
ますく:ポイント高いですね。制作物はだいたい16:9ですから、作業画面でプレビューを画面いっぱいに拡げても上下にツールパレットなどを表示できるのは大きなメリットです。
CGW:クリエイティブ制作用PCとして、スペック面で気になるところはありましたか?
ますく:CPUは14世代Intel、GPUも40シリーズで申し分ないですが、あえて言えば標準のメモリ容量ですね。
CGW:今回のテスト機(型番:AORUS 16X AKG-53JPC54SH)のメインメモリは16GBです。
ますく:そうですね。制作用PCとしては僕はデスクトップなら64GB以上、ノートPCなら32GB以上は確保したいです。特にテクスチャワーク、画像処理、映像制作では大容量メモリが必要です。
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CGW:メモリは最大64GB積める仕様になっていますね。
ますく:64GB積めればクリエイティブ用途でも安心です。もしテスト機のスペックのまま制作作業を、ということなら、モデリングであれば問題ないでしょう。BlenderやZBrushだけであればメモリ容量はそこまで必要にならないので。がっつりCG制作を、ということなら、同じシリーズでもIntel Core i9のCPUと32GBのメモリを搭載しているモデルもあるので、そちらの方が適しているかもしれません。
CGW:なるほど。最後に「AORUS 16X」の総合評価をお願いします。
ますく:「AORUS 16X」はとてもバランスの良いゲーミングノートPCです。最新スペックで生成AIがガンガン使えて、コストパフォーマンスがすさまじい。ゲーマーにもクリエイターにも安心してお勧めできる製品ですね。
CGW:ありがとうございました!
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l AORUS 16X AKG-53JPC54SH(16GB)
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l AORUS 16X ASG-63JPC65JP(32GB)
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www.gigabyte.com/jp
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