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Aiming『Project Caravan』広大なフィールド&数多のキャラクターを、手描きイラスト風の3Dで表現

Aiming『Project Caravan』広大なフィールド&数多のキャラクターを、手描きイラスト風の3Dで表現

ハッチングの方向や強弱は、アーティストが個別に調整

本作には、人間・エルフ・ドワーフ・オークなど6種族、合計150体を超えるキャラクターが登場し、最大6段階の進化も予定されている。これらのキャラクターを集めることも本作の楽しみの1つだという。「プレイヤーは最大6人編成のパーティをつくり、キャラバンと呼ばれる拠点を守りながら旅をします。フィールドで遭遇するモンスターも仲間にでき、キャラクター同様、経験を積ませれば進化します」(高屋敷氏)。前述の『グリフォン』から引き継いだモンスターはもちろん、新作のモンスターも多数登場する。猫やカピバラなど、現実世界にいる動物まで"モンスター"として登場するのは面白い。現実世界が少しだけ混ざることで、ゲーム世界の現実味が増すと高屋敷氏は解説する。

キャラクター、キャラバン、モンスターの陰影は、ハッチング(等間隔の斜線)で表現される。加えて、黒色の細い線でアウトラインが描かれるため、手描きイラストのような柔らかい印象の画になっている。このルックへ着地するまでに、様々なテイストのシェーダを試したと久保氏はふり返る。「フォトリアルなルックを検討した時期もありましたが、数ある既存のゲームの中にあって、埋もれない存在感や個性を発揮するなら、ノンフォトリアルの方が良いという結論になりました」(久保氏)。ハッチングはフィールドの陰影表現にも適用されており、キャラクターをフィールドに馴染ませたり、オブジェクトの立体感を出したりするのに効果を発揮している。

とりわけハッチングの入れ方にはこだわっており、斜線の方向や強弱をアーティストが調整できる仕組みをプログラマに構築してもらったという。「機械的にハッチングを入れるだけでは魅力的な画になりません。例えば、キャラクターの顔にはハッチングを入れたくない。でも、髪の陰には入れたいといったさじ加減を、テクスチャデータのアルファチャンネルで操作できるようにしています」(久保氏)。なお、データを複雑にしないため、アルファチャンネルの上限は5枚にしているそうだ。前述の通り、制作するキャラクターの数は膨大にあるため、まずは全キャラクターに共通の設定を適用し、プレイヤーの目に触れる機会の多いキャラクターほど時間をかけて見映えを調整している。



▲ドワーフ【上段】、人間【下段左】、オーク【下段右】のデザイン画。進化の段階は星印で表されている




▲キャラクターのデザイン画と、モデリング中のMayaの画面。画面では見えないが、3段目のドワーフは装備下の顔もモデリングされている。『グリフォン』のキャラクターは平均2,000ポリゴンだったが、『Caravan』のキャラクターは3,000∼4,000ポリゴンで造形されており、ディテールが増している


▲キャラクターのテクスチャ。カラーマップ【上段左】、ノーマルマップ【上段右】、スペキュラマップ【下段左】、ライト反映度の制御用マスク【下段右】。テクスチャのサイズは最大で1,024×1,024pixelだ。目や顔には、とりわけ多くのpixelが割り振られている

▲フィールドに登場するモンスター。キャラクター同様、パーティの仲間に加えられる

▲"モンスター"として登場するカピバラ【左】と猫【右】。どこから見ても、普通のカピバラと猫である。例えば、複数の猫を引き連れたパーティも編成可能だという

▲【左】ハッチングやアウトラインのシェーダを適用したキャラクター/【右】クロースアップで見ると、場所によってハッチングの方向や強弱がちがうことがわかる。髪や服の陰にはハッチングが強めにかかっているが、肌にはほとんどかかっていない

▲ハッチングのかかる方向は、テクスチャのUV座標で調整する

▲フィールドの陰影部分にもハッチングを適用している。【左】は適用前。【右】は適用後。フィールドのハッチングにはノーマルマップも組み合わせており、ハッチングの線に沿った微妙な凹凸が付けられている。「ハッチングだけでは平坦に見えるので、ノーマルマップによる凹凸を組み合わせ、立体感を出しています」(高屋敷氏)

▲【左】キャラクター(画面左)とキャラバン(画面右)。フィールド探索時にはリーダーキャラクターとキャラバンのみが表示される。キャラバンの内装と外装はカスタマイズ可能で、例えば砲塔・煙突・旗などを外装に追加できる/【右】バトル中のパーティ。このように多数のキャラクターが入り乱れ、エフェクトを同時多発させると、とりわけ処理負荷が高くなる。ここでのデータ管理には特に気を使っているという

Profileプロフィール

Aiming

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久保貴美氏(アートディレクター/マネージャー)、高屋敷 哲氏(プロデューサー)

株式会社Aiming

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http://aiming-inc.com/ja

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